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福島 章太(岡山・倉敷工3年)投手 176/86 左/左 | |
夏の岡山大会の模様を何気なく観ていて、これは面白いと思わせてくれたのが、この 福島 章太 。2回戦の岡山学芸戦で姿を消したが、岡山にはこのような投手がいるのかと驚いた。それもそのはずで、ネット裏には10球団のスカウトが集結し、中四国地区では屈指の左腕だという評価で一致しているのだと後から耳にした。 (投球内容) 中背ながら、ガッチリした体格。しかし、昨年の10月に肘の出術をしていた影響か? それほど全国的に名の知られた存在ではなかった。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX146キロ ☆☆☆★ 3.5 小さめのテイクバックから腕をブンと強く振ってくるので、打者としては差し込まれやすい。球速は常時140キロ前後ぐらい~速いときで140キロ台中盤に到達。ウェートがグッと乗ってくる感じで、その球速以上に手元までボールが来ている感じがする。制球は多少粗っぽいところはありそうだが、両サイドには適度に散らすことができていた。 変化球 スライダー・チェンジアップなどか? ☆☆☆★ 3.5 変化球は4種類ほどあるとの話で、スライダーにチェンジアップ系の球。他に、カーブにフォークといった感じだが、ハッキリはわからなかった。ただし速球と変化球とのコンビネーションも良く、変化球の切れ・精度共に基準以上のものはあるように見えた。また変化球は、比較的低めで変化していたのも評価できるポイント。 その他 結構器用なのか運動神経が良いのか、牽制も鋭いし動きが良さそうには見えた。ただし今回の観戦では、あまり細かい部分まではつかめなかった。 (投球のまとめ) 威力のあるストレートを軸に、変化球を低めに集めコンビネーションで打ち取ることができていました。ただ昨秋に手術をした影響なのか? 今回のコロナ騒動で充分な投げ込みができなかったのか? 中盤以降に失速。そのへんはまだ、完全に回復しきれていない感じで、不安材料にはなりそうだ。 (投球フォーム) では今度は、フォームの観点から可能性を模索してみたい。ノーワインドアップから足を勢い良く引き上げてきて、軸足一本で立った時のバランスは取れている。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻はバッテリーライン上に残りがちで、身体を捻り出すスペースが充分とは言えません。したがってカーブやフォークといった、捻り出して投げる球種には適さない投げ方です。それでも「着地」までの粘りは適度に作れているので、身体を捻り出す時間はある程度確保できています。そのためスライダーやチェンジアップなどを中心にキレや曲がりの大きな変化球を習得できる可能性は秘めていますし、実戦においても、変化球のキレや精度は悪く有りません。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは内に最後まで抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑えることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいと言えます。 足の甲の押しつけは地面を捉えられているようには見えるのですが、ちょっと映像の関係でそこまでは完全にはわかりませんでした。しかし「球離れ」は早い感じで、その割にはボールが高めに抜けることは少ないように見えます。また腕が身体から離れて外旋して、ブンと振って来る感じなので、細かいコントロールはつけ難いのではないかと。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせないのですが、カーブやフォークといった球がほとんど観られないので、窮屈になる機会は少なそうです。しかし実際に肘を手術していることを考えると、何かしら圧迫する要因が存在したことは間違い無さそうです。 腕の送り出しを観ていても、無理な角度は観られず肩などへの負担も少なそう。このへんは故障を経験したことで、そうなり難いフォームに変えたのかもしれません。ただし今でも、頭と腕が離れて外から強引にブンと振って来る感じのフォームなので、もし故障の要因があるとすれば、この腕の振りだったのかな?と思うところはあります。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りも適度に作れている上に、小さめなテイクバックから見えないところからボールが出てくる感じになります。そのため打者としては、ワンテンポ振り遅れやすい状況になっています。 腕も強く振れているので、勢いがあるので空振りを誘いやすいです。ボールにしっかり体重が乗る前にリリースしている用に見えるのですが、その割には打者の手元までグッとボールがきている感じがします。「体重移動」が不十分に見えるのは、投げ終わったあとの地面の蹴り上げも弱いことからも伺えます。これでウエートを乗せてからリリースできるようになったら、さらに凄みのある球が投げ込めそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」に課題を感じます。手術を経験した選手ですが、フォーム自体はそれほど負担が大きなようには現在見えません。ただし腕が外旋するので、この点がどうなのか? 制球を司る動作は並ですが、結構アバウトな制球には見えます。変化球のキレ・精度は悪くない投手なので、武器になる変化球の習得は将来的には期待できるのではないのでしょうか。 (最後に) 昨秋手術したことからの良化途上、技術的にも投手としても成長途上の選手だとは思います。それでもストレートの威力・変化球とのコンビネーションは良く、良い時のボールは高校球界のトップクラスと言われる左腕たちと遜色ないものと観せています。上位指名となるリスクを感じますが、その潜在能力も加味すると4位前後ぐらいで指名されても全然不思議ではないのではないのでしょうか。雑誌などではあまり大きく取り上げられていませんが、スカウトなど関係者の中ではしっかり認知されている存在ではないかと思います。個人的には上位クラスの左腕と遜色ない選手が、中位指名ぐらいで獲れるとしたら美味しい指名になるのではないかとみています。個人的には、今年の左腕の中でもオススメの存在です。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2020年夏 岡山大会) |