20ky-29





山村 崇嘉(西武)内野手のルーキー回顧へ







 山村 崇嘉(東海大相模3年)内野 180/85 右/左
 




 「荒っぽい」





 どちらかというと、上手さとパワーが程よくバランスの取れた打者という印象が強かった 山村 崇嘉 。しかしこの夏は、結果を残そうと力んで、かなり雑な打撃をする印象を受けた。そして何より、気合が入るのは好いが、プレーが荒っぽいプレーヤーなのだと実感させられた。この闘争心が好い方に出るのか? プレーの質に繋がるかは慎重に見極めて行きたいポイント。


走塁面:☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間を、左打席から4.2秒前後で駆け抜ける。このタイムは、高校生としては遅くないものの、ドラフト指名される左打者としては物足りない。そのため動けないことはないが、走力は 中の下 ぐらいではないかと考えられる。実際プレースタイル的にも、それほど盗塁を仕掛けて来るタイプではないようだ。

守備面:☆☆☆ 3.0

 下級生までは一塁手だったので、守備でのアピールがネックだった。それでも一塁手としては、グラブさばきや動きは上手い部類だとみていた。そんな彼が、最後の夏は背番号6を付けて、ショートやサードを守っていた。想像以上に動けるところを魅せており、けしてキャッチングが上手い内野手とは言えないものの、思ったよりも無難にこなせていたように見える。元々投手だっただけに、肩はかなり強い。プロでショートは無理だとしても、プロで鍛えればサードあたりならばこなせるようになるのではないかと思える。守備が上達するのには、センス以上にミスをしてもめげない、気にしない精神面が求められる。そういった意味では、この選手は非常にメンタルの強さは持っていて、プロ入り後守備も見違えるほどになるかもしれない。


(打撃内容)

 柔らかいバッティングができる選手で、対応力とツボにハマった時の飛距離が魅力。特にスイングの弧が大きく、非常に将来性を感じさせる素材です。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足をしっかり引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わりはしっかりしていて、背筋もしっかり伸びて立てています。両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもよく、非常に雰囲気を持った強打者です。あとは、少し力が入り過ぎているので、もう少しリラックスできると好い感じです。上半身に力が入ってしまう選手は、打席でのチェックポインを下半身に置いておくと力が抜けやすいと思います。

<仕掛け> 早め~平均

 投手の重心が下がり始めてから~底あたりで動き出すことが多く、アベレージヒッターから中距離打者に多く見られる始動のタイミングです。この辺からも、ボールを手元までギリギリまで引きつけて叩く、長距離打者とは少し違うように感じます。

<足の運び> ☆☆☆★ 

 大きく足を引き上げて、真っ直ぐからアウトステップ気味に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやしい。踏み込んだ足元は、アウトステップ気味で内角への意識が強く、地面から離れるのも若干早い傾向にある。レフト方向にも打球は飛ばせるものの、きっちり打ち返したり長打を飛ばすのは、引っ張った時ではないのだろうか。外角へ逃げてゆく球や低めの球に対しては、あまり強くないと考えらられる。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で良いのだが、バットを引くのが遅れないように注意したいところ。また振り出す時に、グリップが投手方向に倒れるので、ヘッドが遠回りにまわるのが気になる。

 スイング軌道自体は、けしてインサイドアウトではないものの、外の球を捉えるまでには大きなロスは感じられない。スイングの弧が大きく、バットのしなりを生かした前が非常に大きなスイングとなっている。高校生で、これだけ前を大きく取れるスイングをしている選手は、全国でも彼ぐらいではないのだろうか? そういったスイングに、打者としての可能性を感じさせてくれる。

