20ky-15
元 謙太(中京大中京3年)遊撃 186/85 右/右 | |
昨夏から9番打者とは思えない打球の速さと打力を誇っていた 元 謙太 。一年経って、チームの中心選手として、確かな成長を遂げていた。何か技術的に凄いとか、めっぽう打球を飛ばす長距離砲という感じではないものの、乗りに乗っているときの爆発力は、まさにプロの素材といった感じがする。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、右打席から 4.5秒ぐらい。これを左打者に換算すると、4.25秒ぐらいと驚くようなタイムではない。実際50メートル5秒9で走る能力もあり、配球を読んで盗塁を決めるという強かさも兼ね備えているという。なかなか正確な走力は伺い知れないが、プロの世界では走力でもアピールできるだけの潜在能力を秘めているのかもしれない。プレースタイルがイケイケで攻撃的なので、プロの環境に慣れたら走塁でも異彩を発揮しはじめる可能性は秘めている。 守備も、思ったよりも無難に守れていた印象。サードの頭を超えたような打球を、飛び込んでダイビングキャッチしたのには正直驚いた。投手でも140キロ前後投げられる地肩に加え、以外に考えて投球ができていた。監督曰くハンドリングにも優れており、どこでも器用に守れるセンスがあるのだという。 そういった意味では走力も守備もまだまだではあるが、それを無難にこなせてしまう器用さとセンスを兼ね備えているタイプ。けして、高い身体能力にかまけた選手ではない印象がある。時間はある程度かかるかもしれないが、守備的負担の大きなポジションでも、ある程度こなせてしまう能力を秘めているのかもしれない。何より守備が上達するのには、上手い下手という以上に、あまりミスを引きずらないマインドの方が大切だということ。そういった意味ではこの選手は、プロ向きなのかもしれない。 (打撃内容) 右方向への打球も観られるが、長打を連発するのは引っ張って巻き込んだとき。意外に内角の球を、うまく回転してさばけている。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を少しだけ引いて、体重は少し軸足にかけ気味に立っている。グリップの高さは平均的で、腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなりといった感じ。打席では、グッとアゴを引いて集中力が感じられる。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈むときに動き出し、つま先立ちします。そして本格的に動き出すのは、投手がリリースを迎える直前ぐらいと「遅すぎる仕掛け」を採用しています。ここまで遅いタイミングだと、日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、プロレベルのスピードに対応するのは厳しくなります。今後は、いくぶん早く動き出すことが求められるのではないのでしょうか。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を軽く浮かし、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短いので、いろいろな球にタイミングを合わせるいうよりも、狙い球を絞り逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。 踏み込んだ前の足は、けしてインパクトの際にブレずに止まっているわけではありません。むしろインパクト後は、地面から離れるのが早い引っ張りの打者に多く観られるスイングです。そのため外に逃げてゆく球や低めの球には強くありませんが、高めの球であれば払うような感じで右方向への打撃も可能です。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、インサイドアウトでも遠回りに出てくるわけでもなく、ごく平均的なスイング軌道。内角の球を引っ張って巻き込むのは得意なものの、ものすごく肘をたたんで上手く回転しているというよりも、スペースを確保できたときにキレイに腰が回転する感じのスイングをしている。 外角の球に対しても平均的な軌道ではあるものの、インパクトの際にはヘッドが下がらずに広い面でボールを捉えられている。そのため、フェアゾーンにボールが飛びやすい。スイングの弧自体はある程度大きいが、フォロースルーを使って上手く運んでいるわけでもなく、金属バットの反発力と身体の強さを活かしてボールを飛ばしている感じ。だからこそ長打は、引っ張ったときが多いのではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが少ないので、目線の上下動が小さいのが特徴。身体の開きは充分我慢できているとは言い難いが、軸足を起点にキレイに回転できている。しいて言えば、強打者の割にそれほど内モモの筋肉が発達しているとかいうほどではないので、これから筋力を付けてゆく選手なのではないのだろうか。 (打撃のまとめ) 技術よりは、明らかに感覚でプレーしているといった感じで、それでもこれだけできてしまうのはポテンシャルの高さを感じずにはいられない。またスイング軌道には大きな癖はなく、始動を早めて動作に余裕を持たせつつタイミングのとり方を学んで欲しい。そういったことができるようになったときに、どのぐらいの選手になっているのか気になるところだ。 (最後に) 理屈で言えばまだまだの選手なのですが、感覚的には素晴らしいものを持った選手です。絶対モノになるとは言えませんが、持っている資質は極めて高い気がします。内角などのさばきなどは、何処か 清原和博 を彷彿させるものがあります。またイケイケのプレースタイルや好調時の爆発力は、鈴木誠也(広島)の二松学舎大付属時代とダブるものがあります。そこまでの大物に育つかはわかりませんが、なにかをやってくれるのではないかというワクワク感を抱かせてくれる数少ない選手ではないのでしょうか。球界の、スターになれる逸材です。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2020年夏 岐阜大会) |
