20ky-23





入江 大樹(楽天)内野手のルーキー回顧へ



入江 大樹(仙台育英3年)遊撃 185/83 右/右 
 




 「大型でも雑じゃない」





 けして俊敏な選手ではないが、1つ1つのプレーに雑なところがないのが好感が持てる 入江 大樹 。大型のショートストップだけに、いかにプロが好みそうなロマン溢れる選手だった。


ディフェンス面:☆☆☆★ 3.5

 大型でも重苦しいところがなく、打球への反応や動作の切り返しなども鋭い。しいて言えば、腰高の部分がありキャッチングがどうなのか?という疑問は残っていたが、この夏はあまりそれも気にならなくなってきた。深いところからも踏ん張って強い返球ができるなど、肩もかなり強い部類。けして細かい動きができるタイプではないが、丁寧なプレーを心がけるのでミスも比較的少ないのではないかと。プロのショートとしては厳しいかもしれないが、セカンドやサードあたりならば充分こなせるぐらいの選手にはなるのではなかろうかと。

走塁面:☆☆ 2.0

 この夏の交流戦では計測できなかったが、以前計ったときは一塁までの到達タイムは右打席から4.65秒前後。これを左打者換算すると、4.4秒前後に相当。これは、プロに入る打者の走力なると、かなり遅い部類。もう少し速いタイムは出せるのかもしれないが、上のレベルで足を売りにするといったスピード感は感じられない。


(打撃内容)

 弧の大きなスイングから、思いっきり引っ張ったく強打者。けして打球に角度をつけて運ぶタイプではないが、強烈な球足で野手の間を抜けてゆく、中距離・ポイントゲッタータイプの強打者ではないのでしょうか。夏の交流試合でも、外野の頭をあっという間に越えていった。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて後ろ足に少し重心を預けつつ、グリップの高さは平均的だろうか。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとそれなりで、打席では高い集中力が感じられる。大型でも、ボヤけたところがないところが良いところ。

<仕掛け> 早めか遅め

 投手の重心が下る時に足を回し込むときと、一度つま先立ちしてから再度ステップして来る時がある。状況や相手投手に寄って、使い分けているのではないのだろうか。ヒット狙いの時と、長打狙いの時とで違いがみられる。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 早めに動き出したときは、足を上げて回し込み真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 気になるのは、若干上半身の振りが強く下半身が支えきれず踏み込んだ足元がブレやすいこと。これによりパワーロスしたり、開きを充分に抑え込めていないことがある。基本的にこの選手は、引っ張りを好む傾向が強いのだと考えられる。外に逃げてゆく球や、低めの球への対応が今後課題になりそうだ。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力みなくボールを呼び込めている。バットの振り出しは、上から振り出してくるインサイドアウトの軌道。内角寄りの球に対しては、脇を閉じてうまくさばけている。

 やはり気になるのは、打ちにゆく時に少しグリップが上がるヒッチする癖があること。そして外角の球に対しても、ダウンスイングになるので、木製バットだとしなりを活かせないのと広い面でボールが捉えられないことが多く、確実性が乏しい点ではないのでしょうか。しっかりタイミングとミートポイントが一致すれば飛んでゆくのですが、その確率が低いスイングをしています。これを将来的に、改善して行けるかがポイントではないかと。

<軸> ☆☆★ 2.5

 目線の上下動はそれなりといった感じだが、開きを抑えられていない。また軸足の形も前に傾く時があり、ボールを引きつけて軸回転さばけているといった感じではないので、身体が突っ込むのに注意したい。内モモの筋肉は強く発達しているので、強烈な打球を飛ばせる原動力にはなっている。

(打撃のまとめ)

 腰が早く逃げたり、上半身の動きに癖があったりと、素直に今後伸びて行けるかには疑問が残ります。それでも持っている資質は高く、上手く個性を引き出させることができる指導者や環境の元であれば、大きくその才能が開花するかもしれません。入団する球団によって、大きく将来が変わって来そうな選手です。


(最後に)

 プレーに集中力と丁寧さがあり、大型選手独特の緩さがないところが良いところ。かなり癖のある素材だとは思いますが、本人の意識も高さそうなので、その壁を乗り越えて行ってくれるのではないかという期待も抱きたくなります。

