20ky-33
印出 太一(早稲田大3年) 捕手 184/85 右/右 (中京大中京出身) | |
コロナで選抜が中止になり、夏も交流戦で1回戦のみだった世代の、神宮大会優勝チームの4番打者・印出 太一 。最強・中京大中京の4番打者として君臨した、「まさに打てる捕手」だった。早稲田に進んでからも、3年秋のリーグ戦では、4番打者として攻守の要として活躍している。しかし、早稲田入学後の成績をたどると、思ったほどの成績は残せていない。 (ディフェンス面) 大きな体を小さくかがめ、的を大きく魅せようという意志が感じられる。返球も軽く、ガンガン俺について来いといった、投手に叱咤激励して引っ張ってゆくタイプの捕手ではない。いかに投手や審判からみて、投げやすい・見やすい環境を作り出せるのか? を意識できる捕手らしい捕手である。 高校時代は、コースから離れた球に対しては、腕を伸ばすだけで捕りゆくなど、ちょっと動きたがらない選手だった。しかし今は、そういったキャッチングも改善されており、キャッチングに柔らかさが感じられる。また、ワンバウンド処理でも下からパッとミットを出せるようになるなど、捕球全体に成長と努力の跡が感じられる。 ただし、送球に関しては、1.9秒~2.0秒ぐらいと、ドラフト候補しても、けして強肩とは言えない。ただし、送球は安定した制球力を誇り、地肩の強さや捕ってから素早く送球するといったタイプではなく、走者の滑り込んでくるあたりに、制球力よく投げ込むことでアウトにするといったタイプ。このへんが、スカウトからもどう観られるかではないのだろうか。送球以外の部分は、かなりしっかりやって来られる捕手らしい捕手といった気がしている。 (打撃内容) 2年春にレギュラーに定着し、このシーズンに.349厘の好成績を残した。しかし、以後の3シーズンでは、いずれも2割台に留まっている。また、ホームランも通算で3本塁打と、そこまで圧倒的な長打力を示せているわけではない。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いてカカトを浮かし、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては、それなりといった感じ。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ベースから離れた方向に軽く踏み出してくる。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が強い印象。 踏み込んだ足も、なんとか我慢できている感じ。そのため、逃げてゆく球や低めの球にもついて行けるものの、元来は引っ張って巻き込む打撃を得意としている感じがする。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体だが、観ているとしっかり「トップ」を作って振り出すという感じではないので、スイングが消化不良になりやすい。バットの振り出しも、内角をさばく時には肘をたたんでうまく振り抜けている。一方で外角の球に対しては、腰が早く開き少し遠回りに出てくる感じ。また、バットの先端であるヘッドも下がりがちで、少し打ち損じも多そうだ。 スイングの孤は大きめで、うまく巻き込めたときには長打も放つことができる。その一方で、センターから右方向の打球は少ない上に、あまり上がる印象は受けない。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。体の開きは腰が早く逃げがちだが、なんとか足元が我慢できているので、開きをある程度のところでは抑えられている。軸足の安定感・軸足の内のモモの筋肉の強さという意味では、そこまでではない。 (打撃のまとめ) 内角寄りの球を引っ張ることは上手いものの、外角の球に対応やスイングの精度は高くないことがわかった。そのため、外角を中心にしっかりコントロールできれば、それほど痛手を食らわないで済みそうだというのは容易に想像はつく。何度も対戦するリーグ戦のような形式だと、そういった得意・不得意が完全に相手に把握されているのではないのだろうか。 (最後に) ディフェンス全般は悪くはないものの、プロに混ぜると送球が平均~それ以下なのは気になる材料。打撃も、内角寄りの球を巻き込むスイングには優れるものの、天性の長打力があるとかいうほどでもない。また、外角への対応には課題も感じさせ、好い選手ではあるが大学からプロから指名されるかと言われると、現状微妙な印象は受ける。そういった意味では、最終学年での「打てる捕手としてアピールできるかで、その評価も変わってきそうだ。 (2023年秋 早慶戦) |
印出 太一(中京大中京2年)捕手 183/82 右/右 | |
秋の神宮大会を、圧倒的な内容で制した中京大中京。そんな中京大中京でも4番・捕手として、攻守の中心を担っていたのが、印出 太一 。まさに、打てる捕手といった選手だった。果たして、捕手としてはどうなのかも含めて、今回は考えて行きたい。 (ディフェンス面) 強打の捕手ですが、投手を叱咤激励してガンガン引っ張ってゆくタイプではありません。投手にしっかりミットを示し、的をつけやすくして構えます。一球一球の返球も軽く返す感じで、またランナーが出塁すればしっかり立ってボールを返します。そういった意味では、投手の気持ちに配慮してプレーするタイプかと。 ただし気になるのは、大型故なのか? コースから外れたボールに対し全身で止めにゆくとかそういったフットワークができないこと。そしてボールを上から捕りにゆこうとすることが多く、ワンバウンドするような球への対応などが気になります。送球に関しては、1.9秒前後ぐらいで、ドラフト候補としては平均的。しかし球筋は、比較的安定して同じようなところには送球できていました。ディフェンス全般で見ると、そこまで突出したものは感じられず、高校からプロに入るほど魅力は感じられなかったというのが、ここまで取り上げてこなかった理由かもしれません。 (打撃内容) やはり魅力は、大きなを弧を描いて放つ長打力のある打撃にあるのだと思います。秋の大会では、46試合に出場し 52打点・8本塁打・打率.483厘は、チームで常時試合に出ている野手では最高の成績でした。対応力・勝負強さ・長打力 と兼ね備えた打線の中心選手です。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を少しだけ引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背筋をしっかり伸ばし、両眼で真っ直ぐを前を見て立てています。全体のバランスとしては、それなりといった感じがします。 <仕掛け> 早め 強打者のイメージが強いのですが、投手の重心が下がりはじめる時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターの傾向が強いことがわかります。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい幅の広いタイプ。踏み込んだ前の足もブレずに止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも喰らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも遠回りはならず、インパクトの際にもヘッドが下がらずに広い面でボールを捉えられています。それだけ打ち損じが少なく、フェアゾーンに飛びやすいタイプかと。 特徴的なのは、インパクト後の弧が大きく少しフォロースルーも使ってボールを遠くに運びます。現状はそれほど打球に角度をつけて飛ばす感じでもないのですが、あとの動作を見ると長打に繋げられる形ができています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはありますが、頭の上下動は激しくはありません。身体の開きも我慢できていますし、軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、軸回転でスイングできています。好不の波も、比較的小さいタイプなのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 特にタイミングのとり方に感性なり特別なものは感じませんが、上半身にしても下半身にしても動作に大きな欠点がありません。そして何より、フォローの大きなスイングは魅力で長打を生み出す原動力に。ボールにもう少し角度が出せるようになると、長打でも売りにできるタイプに育つかもしれません。 (最後に) ディフェンスに関してはあんまりピンと来るものがないのですが、打撃に関しては素晴らしいものがあります。ディフェンスでもプロを唸らせるレベルまで引き上げられれば、その打力で高校からのプロ入りも現実味を帯びて来るのではないかと。最後の夏に、どんな姿を魅せてくれるのか、今から楽しみな大型捕手でした。 (2019年秋 神宮大会) |