 最後まで大きめに取り、フォロースルーもそれなりといった感じ。現状は、流してホームランというよりも上手く巻き込めた時に凄い打球を飛ばすといった感じの、中距離・あるいは中長距離打者といった感じのスイングになっている。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるものの、目線の上下動は大きくはない。身体の開きも地面から離れるのが早く踏ん張りが不十分なのは気になるのと、少し軸足の形が崩れ気味。それでも内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 気持ちが勝ってしまって、この夏はあまり結果を残せないで終わりました。しかし持って生まれた柔らかさと強さがあり、さらに弧の大きなスイングには特殊能力を感じさせます。なんとなくですが、イメージは 高橋 由伸(元巨人) 的な感じです。打つことに関しては、プロで大化けしても全然不思議ではありません。


(最後に)

 一塁専門だった守備から、遊撃手としてアピールすることで、三塁などの内野手としての可能性を示せた夏でした。その一方で、アピールしたかった夏の交流試合で無安打に終わったのは残念。また チームメイトの 西川 僚祐 のように、わかりやすい天性の長距離砲ではなく中距離の左打者だということを、どうみるかだと思います。そういった意味では、順位的には西川より下になりそうで、5位前後ぐらいになるのではないかと私はみています。しかしプロの世界では、その立場逆転する日も近いかもしれません。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年夏 甲子園交流戦)










山村 崇嘉(東海大相模)一塁 180/85 右/左 
 




 「脆さがない」





 チームメイトの 西川 僚祐 のような生粋のスラッガーではないが、柔らかいバッティングで対応力が高いのが 山村 崇嘉 。果たして、高校からプロにゆく素材なのか考えてみた。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.2秒前後。けして高校生としては遅くないが、ドラフト指名される左打者としてはやや劣る感じで、中の下 ぐらいとみて良さそうだ。プレースタイル的にも、それほど積極的に走ってくるわけではない。

 また守備位置は一塁ということで、守備でのアピールはし難いポジション。しかしグラブさばきや動きを観ている限り、一塁手としては上手い部類の選手ではないかと思う。





(打撃内容)

 生粋のスラッガーというよりも、対応力と長打力を兼ね備えた、中距離打者、もしくは30割・30本ぐらいの中長距離ヒッターになるかもしれない。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで構え、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらい。懐に余裕があり、ボールを広く呼び込む感じで、打者としてはちょっと吸い込まれるような感覚に陥るのでは?

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターが多く採用するスタイル。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、外角よりも内角への意識が強いタイプではないのだろうか。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。そのためアウトステップでも、甘めの外角球や高めの球ならば、逃げてゆく球には対応できるし、低めの球にもついて行ける。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは、自然体で力みがない。ただしバットを引くのが遅れがちで、速い球に立ち遅れないように注意したい。バットの振り出しは、それほどロスなく振り降ろせている。インパクトの際にもバットの先端が下ることなくボールを捉えられるので、打ち損じが少なく打球がフェアゾーンに飛びやすい。

 ただしそれほどスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使うタイプではないので、打球に角度が生まれやすいかは微妙なのではないかと。時々ビックリするような飛距離を飛ばすときがあるが、あれはうまく引っ張って巻き込めた時なのではないかと。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるものの静かなので、頭の位置が動いていないところは好いところ。身体の開きも我慢できているが、軸足の形はあまり良くないのは若干気になった。それでも軸足の内モモの筋肉は発達しているので、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 柔らかい身のこなしで、対応力が高いタイプ。まだ技術的には課題を残すものの、当て勘も良く伸びて行ける余地は残されている。しかし期待ほどホームランが出るかは微妙で、現状は引っ張った時に凄い打球を飛ばすといった限られた打撃。その辺をどう見るかで、意見は別れるのではないのだろうか。ただし、流してもヒットを打てないという選手ではけしてない。


(最後に)

 特にポジションは、一塁か外野といったタイプかと。走力はさほどでもないことを考えると、守備を売りにする外野手には慣れなそう。また生粋の長距離タイプでもないので、確かに好い選手ではあるが高校からプロに入るタイプかと言われると微妙だろう。ただし本人のプロ志向が高く、育成でもいいからプロに行きたいというのであれば、何処か指名して来る球団も出てくるかもしれないが。最近では、山下 航汰(健大高崎-巨人育成)外野手のような、位置づけになるのかもしれない。


(2019年秋 神奈川大会)