20ky-36





山本 大斗(ロッテ)外野手のルーキー回顧へ







山本 大斗(開星3年)中堅 180/90 右/右 
 




 「本会議で指名されるかと思っていた」





 今年の高校生外野手の中でも、全国で指折りの存在であった 山本 大斗 。旧チームから名の知られていた選手だっただけに、ドラフト会議では本会議中に指名されると思っていた。思ったよりも低評価となったわけだが、その原因などを考えてみたい。


走塁面:☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、右打席から4.3秒前後。これを左打者に換算すると、4.05秒前後に相当。プロの基準をも上回る脚力があり、見た目のゴツさの割に意外に動ける選手なのだ。ただし、このタイムは昨年図ったもの。今年計測できたものは、4.45秒(左打者換算で4.2秒に相当)と、プロの基準を下回っている。多少一塁までの走りを緩めたものであり、もう少し速くは走れるとは思うが、大方 平均レベル の脚力ぐらいだとみて良さそうだ。昨年よりも体つきが立派になった分、走力は落ちている可能性もある。

守備面:☆☆☆ 3.0

 あまり守備や肩はハッキリ見られる機会は少なかったのだが、昨夏から打球へ反応・落下点までの入りもまずまずといった感じで、送球も悪くなかった。肩も基準レベル以上はありそうで、凄い強肩というほどではないと思うが、この辺もプロの基準レベルはあると見ている。そのため強打者ではあるが、守備・走力の能力は低いとは言えない。プロでもライトもしくはレフトあたりならば、担って行けるのではないのだろうか。


(打撃内容)

 やや柔軟性に欠けるところはあるが、パワフルで右方向にも大きな打球を飛ばすことができる強打者。夏の島根大会でも、4試合で、2本 9打点 打率.467厘 という好成績でした。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足をカカトを浮かして構えます。グリップの高さは平均で、腰の据わり具合・全体のバランスとしてはまずまずで、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。一見少し硬そうに見える構えなのですが、身体を微妙に動かし揺らいで、硬くなるのを防ぐことができています。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を軽く浮かし、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため逃げてゆく球や低めの球にもついて行くことができ、右方向への打撃を可能性にしてます。気になるのは、ステップの幅が狭いこと。そのため体重が前の足に移ってゆかないので、木製バットだと、しっかり打球が飛んでゆくのかには疑問が残ります。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールは呼び込めています。バットを引くのが遅れて、立ち遅れないように注意したいところです。気になるのは、バットが遠回りに出てきてインパクトまでにロスがあること。そのためポイントも少し後ろ気味になり、右方向への打球も多いのかもしれません。

 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がっておらず、広い面でボールを捉えられています。それだけ打球は、フェアゾーンには飛びやすいのだと考えられます。またスイングの弧は大きく、最後まで大きく振り抜けて強い打球を生み出します。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは静かですが、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きも我慢できているのですが、軸足の形は少し悪いです。それは上記にも記した通り、ステップが狭く適性な体重移動ができていないから。そのため軸足が地面から真っ直ぐ伸びないまま、回転しているからではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 極端に脆いということはないのですが、けしてタイミングのとり方が上手い選手ではありません。体重移動が不充分なステップに、スイング軌道も遠回りという、金属打ちになってしまっています。そのため木製バットへの対応には、時間がかかるかもしれません。


(最後に)

 天性のスラッガーというよりは、パワフルな打撃をするものの、中距離・ポイントゲッタータイプの強打者ではないかと。守備・走塁も平凡で、打撃も木製バットへの適応に時間もかかりそうで、指名ボーダーレベルの選手だったのだと思います。そのため育成の3位という順位も、今年のプレーを見る限り妥当だったのではないのでしょうか。

 強打者の割には、対応力も適度にあったりと将来性を秘めた素材です。ただしプロに混ぜた時に、何処を売りにするのか?と言われると、現状それが見え難いのではないのでしょうか。そういった意味では、将来性は秘めているものの、育成枠の指名だったのも納得ができます。ある程度時間をかけて、スケールの大きな打者へと育ってって欲しいものです。残念ながら、本会議で指名するほどとは思わなかったので、  は付けない評価となりました。


(2020年夏 島根大会)










山本 大斗(開星2年)外野 180/88 右/右 





 「田部に続け」





 昨年DeNAに指名された 田部 隼人 に続いて、開星からプロ入りを狙えそうなのが、大型外野手の 山本 大斗 。今年の島根の中でも、最もプロに近い存在だと言える選手ではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.3秒強ぐらい。これを左打者に換算すると、4.05秒強ぐらいなので、プロに混ぜても 中の上 ぐらいの脚力になる。そのため足を売りにするかは微妙だとしても、足を引っ張るような脚力ではないということ。

 また打球へ反応・落下点までの入りもまずまずといった感じで、送球の形も悪くない。肩も基準レベル以上はありそうで、その辺はもう少し観てみないと良くわからない。 守備・走力・肩 なども 中~中の上 ぐらいはありそうな素材だった。


(打撃内容)

 旧チームでも3番を任されており、打球の速さが際立っていました。打球はどの方向にも鋭く打ち返しますが、基本引っ張って巻き込むのを得意にしています。うまく巻き込めたときには、打球が上がって左中間スタンドに叩き込む長打力があります。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを捕手側に引きながら平均的な高さで添えられています。センターカメラからみても背番号がはっきり読み取られるように、構えた時からクローズスタンスのような形をつくっています。そのため、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはイマイチ。特にセンターから右方向に打ち返す意識が徹底されているのであればありだと思いますが、打球は引っ張ることが多い打者なので引っ掛けることも多そうです。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下る切ったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。タイミングの図り方などをみると、ごく平均的な打者なのかなといった感じがします。

 ベース側に踏み出すように、外角を強く意識したスタイル。この選手は、元来腰が早く開いてしまうタイプなので、それを防ぐ意味でも踏み込むことで防ごうという意味合いが強いようです。ようは、外角が好きというよりは外角の球も引っ張り込みたいという意志の現れではないかと。踏み込んだ足元は我慢できているので、意識次第では右方向にも打ち返すことはできていました。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れないようにしています。しかし腰が早く開く割にバットは遠回りに出てくるので、内角も外角も甘めの球じゃないとさばけないのではないかと感じます。インパクトの際にはヘッドは上がってきているので、広い面ではボールは捉えられています。すなわちさばけるコースの球に関しては、打ち損じが少なく結果を残してくるタイプなのではないかと。

 スイングの弧は大きく強烈な打球を生み出す原動力になっており、けしてフォロースルーでボールを遠くに運ぶといった感じではないのですが、強烈な打球で野手の間を抜いてゆくタイプなのではないかと。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げ小さいので目線の上下動は少なめも、やや自分からボールを追いかけてしまうところがある。身体の開きも我慢できているが、軸足の形がやや窮屈。このへんは、内角さばきなどにも影響するかもしれない。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方は・合わせ方は平均的で、打てる幅も限られているのかな?といった印象は受ける。しかし打てるコースに対しては、打ち損じの少ないタイプではないかと。けして確実性が高いタイプには見えないが、打てる球を逃さず叩けるタイプであり、そういった部分では下級生でも目を惹くものがあった。


(最後に)

 体格・守備・走力・打撃とバランスは取れている選手で、どれが何か突出しているという感じではなかったものの、プロが好むタイプの右の強打者ではないのだろうか。どのぐらい凄みを増しているかはわからないが、順調に成長していれば貴重な右の強打者としてマークしている球団も少なくないだろう。夏の内容次第では、田部 隼人 に続いてのプロ入りを実現する選手ではないのだろうか。


(2019年夏 島根大会)