20ky-25


 




 宗山 塁(明治大4年)遊撃 175/78 右/左 (広陵出身)
 




 「鳥谷以来ではなく、鳥谷以上」





 大学生では、あの 鳥谷敬(元阪神)以来の逸材と言われてきた 宗山 塁 。しかし今や、鳥谷の大学時代よりも上ではないかと思うぐらい、欠点のない選手になりつつある。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 宗山の唯一の欠点ともいうべきものが、走力の無さだった。そのため今までは、左打席から 4.3秒前後 と、ドラフト候補でも遅い部類だった。しかし、
この秋の宗山は、明らかに速い。一塁までの塁間も、4.0秒を切るようなタイムを何度も叩き出すようになり、実際走っているスピード感も違ってきている。ただし、盗塁に関しては、13試合で0個と、相変わらず、盗塁を仕掛けてくるプレースタイルではありません。果たしてプロでは、どのような感じになってゆくのだろうか?

守備面:
☆☆☆☆★ 4.5

 守備に関しては、アマチュアの段階ではどうこういう必要のないレベルに到達している。
余裕があれば丁寧に捕球し、チャージする時にはしっかり前に出てこられるし、何より素晴らしいのがボールを捕ってから投げるまでの握りかえの速さにある。普段はそれほど強い送球はしないものの、必要があれば深いところから鋭い送球を魅せる。そういった守備や送球の仕方を、状況に応じて自在に使い分けられる。実際のところ地肩に関しては、プロに混ぜても 中の上 レベルはありそう。そして、ショートとしての総合力は、今すぐプロに混ぜてもトップクラス に位置するだけのものがあると評価する。





(打撃内容)

 4年春は怪我で出遅れ、無理やりリーグ戦に復帰するも調子を取り戻せず終わった。日本代表にも参加せずに、しっかりした調整を積んで挑んだ秋の成績は、
13試合 2本 12点 打率.400厘(2位) という好成績で、改めてこの選手の底力を思い知らされた。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 
前の足を軽く引いてカカトを浮かし、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなりといった感じです。打席でも、
リラックスして構えられているところは良いところ。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用。ここまで早いと、まだ投手が投げるタイミングを変えられるので、フォームによって崩される危険性を感じます。元々「早めの仕掛け」で始動していた選手なので、投手の重心が下がり始めてから動き出しても良いようには思います。たまたま、フォーム分析した打席がそうだったのでしょうか?


<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を早めに長く引き上げつつ。軽くベースから離れた方向にアウトステップしてきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。以前は真っ直ぐ踏み出しましたがが、軽くアウトステップすることで、内角への意識が強くなっているのかもしれません。それ以上に、最初の一歩目のスタートが切りやすくなり、一塁まで到達タイムを大幅に縮められるようになったことが大きい。


 
踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。実際打球も、どの方向にもはじき返すことができていました。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しも、けしてインサイドアウトではないものの、外角の球を捉えるまでにロスは感じません。むしろ、バットのしなり活かしてスイングができるので、思った以上に打球が伸びてゆきます。


 
また、インパクトの際にヘッドも下がっていないので、広い面でボールを捉えられます。したがってフェアゾーンにボールが飛びやすいスイングです。けして打球に角度を付けて飛ばすスイングではないのですが、この秋に向けて身体を鍛えてきたのか? 以前ほどスイングにひ弱さが無くなりました。またリストの強さを活かして、スタンドまで飛ばす打球が目立つようになってきました。明らかに、飛距離も変わってきているのではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢でき、軸足も崩れず安定しています。それだけ、調子の波は少なそうなスイングです。まだ、内モモの筋肉が発達しているとか、そういった感じはしませんが、軸足には適度な粘りを感じます。元々スイングの弧は大きめにとっても、それを支えるだけの下半身や身体の強さが足りなかった部分が、支えられるようになってきています。

(打撃のまとめ)

