20ky-14





内山 壮真(ヤクルト)捕手のルーキー回顧へ







内山 壮真(星稜3年)捕手 172/76 右/右 
 




「結構ポカが多い」 





 1年生の頃から全国大会で活躍し、野球センス抜群のイメージが強い 内山 壮真 。しかしその割に、信じられないミスをする場面を何度かみた。いっけん冷静そうに見えて、何か抜けてしまうところがあるのか? そのへんは、慎重に見極める必要があるのではないかと思えた。


(ディフェンス面)

 下級生の頃はショートを守っていて、そのイメージが強い。しかし元々は捕手だったそうで、新チーム以後捕手に再転向した。けして俺について来いと、ガンガン投手を引っ張って行くタイプではない。ミットを投手に示しつつも、グラブを地面に下げるようなことはないので、ワンバウンドするような球にも素早く反応できる。キャッチングの際にミットがブレるようなことはないが、特にボールを押し込むような力強いキャッチングでもない。黙々と、自分の仕事をこなす職人肌といった感じがする。

 リードは少々内角を使いたがる傾向は観られるものの、相手の反応を観ながら考えて組み立てられている。味方の投手の心理に気を配りつつも、相手の打者も見る視野の広さは持ち合わせている。捕手としての適正・センスは、先輩の山瀬よりも私は上だと観ている。またスローイングも、捕ってから投げるまでの流れがよく、これは先輩である山瀬譲りのところがある。山瀬ほど絶対的な地肩があるとは思わないが、それでも塁間を1.8秒台中盤で投げ込むことができる。あとは、制球の精度をさらに高めて行きたい。

 ただし上記に記したように、時々あれ?と思うような信じられないミスをする。特に捕手のようなポジションだと、リードや1つ1つのプレーが大きく試合の行方を左右するだけに、致命的な欠点で無ければよいのだが・・・。それでも内野手の方がと思う向きも多いと思うが、捕手としても充分プロとしてやって行けるだけの力は備えていると評価する。二遊間の素材というだけでなく、「打てる捕手」というスタンスでも評価でき、入団する球団のチーム事情に左右されそうだ。


(打撃内容)

 広角に打ち返すことも可能だが、基本的引っ張って巻き込む打撃を得意としている。上手くタイミングが合うと、レフト方向に大きな打球を飛ばすことが多い。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並だが、両眼で前を見据える姿勢はしっかりできている。なんとなく構えに関しては、昨秋の方が腰の据わり具合・全体のバランスはビシッと決まっていた記憶があるのだが。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み初めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く地面から浮かし、なぞるように回し込んで真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でのスピードの変化には幅広く対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まってブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも対応できる形になっている。その割に引っ張りたい気持ちが強いので、ボールを引っ掛けやすい。センターから右への意識も、もう少し持てるようになると確実性も高まりそうなものだが。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で良いのだが、バットを引くのが遅れないように注意したい。けしてインサイドアウトにバットが出てくるタイプではないが、外の球に対してはさほどロスはなくインパクトできている。

 バットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールが捉えている。そのため、打ち損じ少なくフェアゾーンに飛びやすい。またインパクト後のスイングの弧も大きく、強烈な打球を生み出す原動力になっている。まして内角の球をさばく時には、肘をうまくたたんでさばくことができ、内外で違うスイングを使い分けることができていた。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げ小さいので、目線がほとんど動かないところが非凡。身体の開きも我慢できているが、少し軸足が内側に傾いているところが気になるぐらいか。以前はそんなことはなかったので、夏の交流大会では多少バランスを崩していて調子が落ちていたのかもしれない。身体は小さいが、内モモの筋肉にも強さが感じられるなど、強烈な打球を生み出す原動力にはなっている。

(打撃のまとめ)

 最大の良さは、目線がほとんど動かないこと。そのため、錯覚を起こすことなく正確にボールを射抜くことができる。ちょっと構えがビシッと決まらなかったり、軸足の形が崩れがちで、調子が落ちている時に交流大会を迎えてしまったのかもしれない。それでも、特大のファールや芯で捉えた外野への飛球は飛ばしており、打撃能力の片鱗は感じることができた。


(最後に)

 体格も小さく、肩や足など肉体のポテンシャルで魅了するタイプではない。その分、技術なりセンスで補うタイプ。それだけ高校からプロに入る選手に比べると、スケールや伸び代という意味ではどうなのだろうか?という疑問は残る。それでも攻守に可能性を感じさせる素材であり、特に打撃能力には非凡なものを持っている。上位となると苦しいが、4位前後の指名は充分期待できるのではないのだろうか。タイプ的には、田村 龍弘(八戸学院光星-ロッテ)のような捕手になるのではないかと期待している。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年夏 甲子園交流大会)








