20ky-3





細川 凌平(日ハム)内野手のルーキー回顧へ







細川 凌平(智弁和歌山3年)遊撃 174/74 右/左 
 




 「プロで3割打てる男」





 旧チームから1番打者を担い、当時から打撃センスはピカイチだった 細川 涼平 。最終学年ではショートにコンバートされ、果たしてプロのスカウトにはどのように映ったのだろうか? 


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 スマートな体型から俊足に見えるが、一塁までの塁間は左打席から4.1秒前後。ドラフト指名される左打者としては平均的なタイムであり、ベースランニングなどを観ているともう少し脚力がありそうには見える。これまで試合の中でも、積極的に盗塁を仕掛けることは少なかった。しかし秋季大会では、8試合で3盗塁と、そういった意識も最終学年では変わりつつあるようだった。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 打球への一歩目の判断力がよく、軽快な守備を魅せてくれた。細かいキャッチング等に関しては、まだまだ鍛えないと行けないだろう。しかし思いのほか無難にこなせている感じで、プロでもショートとして鍛えてみたくはなる。また外野手としても安定感があり、ショートとして無理でも外野では計算がたつと考える球団は少なくないかもしれない。しかしセンターラインにいてこそなんぼの選手なので、ニ遊間及びセンターのいずれかは将来的に担って欲しいタイプ。地肩に関しても、中の上 クラスではないのだろうか。


(打撃内容)

 膝やリストなどの柔らかさを生かした、対応力の高い打撃が魅力です。甲子園での交流戦では結果は残せませんでしたが、ほとんどの大会で高い打率を残してきた安定感も売りです。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは下げ気味に構えている。腰の据わりが浅いのは気になるが、両眼で前を見据える姿勢は良く、全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。打席でも、リラックスして構えられているところは良いところ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて回し込み、真っ直ぐから少しアウトステップ気味に踏み込みます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいです。内角でも外角でも打ちたいタイプですが、若干内角への意識の方が高そう。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため開きも我慢でき、逃げてゆく球や低めの球にも喰い付いて行けます。少しアウトステップ気味なので、内角の球を強く巻き込むことはできる一方で、外角の球は上手く合わせる・拾うといったスイングになりがち。このへんが、プロレベルの速くて強い球を外角に投げられた時に、苦労する可能性は無きにしもあらずかと。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力み無くボールを呼び込めるところは良いところ。ただしバットを引くのが遅れて、「トップ」の形を作るのが遅れないようには注意したい。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトというよりも、しなりを生かしたスイングはできている。そのため外角の球に対しては、ロスは感じられないスイングになっている。

 昨年まではインサイドアウトの傾向が強く、内角寄りの球を引っ張るのには適していたが、外角への対応はどうだろう?という疑問があった。しかしこの夏は、無理なくレフト方向にフライを飛ばせるようにはなっていたので、あとは内角や足を生かすためにアウトステップを継続するか、外の球はしっかり踏み込めるようにインステップも意識するかで、ボールへの力の伝わり方は代わってきそうだ。インパクトの際にはヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えるタイプ。打球には角度はつき難いが、打ち損じが少なくフェアゾーンに飛びやすい。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げも静かで、目線の上下動も少なめ。体の開きも壁を作り、しっかり我慢できている。気になるのは、軸足の膝を潰してまで、外角の球をさばいていること。それだけ膝を柔らかく使って打っているとも言えるが、ボールを呼び込んで打てているわけではないので、強い打球を生み出せるのかには不安が残る。このへんは彼の柔らかいバッティングを支えている部分であり繊細なところだが、強く鋭い打球を飛ばすという意味では気になるところではある。

(打撃のまとめ)

 全身を柔らかく使え、技術的にも高いものを持っている。ただしボールを引きつけてさばくタイプでもなく、若干アウトステップ気味なので、外角の強い球に対し木製バットでは苦労するかもという不安は残る。実際試合を観ていても、ヘッドスピードや打球の強さという意味では、ドラフト候補にしては思ったほどではなかったというのが率直な感想。その辺を短期間で払拭できるのであれば、一年目からファームの試合にも違和感なく入って行けるのではないのだろうか。

(最後に)

 打撃センスはピカイチなだけに、いずれは一軍でも戦力になる選手ではないかとみている。まして守備位置などの問題をクリアし常時出場できれば、3割ぐらい毎年残せるぐらいの資質の持ち主ではないのだろうか。ただし、将来的にもプロのショートとしてやって行けるのか? プロの球への対応にも時間がかかりそうという不安点も考えると、ドラフト指名は4位前後ぐらいに落ち着くのではないかとみている。ただし入団すれば、将来を嘱望できる球団のプロスペクトへと夢が託せる存在にはなれそうだ。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年夏 甲子園交流戦)










