20ky-45





漁府 輝羽(東北福祉大4年) 外野 183/88 右/右 (おかやま山陽出身)





 「ほとんど試合に出ていない」





 コロナ渦で行われた、プロ志望合同練習会でひときわ存在感を示していた 漁府 輝羽 。しかし、指名されることなく、東北福祉大に進んだ。しかし、福祉大に進んでからの彼は、4年間で公式戦の出場は僅か2試合(3打数)。それでも指名された、彼の魅力とは何なのか? 改めて考えてみたい。


(守備・走塁面)

 この部分は、下記にある高校時代からのものの抜粋となります。一塁までの到達タイムは右打席から 4.35秒強(左打者換算で4.1秒強)ぐらいと、ドラフトにかかる右打者としては平均的な走力。すなわち足でアピールするほどではなくても、プロでも基準レベルの脚力はありそう。

 高校時代は、一塁や外野を守っていました。ライトの守りでは、
非常に地肩の強い送球が目を惹きました。高校生としてはA級の肩であり、プロに混ぜてもプロの右翼手として見劣ることはなさそう。動きも特に重苦しいとか、送球が雑だという感じもしませんでしたとのこと。


(打撃内容)

 高校時代からの変化がよくわからないところですが、今春の社会人との対抗戦の模様から、高校時代の打撃フォームと比較して考えて見ましょう。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 右打席から前の足を引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合・全体のバランスもそれなりで、両眼で前を見据える姿勢は良く、
球筋を錯覚を起こすことなく追う姿勢ができています。基本的に、高校時代と構えは大きくは変わっていない印象です。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。高校時代は、一度ベース側につま先立ちして、そこからリリース直前にステップする「遅すぎる仕掛け」を採用していました。対応力に課題があった選手なので、その辺を改善しようと始動の仕方などを変えたものと思われます。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて、ベースから離れた方向にアウトステップしてきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が強いようです。

 確認できた映像が、引っ張って巻き込んで本塁打した時のものとセンター前に打ち返した時のものでした。いずれも、踏み込んだ前の足は、
地面から早く離れる、引っ張り重視のスイングでした。この傾向は高校時代と同様で、そういった意味では相変わらず逃げてゆく球や低めの球には弱いのかなといった印象はあります。ただし、上手く巻き込めた時には、抜群の飛距離を発揮すると考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めています。バットの振り出しは、少し身体から離れて出てくる感じで、けしてロスがないとは言えません。それでも、バットの先端であるヘッドまでは下がらないので、しっかりタイミングが合えばフェアゾーンには飛びやすいのでは?

 相変わらず
スイングの前を大きくとって、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶスイングは健在でした。春の社会人との対抗戦でも、見事に本塁打を放っていました。動作自体は、ほとんど高校時代と変わっていない感じです。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は並ぐらいに。身体の開きは我慢できていませんが、
軸足を起点にキレイに回転できていました。また、軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。前よりアクションが大きくなった分、目線の上下動が多少大きくはなっている。しかし、軸の部分も大きくは変わっていない感じがした。

(打撃のまとめ)

 高校時代と、始動のタイミング・足の使い方に変更はあったものの、それほどスイングの本質は変わっていないように感じられた。逆にそれが、高校時代の欠点を充分には改善できず、出場が限られてしまった要因ではなかったのだろうか。


(最後に)

 
一発を飛ばせるといった魅力は、高校生当時から変わっていませんでした。その一方で、確実性や安定感という意味での改善が乏しく、今に至っていると考えられます。高校生当時は、 (支配下級)の評価をした選手ですが、これならば高校時代に指名してあげた方良かったのではないかという思いはあります。ただし、今回は充分な判断材料が整っていないので、未確認 という扱いにさせて頂きたいと思います。きっとプロに混ざっても、一発長打 という魅力は続くものと思っています。


蔵の評価:
未確認


(2024年春 社会人対抗戦)



 




漁府 輝羽(おかやま山陽3年)右翼 183/86 右/右





 「確実性が課題」





 プロ志望合同練習会では、木製バットを握りながら長打を連発し注目された 漁府 輝羽 。捉えたときの飛距離は素晴らしい一方で、確実性に欠けるところをどうみるべきだろうか?


(守備・走塁面)

 昨年の秋季大会でのタイムですが、一塁までの到達タイムは右打席から 4.35秒強(左打者換算で4.1秒強)ぐらいと、ドラフトにかかる右打者としては平均的な走力です。すなわち、足でアピールするほどではなくても、プロでも基準レベルの脚力があるということ。

 秋までは背番号3をつけていましたが、最終学年ではライトにコンバート。合同練習会でもライトを守り、非常に地肩の強い送球が目を惹きました。高校生としてはA級の肩であり、プロに混ぜてもプロの右翼手として見劣ることはないでしょう。動きも特に重苦しいとか、送球が雑だという感じはしませんでした。打球勘などがもう一つよくわからなかったのですが、プロで鍛えれば右翼は務まるのではないかとみました。


(打撃内容)

 最大の売りは、長打力あふれる打撃にあります。しかし夏の岡山大会では、4試合で12打数・1本塁打・2安打と結果は残せませんでした。それゆえに、合同練習会ではぜひアピールしたかったのでしょう。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。適度に背筋を伸ばしつつ、腰の据わりも悪くない。両眼で前を見据える姿勢こそ並だが、全体のバランスとしてはまずまず。適度に身体も動かしながら立てているので、硬さみたいなものも感じられない。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時に、少し引いていた足をベース側につま先立ちする。本格的に動き出すのは、リリースの前ぐらいと「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のパワーとヘッドスピードを考えると、ここまで遅いタイミングでの始動は対応に厳しくなってしまう。

<足の運び> ☆☆ 2.0

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」が取れないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる打撃です。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際に早く地面から離れてしまいます。したがって引っ張って巻き込む打撃を得意とする一方で、逃げてゆく球や低めの球の対応には課題を残すことがあります。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを呼び込むのに力みは感じられません。バットの振り出しも、けしてインサイドアウトというか、内からバットが出てくる感じではありません。それでも外角の球をインパクトするまでに大きなロスはないですし、それほどインパクトの際にヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えることはできています。

 何よりインパクト後は、大きな弧を描きしっかり振り切れていること。それもフォロースルーを使って運ぶので、打球が角度良く飛んで行きます。そういった意味では、かなり天性の長距離打者の匂いはしてきます。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動はそれほどは動きません。身体の開きが充分我慢できないのは気になるものの、軸足は大きく崩れずに、軸回転でスイングはできています。

(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎることで上手くタイミングがとれていないのと、足元が早く地面から離れてしまうので引っ張り中心の偏った打撃になりがち。そのため確実性が低いのが、課題なのではないのでしょうか。その一方で、引っ張り込める打球は見事で、フォロースルーも活かしてボールを遠くに飛ばせる才能を持っています。確実性の問題がクリアできれば、長打力が光る選手になっても不思議ではありません。


(最後に)

 プロでも長打を売りにできる可能性を秘めた素材で、フォロースルーを活かしたスイングは見事です。走力も基準レベルありますし、肩に関してはプロでも上位に入るものがあるのではないのでしょうか。まだまだ守備や打撃でも修正しないと行けないところはあるかもしれませんが、身体も強そうで育てがいがありそうな楽しみな選手です。指名となると育成指名の可能性が高いかもしれませんが、個人的には面白い素材ではないかとみています。


蔵の評価: (下位指名級)


(2020年 プロ志望合同練習会)