20ky-17
相羽 寛太(21歳・ヤマハ)遊撃 178/76 右/右 (静岡高出身) | |
ドラフトを直前に控え、にわかに指名の可能性が増してきていると言われる 相羽 寛太 。 静岡高校時代からプロ注目の遊撃手であったが、あれから3年を経て、どのような状況なのか考えてみた。 走塁面:☆☆★ 2.5 5月に足を故障して、都市対抗では満足なプレーができなかった。それでも出場してた時には、右打席から一塁到達タイムは、4.5秒前後(左打者換算で4.25秒前後に相当)。これは、プロの右打者としては、平均より劣るレベルであることがわかる。多少緩めて走っていたので、もう少し平均に近いタイムは出そう。しかし、3年間の社会人生活でも、盗塁を記録したことはない。高校時代からも盗塁を仕掛けるような選手ではないので、基本的に足でアピールするようなプレースタイルではないのだろう。 守備面:☆☆☆★ 3.5 高校時代から定評のあった、球際での強さが魅力のショート。眼の前でバウンドが変わっても、瞬時に反応してさばける咄嗟の判断に優れたものを持っていた。ダイナミックな動きをする攻めのプレーができる一方で、安定感も兼備していた。地肩も基準以上で、プロレベルでも二遊間で勝負して行ける守備力が最大の売り。ただし、社会人では30試合で5失策ということは、120試合ぐらい出場した場合、20失策する換算になるわけで、そういった意味では安定感という意味ではさほどではないことも頭の片隅には入れておいた方が良いのはないのだろうか。 (打撃内容) 直近の10試合では、打率.435厘 と好調です。しかし、都市対抗で唯一スタメン出場した三菱自動車岡崎戦のヒットは、ボテボテの当たりが内野安打に。その後の2試合の公式戦で5安打を放っているのですが、相手が強豪とは言えないチーム相手だけに、何処まで信用して良いのかは微妙だと言わざるえません。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、カカトを浮かし後ろ足に体重を預けて構えます。グリップの高さは平均的ですが、あらかめじ捕手方向にバットを引いており、全体のバランスとしては癖のある形です。それでも、両眼ではしっかり前を見据えられているので、球筋を錯覚を起こすことなく追うことはできています。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。打撃は好打者タイプというよりも、強打を売りにしたスタイルです。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足をしっかり引き上げ、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。インステップするように、外角への意識が強いことが伺えます。 ただし、踏み込んだ前の足がインパクトの際に動いてしまっているので、外に逃げる球や低めの球には強くはありません。上手く引っ張り込めた時や高めの球には対応できるでしょうが、穴が大きい粗い選手ではあることは否めません。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 あらかじめ捕手方向にグリップを引いているので、打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れています。そのため速い球に立ち遅れる心配はないのですが、引いて構えることで力みが生じやすく、リストワークの柔軟性が損なわれる危険性があります。 バットの振り出し自体は、インパクトまで大きなロスは感じません。ヘッドも下がらず、最後までしっかり振り抜けています。捉えることができれば、強烈な球足で抜けてゆく、そういった打球は飛ばせそう。確実性は低いのですが、けしてひ弱な選手ではありません。 <軸> ☆☆ 2.0 足の上げ下げは結構大きいので、目線の上下動は少なくありません。体の開きも我慢できていませんし、軸足も前に崩れがちで自分からボールを追いに行ってしまうのも気になるところではあります。 (打撃のまとめ) スイング軌道に癖がないのは魅力ですが、癖が強く粗さの残る打撃です。そのため、プロに入っても即一軍でといった感じではなく、ある程度ファームでスイングを作り上げてゆく時間が必要なのではないのでしょうか。 (最後に) 社会人で3年間経ましたが、一年目から一軍でというよりも、ファームで数年鍛えてどうかといったタイプであるように思います。そういった意味では、今が「旬」の時期からと言われると、個人的には疑問が残ります。二遊間が不足する今年のドラフト戦線において、さらに貴重な右打ちというアドバンテージはありますが、個人的にはもう少し待った方がプロ入りはよいのではないかと感じました。 (2023年 都市対抗) |