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元 謙太(中京大中京2年)外野&内野&投手 186/78 右/右 | |
昨夏の甲子園で、9番打者ながら3安打を放ち異彩を放っていた 元 謙太 。岐阜大会から打球の速さには目を見張るものがあって注目していたが、作新学院戦では逆転となるホームランをレフトスタンドに叩き込んだ。 (守備・走塁面) 北照戦では打球が飛んで来なく、左翼手としての守備力はよくわからず。一塁手としての動きはけして悪くなかったが、春までは三塁を担っていたという。また投手としてもマウンドに上がり、130キロ台中盤~後半の速球を投げるなど地肩には一定の強さがあるとみて良さそうだ。 文句なしの打球が多いので、一塁到達タイムも計測できず。甲子園での4試合では盗塁はなかったが、岐阜大会の6試合では2盗塁を記録するなど、ベースランニングを見る限り全く動けない選手では無さそうだ。肩も強く守備的負担の大きなポジションを任されないことからも、身体能力はあっても、それをうまく活かすことに課題のあるのではないのだろうか。そのため走力があっても、盗塁はうまくないのかもしれない。 (打撃内容) 生粋のスラッガーとかそういった感じではないのだが、身体の強さと金属バットの反発力でスタンドまで持っていってしまうのだろう。緒戦の北照戦では、右に左のセンターへと打球を打ち分けていた。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽くだけ引いて、グリップの高さは高めに添える強打者スタイル。背筋をスッと伸ばしつつも、全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいだろうか。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈む時に動き出すつま先立ちし、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、ここまで遅い始動をを扱うのは極めて難しい。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を小さくステップさせて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が取れないので、どうしても打てるポイントは点になり限られます。それだけ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい幅の広いタイプ。 踏み出した前の足は、少しブレるものの、これならなんとか我慢できていると言えるでしょう。そのため逃げて行く球や低めの球にもある程度ついて行くことができ、右方向にも強い打球を飛ばせていました。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」に近い位置にグリップを早めに持って来られているので、始動が遅くてもある程度速い球に対応できているのかもしれません。バットの振り出しは、内からバットが出てくるという感じではないのですが、遠回りというほどでもなく平均的。 そのためある程度内角へも対応できますし、外角の球に対してもレベルスイングでバットの先端であるヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えています。こういう選手は、打球がフェアゾーンに飛びやすい。けしてボールの下を叩いて、角度を飛ばすタイプのスイングではありません。こういった選手がホームランを打つ時は、うまく巻き込めた時の引っ張るときではないかと思います。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さめ。身体の開きもなんとか我慢でき、軸足もある程度安定はしています。タイミングを取れるようになれば、調子の波は少なくできそうです。 (打撃のまとめ) スイング軌道など上半身に関しては、思ったほど癖のない感じ。その一方で、タイミングがうまく取れないタイプなので、いかに甘い球を逃さないで叩けるかに懸かっています。持ち得るスイング・打球の速さ、身体の強さなどもあり、強烈な打球を飛ばすことができています。 (最後に) 大舞台で、普段以上の能力を発揮できるマインドはプロ向きだと思います。それに天性の肉体を持っており、いかにこれに技術が伴って来るかではないのでしょうか。肩が強いのは間違い無さそうなので、サードなりセンターあたりでアピールできるようだと、高校からのプロ入りも現実味を帯びてきそうです。まだまだ素材型の域を脱していませんが、何か気になるものを持っている選手なのは間違い無さそうです。 (2019年夏 甲子園) |