20ky-40





早 真之介(ソフトバンク)外野手のルーキー回顧へ






 早 真之介(京都国際3年)右翼 178/78 左/左
 




 「プロ向きな性格」





 非常に攻撃的なプレースタイルで、プロ向きなマインドの持ち主ではないかと思われる 早 真之介 。三拍子揃ったアスリートタイプで、フルスイングをモットーとしているようだ。


(守備・走塁面)

 一塁までは、セカンドゴロの際に計測したときで 4.2秒弱。これでは左打者でプロ入りするような打者としては 中の下 ぐらいのタイムだが、多少緩めたところもあるのでこんなものではないだろう。二塁打・三塁打の際のベースランニングを見る限り、4.0秒前後で走り抜けるぐらいのスピード感はあるようには見えた。しかし、次の塁を陥れる積極的な走塁は目立つものの、試合での盗塁はけして多くない。

 確認した試合では打球を捕る場面をよく確認できなかったのですが、昨夏の模様を見る限り、打球勘や追い方に上手さ感じられませんでした。ただし送球はかなり強く、元々投手として140キロ近い速球を投げていたということで、肩は 中の上 以上はあるのではないかと感じられます。いずれにしても、走力も肩もある程度のポテンシャルはあるように見えましたが、プロで売りにできるほどのものかどうかはハッキリとはわかりませんでした。


(打撃内容)

 やはりこの選手の最大の魅力は、フルスイングから繰り出される、右に左へと野手の間を抜くような鋭い打球ではないのでしょうか。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップを高めに腕を前に伸ばして構えます。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはまずまずといった感じ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下りはじめる時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、アベレージヒッターなど対応力を重視する打者に多く観られます。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げ回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。アウトステップするように、元来は内角寄りへの意識が強く引っ張って巻き込みたいタイプかと。

 それでも踏み出した足元はブレずに止まっているので、アウトステップでも甘めの外角球や低めの球にも食らいつくことができ、レフト方向にも打ち返すことができていました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 グリップを大きく内に引き込むなど、そういった動作が大きく速い球への対応が心配されます。この動作をもう少し早めに小さくする必要はあると思うのですが、この動作によってボールを線で追っているところがあるので無くしてしまおうとすると持ち味が損なわれる気がします。

 バットの振り出しは、上から振り下ろして来る感じで、スイング軌道に大きなロスはありません。それでいて、けして当てにゆくようなスイングではなく、強く大きな弧で振り抜きます。スイング軌道が上からボール下に潜り込ませるようにして下から拾いあげるスイングなので、確実性よりも打球に角度をつけて飛ばせるのかもしれません。そのぶんミスショットは起こりやすいものの、ヘッドの下がりは抑えられているので、許容範囲のミート力を実現しているのではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 ボールを大きな動きの中で捉えてゆくタイプなので、目線の上下動は少なからずは生じます。身体の開きは我慢できていますし、軸足も細いものの強さは感じられます。

(打撃のまとめ)

 確実性よりは破壊力といったタイプのスイングで、捉えきれないことも多いのではないのでしょうか。ただしこの選手の、爆発力や独特の感性を秘めているので、素材としては大きく化ける可能性は感じられます。打撃スタイルとしては、少し 梶谷隆幸(DeNA)に近いタイプなのかもしれません。


(最後に)

 タイプ的には、柳田悠岐(ソフトバンク)というか 独立リーグ時代の和田 康士朗(ロッテ)を彷彿とさせます。足・肩の身体能力もありますし、秘めたる打撃の潜在能力もかなりのもの。モノになるかどうかは微妙ですが、面白い素材だと思います。高い順位での指名だと怖いですが、化けた時には大きく花開く可能性があります。こういった選手の需要があるチームならば、ぜひ加えてみたい選手ではないのでしょうか。何より、攻撃的なプレースタイルが前向きでイイです。


蔵の評価: (下位指名級)


(2020年夏 京都大会)