 下級生の頃から、ミートセンスは光っていました。しかし、スイング自体に弱さがあり、まだ大きなスイングを支えられる身体ではなかったように思います。それが、だいぶスイングに合った身体になってきた感じです。このへんは、さらにプロ入り後鍛えることで良くなってきそうです。技術的には、かなり完成度の高いスイングになり、高いレベルへの順応も早そうです



(最後に)

 課題であったスイングや身体の強さに改善が見られたことと、唯一の弱点ともいうべき走力にも明らかな変化が感じられます。遊撃の守備力は健在ですし、正直穴の無さといった意味では、大学時代の 鳥谷 以上の完成度だと言えます。鳥谷の時は、結構クセのあるバッティングフォームで、プロでの活躍には少し不安があった選手なので。


 
そのため、ここまで穴の少ないアマチュア選手は、個人的には記憶がないほどのレベルにあります。まだ一年間戦うだけの体力や筋力的な部分での不安は残るものの、普通にやれれば一年目から遊撃のレギュラーに定着。数年後には、球界を代表するショートへと駆け上がってゆくだろうという青写真が描けます。一年目から野手がプロでレギュラーを奪うことは容易ではないのですが、あえて2割8分前後の打撃成績と球界トップクラスの守備を魅せてくれることを期待してみたいところです。文句なしに、今年の目玉選手です。


蔵の評価:☆☆☆☆☆ (目玉級)


(2024年秋 リーグ戦)









宗山 塁(明治大3年)遊撃 175/79 右/左 (広陵出身) 
 




 「鳥谷以来の大学生遊撃手」





 大学生ショートとしては、あの 「ミスタータイガース」 鳥谷 敬 以来の存在と言えるのが、この 宗山 塁 である。広陵時代の下級生の頃から気になる存在だったが、最終学年ではそれほどドラフト候補として騒がれることなく終わった。しかし、3年夏の広島大会を観ていて、攻守にポテンシャルの高い選手に成長していて、将来楽しみな選手だなと強く実感させられるまでになっていた。


走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.3秒前後と、プロに入る左打者としては、むしろ基準より遅いぐらい。実際大学での盗塁数も、0個~2個 ぐらいと多くはない。また、打ち取られた打球などでも、かなり緩めて走っていることが多く、
走塁への意識は、けして高い選手とは言えないだろう。とかくスリムな体型で走力にありそうに見えるが、走力は 中の下 ぐらいだと考えておくべきではないのだろうか。

守備面 ☆☆☆☆★ 4.5

 一方の遊撃の守備に関しては、正真正銘で
すでにプロ級といえるレベルにある。余裕があれば丁寧に捕球し、チャージする時にはしっかり前に出てこられるし、何より素晴らしいのがボールを捕ってから投げるまでの握りかえの速さにある。普段はそれほど強い送球はしないものの、必要があれば深いところから鋭い送球を投じる。そういった守備や送球の仕方を、状況に応じて自在に使い分けられる。実際のところ地肩に関しては、プロに混ぜても 中の上 ぐらいはありそう。そして、ショートとしての総合力は、今すぐプロに混ぜてもトップクラスに位置するものがあると評価できる。





(打撃内容)

 
まだひ弱な部分は残るものの、ミート能力が確かで打撃の才能も悪くない。2年春には、打率.429厘で首位打者を獲得。ここまでの三年間の通算打率も打率、.348厘 とかなり高い。打撃は突出していないものの、潜在的な当て勘はかなり高いと観て良さそうだ。


<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして立ちます。グリップを下げ気味に添えて、リラックスできています。背筋を伸ばしつつも、腰の据わり具合や全体のバランスとしては並みぐらい。両眼での前の見据えるは、悪くないように思います。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて、前に踏み込んできます。始動~着地までの
「間」は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っすぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいといったタイプでしょうか。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にブレずに止まっています。したがって、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができますし、実際そういったボールを流して打ち返すケースも少なくありません。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないものの、
インパクトまでロスなく振り抜けています。インパクトの際にもヘッドが下がっていないので、広い面でボールが捉えられ、フェアゾーンにボールが飛びやすいのでは?

