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釣 寿生(オリックス)捕手のルーキー回顧へ







釣 寿生(京都国際3年)捕手 182/87 右/右 
 




 「捕手としても悪くない」





 昨年見た時は、パワフルな打撃が目立つタイプかと思っていた 釣 寿生 。しかし今年のプレーを観ていて、捕手らしいきめ細やかさを持ち合わせた選手であり、むしろ打撃よりも捕手として目を惹かれるものがあった。


(ディフェンス面)

 大型の捕手で、どっしりと構えます。そのため、投手としては安心して投げられるタイプかと。ボールまわしを観ていても、投手の気持ちを察しながら、細かくプレーする意識があります。またミットを示し、地面に下げるような癖はありません。そのためワンバウンドするような球に対しても、立ち遅れる心配はありません。キャッチング自体は気になりませんでしたが、フットワークが重苦しく足回りが悪そうなのが気になります。それでも捕ってからは意外に素早く、小さなモーションでも二塁に正確に送球し刺していました。地肩自体も、結構強いのではないかと。プロの捕手としては微妙な力量ではあるのですが、周りを見る目や意識は持てているようなので、良い捕手になれる資質はあるとみます。


(打撃内容)

 圧倒的な打力があるといったほどには見えませんでしたが、外角低めの球に食らいつき、しぶとくライト前に落とす上手さもあります。またフォロースルーを生かし、パワフルな打撃を魅せていました。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を少しだけ引いて、グリップを高めに添えます。腰の据わり具合はよく下半身に安定感があり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしても悪くないように見えます。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出している、「早すぎる仕掛け」を採用。ここまで早く動き出すと、投手によっては投げるタイミングを変えられてしまい、タイミングを狂わされる危険性があります。いずれにしても、確実性を重視したスタイルなのが伝わってきました。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて、コースによってベース側に踏み込んだり、真っ直ぐ踏み込んだりして使い分けています。始動~着地までの「間」も取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。またコースによって踏み出す位置が変えられているので、内角でも外角でも幅広く対応できそうです。

 踏み込んだ前の足も、インパクトの際にしっかり止まっています。そのため逃げてゆく球や、低めの球にも喰らいつくことができます。始動が早すぎることで早く着地してしまった時でも、カカトだけは浮かして改めて踏み込むタイミングをとり直す器用さがあります。そういったタイミングの合わせ方には、光るものがありました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。ただしボールを呼び込む時にバットを投手側に倒し過ぎるのと、かなりグリップが身体の奥に入り込むのがどうにも気になります。こういった選手は、バットの出が悪くなりがちで、そのことが確実性を妨げているのではないかと心配になります。

 それでも内角の球に対しては、肘を身体につけるようなたたんで捌けます。むしろ外角の球をしっかり叩くが、苦手なのかもしれません。スイングの弧は大きく、特にフォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶ術は持てています。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 結構ボールを呼び込むまでは、目線が動いているようには見えます。しかし身体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて打てていて軸回転でスイングできていました。

(打撃のまとめ)

 まだ確実性という意味では、いろいろ課題があり絶対的なものは感じられません。それでも瞬時にタイミングを取り直す器用さありますし、ボールに喰らいつくシブとさもあります。またフォロースルーを生かした大きなスイングには、ボールを遠くに飛ばせる可能性を感じさせます。


(最後に)

 攻守に絶対的なものはありませんが、捕手としては適正を。打者としては、可能性を感じさせる素材ではありました。指名確実だとは言えませんが、育成あたりまで視野に入れられれば指名して来る球団があっても不思議はありません。個人的には、指名リストに入れるほどのインパクトは感じられませんでしたが、育成枠ならばアリの選手ではないかと評価します。


(2020年夏 京都大会)