細川 凌平(智弁和歌山2年)中堅 174/73 右/左 





 「旧チームから一番」





 黒川史陽(楽天2位)や東妻純平(DeNA4位)などがいた旧チームのメンバーと混ざっても、打撃センスではこの 細川 凌平 が、頭ひとつ抜けたものを持っていたと評価する。新チームになってからは主将を任され、一番・中堅手として近畿大会に出場。またこのオフからは、中学以来となるショートとして勝負するという話も出ている。


走塁面:☆☆☆ 3.0

 秋の近畿大会の時にはタイムは計測できなかったが、過去に測った時には一塁まで左打席から4.15秒前後。このタイムは、ドラフト候補の左打者としては平均的で、けして突出して速いわけでは無さそうだ。

 過去甲子園には、3度・7試合に出場。しかし盗塁は1個と、それほど走塁でガンガンアピールして来るタイプではない。その辺最終学年において、どのぐらい変化があるのか見てみたい。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 打球への勘・守備範囲の広さ・落下点までの入りなどを見ていると、まずまずといった感じで下手な選手ではないはず。送球を見ていても、肩も基準以上に強そうだ。遊撃手としての守備力は未確認だが、ここでのアピールできるようだと一躍上位候補に浮上して来るかもしれない。中堅手としては、中の上 ~ 上の下 ぐらいのレベルにはあるのではないのだろうか。





(打撃内容)

 膝の柔らかさを活かし、難しい球も拾うことができる好打者です。けして長打で魅了するとか、そういった強打者タイプではありません。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的で幾分捕手側に添えている。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもまずまず。それ以上に、打席での高い集中力が感じられる。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る途中に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けであり、彼のプレースタイルにも合致している。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて回し込み、若干ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。アウトステップするように、外角よりも内角への意識が若干高めだろうか。

 踏み込んだ前足のつま先はしっかり閉じられており、アウトステップでも逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができている。しかしそういった球に食らいつくために、かなり型を崩してボールに合わせにゆく傾向が強い。そのため、外角の球を強く叩くというよりも、上手く合わせるといった形になりがち。このへんが、木製バットでプロの球に対応できるのか?という不安は感じなくもない。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力むことなくボールを呼び込めている。バットの振り出しは、上から振り下ろすインサイドアウトの軌道。真ん中~内角寄りを引っ張るのには適しているが、外の球に対しバットのしなりを活かしたスイングではないので、捉えるのは上手くても強い反発力を活かせるのかは気になるところ。

 内角の球をさばくには、肘を上手くたたんでさばけている。しかし外の球を叩く時に、肘が伸び切らず強く叩け無い部分がどう出るだろうか?

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げも静かで、目線の上下動も少なめ。体の開きも壁を作り、しっかり我慢できている。気になるのは、軸足の膝を潰してまで、外角の球をさばいていること。それだけ膝を柔らかく使って打っているとも言えるが、自分の形で呼び込めていないで打っているわけで、この辺が木製バットでも苦労するのではないかと心配になる要素となる。

(打撃のまとめ)

 ボールに合わせる・うまくさばくということに関しては、全国でも指折りの好打者ではないのだろうか。何度も書いているが、外の球を強く叩け無いスイングが、プロで通用するのか? 今後、修正が可能なのか? という部分が今後の見極めのポイントかもしれない。


(最後に)

 上のレベルでもニ遊間を担えるほどの守備力があるとすれば、この打力も加味すると上位指名になっても不思議ではない。その一方で、外野手の人材とみた場合はどうだろうか? 左打ちの好打者タイプで、走力も足もそこまで突出していないとすれば、下位指名になることも充分考えられる。そういった評価の時に、本人がプロ志望届けを提出するのだろうか?

 しかしプロ入りした先輩たちを押しのけるぐらいの打撃センスを魅せつけてきた選手だけに、プロの世界でも充分に順応して行ける素材ではないのだろうか。先輩である西川遥輝(日ハム)の方が天才気質ではあるように感じたが、こと実戦において素直に能力を発揮できるということに関しては、この 細川 凌平 の方が優れているようにも思える。いずれにしても選抜での内容次第で、その位置づけが定まってゆきそうだ。


(2019年秋 近畿大会)