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篠木 健太郎(法政大4年)投手 177/75 右/左 (木更津総合出身) | |
木更津総合時代から、世代を代表する投手として君臨してきた 篠木 健太郎 。なかなか自分の投球スタイルが固まらず右往左往してきたが、まだまだそれが定まったとは言えない状況は続いている。それでも、テンポよくポンポンと投げ込んでくる投球スタイルは、観ていて実に爽快だ。 (投球内容) この春の成績は成績は、3勝3敗 防 1.41(2位)。下級生の時のように、150キロ台の球速で圧倒しようとするのではなく、適度に力をセーブしつつも試合を作ろうというのは、苦心の末たどり着いた現在地だと言えよう。 ストレート 常時145キロ前後~150キロ ☆☆☆★ 3.5 力んで球が暴れて制御できないこともお多いのだが、ズバーンとミットに突き刺さる快速球で、打者の空振りを誘えるのが最大の魅力。気になるのは、ここぞという時に力んでしまい、決めきれないことが多いのがどう出るか?といった部分。 変化球 スライダー・フォーク・カーブなど ☆☆☆★ 3.5 身体の近くでキュッと曲がる、スライダーのキレは一級品。一方で、スプリットのようなフォークは、多く混ぜてくる割に振ってはもらえない。そのため、相手の意識を低めにも傾ける意味合いが強い。他にも、ブレーキの効いたカーブなども時々織り交ぜてくる。 その他 クィックは、0.9秒前後と超高速ながら、逆にもうちょっと遅くてもよいので制球が狂わないようにとも思わなくはない。牽制も非常に鋭く、野手にしたいぐらいにフィールディングやバッティングにも優れている。ポンポンとテンポの良いリズムが作れる一方で、打たれだすとボールが揃って単調になってしまうことも少なくない。 (投球のまとめ) 速球にしても変化球にしても、ボールそのものの威力は一級品です。しかし、それを制御する精度の部分で課題があり、まだまだ投球を上手くまとめられない、あるいは要所で踏ん張りきれないことも少なくありません。そのへんが、プロで何か力加減などが掴めると、一気に勝てる投手になれると思います。あくまでも現在の力よりも、プロでその何かを掴めればという部分を期待しての評価となります。 (成績から考える) 4年秋の篠木投手の成績は、8試合 3勝2敗 59回 45安 22四死 52三 防 2.59(5位) といった内容。ちなみに、3年春には、0.68 で最優秀防御率に。4年春も、1.41 で2位に輝いている。 1,被安打は、投球回数の80%以下 ◯ ハイレベルな六大学や東都の選手の場合は、被安打率は 80%以下と少し緩めに設定している。そのため、被安打率は、76.3% でも、合格点の範疇だと言えるであろう。絶対的ではないにしろ、一定のボールの威力・実戦力があることを証明している。 2,四死球率は、投球回数の1/3(33.3%)以下 △ 四死球率は、37.3% と、僅かに基準を満たしていない。どうしても力んで投げてしまうと、ボールが抜けてしまうことも多い。欲しい時にカウントを整えられなかったり、決めにゆく時に思い通りの球がゆかないなどの、詰めの甘さは残している。この辺の力加減のコツを身につけてくると、大きく変わってきそうだ。 3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯ 1イニングあたりの奪三振は、先発でも 0.88個 と高い。三振が奪えるほどの変化球には乏しいのだが、真っ直ぐで三振が奪える、そういった優れた資質を持っている。変化球に磨きがかかってくると、この辺の数字もさらに上積みが期待できそうだ。 4,防御率は1点台以内 △ 防御率 2.59 は悪い数字ではないが、あと一歩踏ん張りきれないで競り負けてしまう、そういった投球が数字にも現れている。春までの通算でも 2.16 だけに、かなり良いシーズンでないと、この数字をクリアして行けない。そういった意味では、まだまだ本当の安定感は身についていない。 (成績からわかること) けして現時点での能力が低いわけではないが、NPBの一軍で活躍するということを前提に考えると、まだ絶対的な数字ではないことが伺われる。能力の片鱗は感じられるものの、それが安定して、あるいはここぞの時に出し切れていない、この部分に課題があるといえ、逆に伸び代を残しているとも考えられる。 (最後に) 実際の4年間の歩みを観ていても、潜在能力は誰もが認めるところはある。しかしそれが、なかなか形にしきれていないという歯がゆさが残る投手でもある。それだけに、まだ一軍半レベルの力であり、逆にプロで力加減などが改善されて来ると、一気に大化けが期待できるといった可能性こそが彼の最大の魅力ではないのだろうか。 そういった意味では、1年目から期待してというよりも、ある程度一軍を経験する中で、ニ年目以降の才能の開花を期待したい、そういった半即戦力候補だと考えている。一つ間違えると危うい素材ではあると思うが、才能の爆発に期待して、高めの評価をさせて頂きたい。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2024年 秋季リーグ戦) |
篠木 健太郎(法政大3年)投手 177/75 右/左 (木更津総合出身) | |