相羽 寛太(静岡2年)遊撃 177/76 右/右 | |
夏の甲子園では、4打数無安打 で終わった 相羽 寛太 。しかしそれ以上に痛かったのが、対戦した津田学園戦では打球が飛んで来なく自慢の守備でもアピールできなかったことではないのだろうか。この選手、まだまだ打撃の確実性には課題はあるものの、非常にスケール型の野手なのではないかと思えてきた。イメージ的には、太田 椋(天理-オリックス1位)的な存在なのかもしれない。 (守備・走塁面) 旧チームでは1番を担っていたが、夏の静岡大会の7試合で盗塁は0個。積極的に、盗塁を仕掛けて来るタイプでは無さそうだ。残念ながら、一塁までの到達タイムは確認できず今後のチェックポイントに。 最大の売りは、球際で強い守備にあります。難しい体勢からでも、バウンドにも瞬時に対応してアウトにできます。ダイナミックかつ安定感もあり、夏の静岡大会でも7試合で1失策でした。少々守備範囲はどうなのかな?と思える部分は感じましたが、スケールの大きな守備を見せる選手なので、打撃の成長次第では一気にブレイクするかもしれません。 (打撃内容) 静岡大会でも打率.240厘とイマイチでしたが、7試合で7四死球と出塁率が高いのが特徴。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスは良いのですが、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらい。ボールを呼び込むときには、クローズ気味になるのは気になります。それでも構えはビシッと決まっており、打席での集中力の高さは感じます。四球が多いのも、そういったところから繋がっているのかもしれません。 <仕掛け> 早め 追い込まれるまでは、投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。追い込まれると、ノーステップ打法に切り替えてきます。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、ベース側にインステップして踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いのかもしれません。 踏み出した前の足は、なんとかブレずに我慢。そのため、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。気になるのは、少々ステップが狭いせいなのか? 高めに球に対しバットの出が悪い印象を受けました。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は薄い気がします。気になるのは、ボールを呼び込む時に前の肩が入り過ぎているので、どうしても高めや内角の球に対しバットが出にくいのだと感じます。元来ならばステップも狭めなので内角の球を引っ張るのはうまそうですが、この肩が内に入り込み過ぎることが内角のさばきを阻害しています。 しかし外角の球に対しては、それほどロス無く振り出されています。バットの先端であるヘッドの下がりも極端ではないですし、スイング自体は非常に大きな弧を描いて振れており、当たらないだけで捉えたら強烈な打球を飛ばすのだろうなといった印象を受けました。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げはそれなりにあり、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きも、しっかり我慢できるわけではなく、なんとか我慢できてるといった感じ。ぞれでも軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、また軸足の内モモの筋肉も想像以上に発達しているのではないかと感じました。タイミングさえあえば、軸回転でキレイにスパンと振り抜けそう。 (打撃のまとめ) ボールの呼び込み方も良く、下半身の使い方も悪く有りません。何度も書いているように、前の肩が大きく中に入るスイングが改善できると、打てる球にも広がりが出てきそう。スイング軌道も軸も悪くないですし、想像以上にスイングは大きく強打者スタイルだということ。守備の人だと思われていた 太田 椋 が、最終学年で長打を連発できるようになったように、彼にもそういった可能性は感じられます。 (最後に) 遊撃の守備には見るものがあるので、あとは打撃の確実性をいかに高められるかではないのでしょうか。甲子園ではよくわからなかった部分も多かったのですが、静岡大会から際立っていた遊撃守備に加え、打撃もスケールの大きな強打者タイプなのだとわかりました。その成長を楽しみにして、今後も追いかけて行きたいと思います。 (2019年夏 甲子園) |