 スイングの弧は大きめに取るので、タイミングさえ合えば結構長打もあるのかもしれません。ただし、現状はそこまで筋力・ヘッドスピードが鋭くないので、そのスイングを活かせるほどの打撃はできていない気がします。形や資質は悪くないものの、、
まだ筋力・体が付いていっていない感じはします。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、軸足にも適度な粘りが感じられます。ただし、軸足の
内モモの筋肉(内転筋)に強さが感じられないので、その辺がスイングや打球に力感が物足りなく見える要因ではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 
ボールを捉えセンス・体の使い方の柔らかさなど、ミート能力には良いものを持っています。その一方で、まだ体の強さの方が物足りなく、まだまだ力負けしたり、打ち損じてしまうことも少なくありません。プロでも3割を打てる才能はあると思いますが、現時点ではそこまで打撃で異彩を放つほどには突き抜けてはいない印象です。


(最後に)

 走力はともかく、守備のレベルは現時点でもプロでも上位クラスにあります。打撃も潜在能力は高い素材だと思いますが、けして突き抜けているわけではありません。この辺の
ひ弱さみたいなものや走塁への意識などが、最終学年にいかに変わってくるかではないのでしょうか。それでも、間違いなく鳥谷以来の大学生ショートといえ、よほどのことがない限り、秋のドラフト会議では1位指名で競合・その可能性は高そうな選手ではないのでしょうか。ぜひ、隙無しの「鋭さ」みたいなものを、彼から感じるようになって欲しいものです。


(2023年秋 六大学リーグ戦)









宗山 塁(広陵2年)遊撃 173/70 右/左 





 「大学タイプかな」





 1年秋の神宮大会・2年春の選抜大会と出場し、そのセンスの高さが注目されてきた 宗山 塁 。2年夏の広島大会では、スタメンで出場していなかった。そのため、2年春の選抜以後の成長が正直よくわからない。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.35秒ぐらい、けして速くない。もっと速いタイムも出せそうなものの、盗塁数も少なく足を売りにするようなプレースタイルでは無さそうだ。

 また選抜の舞台では、ボール処理に慎重になってしまいエラーを連発。元来キビキビしたスピード感のあるプレーが魅力で、地肩も基準以上のものがありそう。やや不安定な部分が、最終学年どのぐらい解消されていたが確認したいところだったのだが・・・。

 昨年の選抜のプレーを見る限りは、センスは感じても高校からプロにゆくほどの絶対的な走力や守備ではなかった。


(打撃内容)

 選抜では、2試合に出場して7打数の1安打。凄みのある強打者ではなく、筋の良い好打者タイプに見えた。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を少し引いた左打者で、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばし、全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢はそれなりといった感じだった。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まって、つま先閉じられ我慢できていいる。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくができている。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力み無くボールを呼び込めている。バットの振り出しも、上から振り下ろして来るインサイドアウト。特に、内角寄りの球を脇を閉じて引っ張る打撃を好む傾向にある。その一方で、外角の球を強く叩くということに関してはどうだろうか?

 脇を上手く絞って打てる選手に多いのは、逆に遠くの球を腕を伸ばして打つ強く叩けない、しっかり流せないという選手が意外に多い。彼にも、そういった傾向があるのではないかと思えてしまう。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は小さめ。身体の開きも我慢でき、軸足を起点にキレイに回転できている。

(打撃のまとめ)

 引っ張る打球が目立つのだが、左方向にしっかり流す、強く打ち返すということはどうなのだろう?という疑問を持った。内角低めの球を、上手くヒットにするのは上手い打者に思える。技術的にも高いものは持っており、反対方向への打撃が最終学年にどのぐらい改善できているのか見てみたい。


(最後に)

 守備・走塁・体格的に際立つものはなく、野球センスと技術の高さが魅力の選手。そういった意味では、ドラフト候補というよりも、名門・強豪大学や社会人に進むタイプではないかみている。果たして、最終学年に凄みを増した姿を確認できるのだろうか?