3年春には、六大学の最優秀防御率に輝いた 篠木 健太郎 。ようやく、ボールの威力に成績がついてきた形となっていた。しかし、秋は再び、元の彼に戻ってしまっていたのだ。一体、何処に問題があるのか考えてみたい。 (投球内容) この秋の成績は、5試合 1勝1敗 22回1/3 17安 13四死 22三 防 2.82 だった。春は、防 0.68 だったのに比べると、だいぶ数字を悪化させていた。 ストレート 140キロ台中盤~MAX152キロ ☆☆☆☆ 4.0 6月に行われた大学日本代表候補・平塚合宿では、居並ぶ全国の猛者たちに混ざっても、頭一つ抜けた球速を誇っていました。ただし、秋のリーグ戦の模様などをみていると、両サイドにきっちり投げ込んでいるわりに、打者が空振りをしてくれない。ボールの球速・勢いの割にきっちり捉えられるのは気になりました。そうやってついて来られてしまうと、投球が苦しくなってしまうところがあります。 変化球 スライダー・カット・カーブなど ☆☆☆ 3.0 スライダーやカット系の球を武器にしていて、それらの球とのコンビネーションで投球組み立ててきます。こういった球は確か悪くないのですが、基本的に縦の変化がないのが投球を苦しくしています。また余裕があればカーブなども使ってきますが、チェンジアップ系の抜くボールもあまり使えていないので、どうしても投球が汲々となりやすいように感じます。 その他 牽制も鋭いですし、フィールディングの動きも悪く有りません。特に特筆すべき点は、クィックの速さです。おおよそ0.8~0.9秒と、私がミてきた中でも、歴代で最も速い部類の投手であるように思います。ただし、その速さ故に速く投げようという意識が強すぎて、ボールを長く持ったりとか、投げるタイミングを変えたりとか、そういった余裕がないように思います。 (投球のまとめ) 真っ直ぐを含め、スライダー・カット系の球の威力・キレ・精度共に一級品ではあるのですが、縦の変化や緩急に欠けるところがあり、ボール揃い出すと失点するイメージがあります。また、真っすぐで空振りが取れないと、投球が苦しくなる傾向にあります。そういった時でも抑えられる術を身につけられるかが、最終学年での課題ではないのでしょうか。現状は、素晴らしい部分とそうじゃない部分が混在しており、どちらが全面に出るかで成績が変わってきてしまう気がします。 (投球フォーム) フォームの何処に問題があるのか? 考えて行きたい。 ワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さがあり、最初から高いエネルギーを捻出を図っている。フォームの観点からすると、リリーフ投手に多い、入りからエネルギー全開のフォームだと。軸足一本で立ったときには、軸足にはそれほど力みは感じられず、バランスは悪くない。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしており、お尻は一塁側にしっかり落としてきます。そういった意味では、カーブやフォーク系のボールを投げるのに体を捻り出すスペースが確保できています。 気になるのは、着地までの地面の捉えがあっさりしていること。そのため、体を捻り出す時間は並であり、曲がりの大きな変化球を習得し難い可能性があります。あくまでも多彩な球種は操れる土台はありますが、武器になるほどの変化球が習得し難いフォームです。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドのコントロールは安定しやすいのでは? 実際に、思った以上にボールは両サイドに投げ分けられていました。 足の甲での地面の捉えも深く、浮き上がろうとする力を抑えられています。「球持ち」も好いので、ボールもそれほど上吊りません。ただし、この秋も 22回1/3イニングで13四死球と、四死球率は58.2% と非常に高いです。考えられるのは、やはり最初からフォームに勢いをつけすぎて、上下動の動きなどが激しくなり、球筋が定まっていない恐れがあります。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になる可能性は低いこと。ただし、腕の送り出しを見ていると、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるなど、肩に負担を感じさせる腕の振りだということ。まして、かなり全身を使った力投派なので、疲労も溜まりやすい恐れがあります。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地までの粘りが物足りなく、打者としては苦になく合わせやすい感じです。まして、ボールの出処も平均的で、打者としては、球速の割には捉えやすいフォームなのではないのでしょうか。 その一方で、腕を強く振れています。ただし、ボールが見やすいので、勢いの割に打者が吊られ難いのではないのでしょうか。しっかり体重が乗ってからリリースできており、最後の地面の蹴り上げなどを見ても、エネルギー伝達の素晴らしさが伝わってきます。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」は素晴らしいです。その一方で、「着地」や「開き」に改善の余地が残されています。制球を司る動作自体は素晴らしいのですが、体を大きく振り過ぎていることが、制球を乱す要因かもしれません。故障のリスクは、それなりに高いのでケアには充分に気をつかって欲しいところ。将来的に、いかに武器になるような変化球、特に縦の変化や緩急などを作り出して行けるかが課題ではないのでしょうか。 (最後に) 身体は大きくないのですが、作り出すエネルギーは爆発的です。そういった真っすぐとスライダー系の球は素晴らしい反面、緩急・縦の変化などを交え、相手に合わされ難い、的を絞らせないための工夫が物足りません。最終学年では、相手を意識した投球をできるかが、鍵を握っている気がします。それができれば、最上位での指名も現実味を帯びてくるのではないのでしょうか。 (2023年 秋季リーグ戦) |