内山 壮真(星陵高校2年)捕手 172/72 右/右 
 




 「山瀬より捕手っぽい」





 奥川恭伸(ヤクルト)とバッテリーを組んできた 山瀬慎之助(巨人)などは、小学生以来バッテリーを組んできたので、何も言わなくてもお互いのことがわかるぐらいに以心伝心でプレーしていた感じがする。それに比べると 内山 壮真 の場合は、投手の気持ちを汲み取りながら、一緒に応えを見つけようとする姿勢が伝って来るセンス型捕手なのだ。


(ディフェンス面)

 1年生の頃から星稜高校で試合に出て、チームでは4番を任される絶対的な存在。しかし俺について来いと、ガンガン投手を引っ張って行くタイプではない。ミットを投手に示しつつも、グラブを地面に下げるようなことはないので、ワンバウンドするような球にも素早く対応できる。キャッチングの際にミットがブレるようなことはないが、特にボールを押し込むような力強いキャッチングではない。むしろ身軽なフットワークを活かし、素軽いタイプの捕手といった感じがする。

 リードは結構考えてプレーしている節があり、相手の反応を観ながら考えて組み立てられている。味方の投手の状況に気を配りつつも、相手の打者も見ることができる。捕手としての適正・センスは、先輩の山瀬よりも私は上だと観ている。またスローイングも、捕ってから投げるまでの流れがよく、これは先輩の山瀬譲りのとこがある。山瀬ほど絶対的な地肩があるとは思わないが、それでも塁間を1.8秒台前半で投げ込むことができる。あとは、動きの流れの中で送球はできるものの、コントロールなど精度を高めて行きたい。

 下級生から遊撃手を務めてきたので、そのイメージが強い。しかし元々捕手だった選手だけに、想像以上に適正が高いことに驚いた。プロにおいては捕手なのか内野手なのかと言われると内野手の方がいいかもと思える反面、捕手としても充分にプロを意識できるだけのディフェンス力があるのは間違いない。


(打撃内容)

 けして長打で魅了するタイプではなく、ボールをうまく呼び込んではじき返すタイプ。高校通算30本塁打のパンチ力はあるが、むしろ力よりも技術で打っている印象が強い。広角に打ち返すというよりも、打球は引っ張りが多い傾向にある。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりはよく背筋はしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスにも優れている。

<仕掛け> 早め

 追い込まれるまでは、投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。そのため、アベレージ打者の傾向が強い。追い込まれると、一度引き上げた足を地面についてから再度ステップし直す「遅すぎる仕掛け」に切り替わる。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて回し込み、真っ直ぐから若干アウトステップ気味に踏み出してくる。始動~着地までの「間」が取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐから若干アウトステップするように、幅広くは捉えられるが基本的にボールを引っ張ることが多い。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まってブレず、逃げて行く球や低めの球に食らいつくことはできる。ただし引っ張ることが多いので、そういった球を引っ掛けてしまうことも少なくない。最終学年では、もう少しセンターから右方向への打球も意識しても良いのではないのだろうか。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 早めに「トップ」の形をつくり、打撃の準備の形が作れている。したがって、速い球に立ち遅れる心配はない。内角の球に対しては、肘をうまくたたんで思っきり引っ張る感じ。また外角の球に対しても、インパクトまでの振り出しに大きなロスは感じられない。

 インパクトの際にはバットの先端であるヘッドが下がらないので、フェアゾーンに飛ぶ確率は高い。しかし、ボールに角度をつけて飛ばすタイプではないように感じる。しかし最後まで、しっかり振り切れている。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げもそれなりで、目線の上下動も激しくない。身体の開きも我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定。軸足内モモにも適度に強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるまでのスイング軌道や、内角のさばきも上手い。それを支える下半身もしっかりしていて、ボールを呼び込み方がうまく、ボールを線で捉えられている。軸もしっかりしているし、打球も水準以上に強い。あとは、引っ張りだけでなくセンターから右方向にも柔軟に打ち返せるようになると、穴は無くなるのではないのだろうか。


(最後に)

 打てる捕手・打てるニ遊間候補といった魅力のある選手です。ただし走力は、一塁まで4.65秒前後(左打者換算で4.4秒前後)と速くないのは気になるところ。体格・走力の無さなどスペックの点で若干プロとしては物足りないものの、マインド的には非常にプロ向きの性格ではないかと思う。あとしいて言えば、意外に捕手としてはポカが多いので、一見隙き無さそうに見えるが、実はどうなのだろうというところを、選抜では観てみたいポイントとしてあげておきたい。いずれにしても、世代を代表する野手であるというのは間違いないだろう。


(2019年秋 神宮大会)