 個人的には、同タイプであった昨年の 紅林 弘太郎(駿河総合-オリックス2位)や田部 隼人(開星-DeNA5位)よりも評価しています。順位的には、3位~5位ぐらいでは指名されるのではないのでしょうか。時間は5年ぐらいはかかるかもしれませんが、期待して見守って行きたい選手でした。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年夏 甲子園交流試合)










入江 大樹(仙台育英2年)遊撃 185/83 右/右 
 




「ポテンシャルは高い」 





 185センチの大型内野手ながら、最初の一歩目が鋭く動きの良さが目をひく 入江 大樹 。打っても・名門仙台育英の4番打者に旧チームから座っており、昨夏の宮城大会では13安打を放ち、打率.565厘と大活躍でした。


走塁面:☆☆ 2.0

 一塁まで到達タイムは、右打席から4.65秒前後。これを左打者換算すると、4.4秒前後に相当。これは、プロに入る打者の走力なると、かなり遅い部類。夏の宮城大会では6試合で2盗塁を記録するなど、全く動けないわけではないのだが ・・・ 。上のレベルで、足を売りにするタイプではないように思える。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 大型でも重苦しいところがなく、打球への反応・動作の切り返しも鋭い。しいて言えば、腰高の部分がありキャッチングがどうなのか?という疑問は残る。深いところからも踏ん張って強い返球ができるなど、肩もかなり強い部類だと言えるであろう。ちなみに昨夏の宮城大会では、6試合で1失策と安定感もまずまず。プロでは、ショートよりも大型セカンドやサードを担うことになるかもしれないが、スケールの大きな内野手であることは間違いない。


(打撃内容)

 けして天性の長距離砲という感じではないが、思いっきり引っ張ったくタイプで、スイングの弧も大きく打球は強烈。秋の神宮大会では、レフトスタンド中段に叩き込むなどツボにハマれば飛ばせるパワーも秘めている。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰を適度に沈めつつ背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてもまずまず。打席でも、高い集中力が感じられるところは良いところ。大型選手に見られがちな、ヌボ~としたところがない。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる始動のタイミング。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げてまわしこみ、真っ直ぐ踏み出すことが多い。始動~着地までの「間」はそこそこ取れていおり、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できている。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいという意志が現れている。

 投手の重心が沈む時にカカトを一緒に合わせてタイミング取れているため、大型でもタイミングをあわせるのは下手ではない。ただし踏み込んだ足元が、若干止まり切らずプレがちなので、開きを充分に抑え込めていなかったりしている。

<リストワーク> ☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。少し気になるのは、バットを引く時にグリップを少し引き上げる、ヒッチ的な動きをみせること。これが一つ、作り出したタイミングを狂わす要因にならないのか?という疑問は残ります。まぁ極端ではないので、あまり神経質にはならなくて良いとは思うのですが。

 腰は早めに開くタイプで、バットも少し遠回りに出てきます。それを補うためか? 上から下に振り下ろす極端なダウンスイングを心がけ、ロスを少しでも減らそうとしています。したがって打撃は、基本的に引っ張っり中心のスイングになります。インパクトの際にも少しバットの先端であるヘッドが下り気味になるので、打ち損じも少なくありません。しかしボールを捉えたあとは、大きな弧で振り抜けており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は小さいです。しかし身体の開きが充分抑え込めていない上に、軸足の形も大きくは崩れていないものの、しっかり地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングしているというほどではありません。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方は下手ではないのですが、腰が早く開き足元が我慢しきれていなかったり、バットの振り出しもやや遠回りで内角のさばきも窮屈なのをみると、技術的には改善してゆかないと行けない部分は少なくありません。その辺を、スカウトがどう考えるかではないのでしょうか? ただしこういった選手は、理屈でなく結果が出たりやすいので、そういったポテンシャルの高さは感じられます。


(最後に)

 イメージ的には、昨年指名された 紅林 弘太郎(駿河総合-オリックス2位)や田部 隼人(開星-DeNA5位)などの大型遊撃手などを彷彿とさせるタイプです。守備に関しては、この手のタイプにしては重苦しさがなく、反応の鈍さもないので好感を持っています。

 打者としても、大型選手故に技術的に粗い部分はあるものの、それでも結果を残せてしまうポテンシャルの高さも感じます。技術的には課題も多いのですが、タイミングを合わせるのは下手ではないというところに、この選手の可能性を感じさせる部分でありました。いずれにしても、非常にスケールを感じさせる内野手。プロ志望であるならば、高校からプロに行ける選手ではないかとみています。


(2019年 神宮大会)