篠木 健太郎(木更津総合2年)投手 175/66 右/左 | |
中背の体格から、キレの良い球を投げ込んでくる 篠木 健太郎 。しかしそれほど体格には恵まれずスケール感に欠ける早熟選手になるのか? 実戦的な投球を極めて隙き無しの投手として高校からのプロ入りを実現するのか興味深い。 (投球内容) ワインドアップで振りかぶり、ポンポンとテンポよく投げ込んできます。 ストレート 常時140キロ台~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5 回転の良いストレートを、両サイドや低めに集めてきます。特に低め膝下近辺に、多くの球が集まるところは非凡。一方で、左打者にはややコントロールがアバウトなり、甘く浮いた球を打たれるケースも多い。ボールの回転こ素晴らしいが、球威のある球質ではないので甘く入ると長打に繋がりやすい。 変化球 スライダーなど ☆☆★ 2.5 変化球のほとんどは、横滑りするスライダーとのコンビネーション。この球のキレと精度は悪くないものの、この球自体はあまり三振が取れないのと、もう少し他の変化球も使って行きたい。 その他 クィックは、1.05~1.10ぐらいと素早く投げ込める。牽制も適度に鋭いのだが、執拗に入れてくるのでリズムが崩れやすい。間が悪いと、パッとマウンドを外したりと、危険回避能力を持っている。 (投球のまとめ) 低めにキレの良い球を集めるなど、非常に実戦的な投球をしている。その一方で、イニングが進んで来ると単調に陥りやすく底が浅い。またキレ型故に甘く入ったりすると長打を浴びやすく、好投していても報われ難い傾向にある。そのためには、投球の幅を広げて行くことと、ボール自体に凄みを増すことが最終学年では求められる。それができれば、高校からのプロ入りも現実味を帯びてくるのではないのだろうか。 (投球フォーム) <広がる可能性>> ☆☆☆☆ 4.0 足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落とせている。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げるのにも無理はない。 また「着地」までの粘りも作れており、身体を捻り出す時間も充分確保。カーブやフォークだけでなく、キレの良い変化球を投げられる下地があり、武器になる球を習得できる可能性を秘めている。現状はスライダーぐらいだが、実はピッチングの幅を広げて行ける下地は整っている。 <ボールの支配> ☆☆☆☆★ 4.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めている。したがって軸がブレ難く、両サイドへのコントロールもつけやすい。また足の甲でも地面をしっかり捉えており、浮き上がろうとする力も抑えられている。「球持ち」も良く指先の感覚に優れ、低めへの投球を可能にしている。 <故障のリスク> ☆☆☆☆★ 4.5 お尻を落とせている上に、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種も投げて来ない。そのため窮屈になることもなく、肘への負担は少ないと考えられる。 腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担も少なめ。全身を使って投げるが、肩・肘への負担は少ないのではないのだろうか。むしろ下半身を深く沈めて投げるフォームなので、腰など下半身への負担の方が心配されるかもしれない。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りが作れている上に、ボールの出どころも適度に隠せている。そのため投げミスさえしなければ、容易には打ち返されないかもしれない。 腕も適度に振られ勢いがあるので、打者の空振りも誘いやすい。しかし実際には、球種が乏しいせいか? 三振は思いのほか少ない。ボールにはしっかり体重を乗せてからリリースできているように見えるのだが、重心が深く沈み込み過ぎて体重が後ろに残りがちで、前に乗って行かない。そのため上半身や腕の振りでキレは生み出せても、打者の手元まで球威のある球が投げられないでいる。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」課題を残す。ただこの重心の低い体重移動が、低めのコントロールを支えているという側面もあり一概に悪いとは決めつけられない。 故障のリスクや制球を司る動作・将来的にピッチングの幅を広げて行けるかという部分に関しては、充分に合格点が与えられるフォームだと言えよう。左打者への制球が甘くなるのも、リリースが定まってくれば改善して行けるのではないのだろうか。高校生としては、極めて高い技術を持っている。 (最後に) 青島 凌也(東海大相模-東海大-HONDA)的な方向性で行くのか? 一歩その上の隙きなしの実戦派としてプロから指名されるレベルにゆくのか注目される。ただし同校は進学が基本なだけに、1位指名とか上位指名ぐらいの評価が春の時点で得られないと、大学に進学してしまう可能性は高いだろう。高校からプロという圧倒的な能力を示せるかどうか、春季大会から注視してみたい。 (2019年夏 千葉大会) |