20ky-5
土田 龍空(近江3年)遊撃 179/74 右/左 | |
今年の高校球界でも、遊撃の守備に関してはNO.1ではないかと思われる 土田 龍空 。その一方で打撃の弱さが気になるが、これは今後に向けて改善可能なのだろうか? その可能性について、検証してみたい。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの到達タイムは、左打席から4.15秒強とさほど速くはない。ドラフト指名される左打者の平均タイムが4.1秒ぐらいなので、それよりも劣る。実際もう少し速いタイムも出るのかもしれないが、足でガンガンアピールするようなタイプでは無さそうだ。 守備面:☆☆☆☆★ 4.5 打球への反応もよく、守備範囲の広さが目立ちます。飛びついたような打球でも、素早く起き上がりアウトにできる俊敏さがあります。1年夏から全国でその能力を魅せつけてきたので、一時は少し雑に見えた部分もあったのですが、最終学年ではそのへんもだいぶ修正されてきました。地肩に圧倒的なものはないのですが、無理な体勢からでも送球が乱れないのも良いところ。まだ時々ポカはありますが、将来名手級のショートになっても不思議ではありません。守備だけならば、今すぐファームの試合に混ざっても違和感無さそうです。 この手のタイプにしては、走力がないのはちょっと気になります。また地肩がけして強いわけではないので、プロに混ぜてしまうと意外に上手いセカンドあたりに収まってしまう恐れは無きにしもあらかずかと。 (打撃内容) 圧倒的な守備力に比べると、打撃の物足りなさは感じます。ただし合同練習会では、150キロ右腕・加藤 翼(帝京大可児)の高めのストレートをジャストミートするように、けしてスピードボールに対応できないわけでは無さそうです。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばし、両眼での前の見据えや全体のバランスも、まずまずといった感じがします。 <仕掛け> 早すぎ 投手の重心が下る前から動き出すので、投手に投げるタイミングを変えられてしまう恐れがあります。通常プロレベルでは、ここまで早く動き出す選手は稀です。投手の重心が沈み始めてからでも、充分に間に合いますから。いずれにしても、対応力重視の打者であることがわかります。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのではないのでしょうか。 踏み出した前の足は、しっかり止まってブレません。そのため逃げてゆく球や低めの球にもついてゆき、コースに逆らわない打撃を実現できています。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しにも癖はなく、外角の球に対してもロスなくインパクトできています。インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドが下がらず広い面でボールを捉えられています。それだけフェアゾーンには、ボールが飛びやすいのではないのでしょうか。 ただしまだまだ、スイングや打球の強さには物足りないものがあります。根本的なミートセンスはあるので、筋力を養いつつバットを振り込み、プロの球にも力負けしないスイングが求められるのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は小さいのが特徴。錯覚を起こすことなく、球筋を追える姿勢ができています。身体の開きも我慢できていますが、少し軸足が窮屈に見えるのと内モモの筋肉が弱いように感じられます。このへんが内角のさばきや、打球の強さに影響しているものと思われます。 (打撃のまとめ) ボールを捉えるセンス・技術はしっかりしているので、あとは力負けしない確かな筋力・スイングを身につけられるかが求められるのではないのでしょうか。特に内モモの筋肉が、ドラフト候補としては物足りなさを感じます。また軸足が窮屈なところを、いかに改善して広げて行けるかだと思います。ただしそういったものは、入団後も改善できるポイントだと思うので、今の打撃が弱いことはあまり気にしなくて良いのではないかと捉えています。 (最後に) 肩や足といった肉体の資質に優れているというよりは、天性の野球センスと技術に裏打ちされたタイプではないのでしょうか。圧倒的な力とスピードの差に数年は戸惑うかもしれませんが、根本的な土台はしっかりしているので、充分に改善して行けるのではないかとみています。ある程度長い目で見てあげられる球団に、ぜひ指名して頂きたいと願うところです。ドラフトでも、4位前後での指名は充分期待できそうです。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2020年 西日本合同練習会) |
土田 龍空(近江2年)遊撃 177/70 右/左 | |
1年夏から名門でショートを任され、甲子園も経験してきた 土田 龍空 。あの 小園 海斗(報徳学園-広島1位)を彷彿とさせる左打ちの好守の遊撃手、彼のような位置づけを期待する人も少なくないだろう。果たして土田は、小園に追いつき・追い越して行けるのか考えてみた。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの到達タイムは、左打席から4.2秒前後と際立つわけではない。セーフティバントの時に計測したタイムでも、4.1秒弱ぐらいとプロの平均レベル。それでもベースラニングで次の塁を果敢に陥れる姿勢を魅せたり、出塁するとすかさず盗塁を試みる。走力は際立たないが、走塁への意識は比較的高いとみている。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 打球への反応、足の運び、キャッチングなどの一連の流れは素晴らしい。高校生としても、全国でも上位の守備力を誇っているのではないのだろうか。ただし送球に関しては、並ぐらいで肩は思ったほどは強くない。また2年夏ぐらいには、少し守備が雑に見えた部分もあったので、最終学年ではそのへんがどうなっているのか注視してみたいポイント。 (打撃内容) コースに逆らわない打者で、高いレベルの野球を経験してきた。ただしやや、打撃には非力さが感じられる。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的で幾分捕手側に引かれている。腰の据わりはよく、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスは並みぐらいだろうか。それでも打席では、高い集中力は感じられる。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった時の動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離ヒッターやポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。むしろ彼のプレースタイルからすれば、アベレージヒッターの傾向が強そうに感じるのですが。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を少しだけ浮かし、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの間はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いです。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力み無くボールを呼び込めています。バットの振り出しは、上からロスなく振り下ろして来るインサイドアウト。ボールを捉えるまでロスがなく、真ん中~内角寄りを上手くさばくことができます。インステップを採用するのは、外角の方が苦手それに対応するためではないのでしょうか。 ただし木製バットを想定すると、バットのしなりを活かすようなスイングではないので打球が飛ぶのか心配です。実際に外角の球を叩いた時の打球は弱々しく、当てるのは上手くても鋭くは飛んでゆきません。それでも、最後までしっかりは振れています。真ん中~内角を引っ張ることが、得意だと言えるのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足を少しだけ浮かす程度なので、目線の上下動は小さめ。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。比較的、調子の波は少ないタイプではないのだろうか。ただし、軸足の内モモの筋肉が弱そうで、そのへんも強い打球を生み出せない要因かもしれない。 (打撃のまとめ) 真ん中~内角寄りの球をうまくさばくことができる一方で、外角の強い球にはやや弱々しさを魅せる。当て勘は悪くないが、「強さ」」「鋭さ」という部分では、小園の同時期に比べると劣る気がする。最終学年で、どのぐらい隙き無しの凄みを身につけられるだろうか。 (最後に) 走力・地肩・打力という意味では、小園に比べるとワンランク・ツーランク劣る印象はある。ただ肩を除く部分の守備に関しては、小園級になっても全然不思議ではない資質を持っている。今のところドラフト上位の素材だとは思わないが、ドラフト候補として一年間追いかけてみたいと思わせるセンスがあるのは確か。二遊間タイプの打者としては、西日本ではトップランクに位置づけられる選手だろう。 (2019年夏 甲子園) |