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浅利 太門(明治大3年)投手 186/84 右/右 (興国出身) | |
興国高校時代から、大阪では話題の投手であった 浅利 太門 。ただ当時は、大きな体を活かしきれないで、凄みがあるというよりは丁寧に投げている印象が強かった。ようやく身体もできてきて、強いボールが投げられるようになりつつある。 (投球内容) この秋のリーグ戦の登板、全てリリーフで 6試合 1勝0敗 12回1/3 5安 7四死 10三 防 1.46 といった内容だった。また、秋の大学日本候補合宿である、松山合宿にも参加している。 ストレート 150キロ前後 ☆☆☆★ 3.5 まだ高めに抜けてしまうこともあるが、適度な勢いと角度を感じさせる150キロ前後の真っすぐを投げ込んでくる。コースに投げ分けるとか、そういった細かいコントロールはないものの、高めに行ったり、低めに決まったりと、打者としては的が絞り難いのではないかと。 そのため、12回1/3イニングで、被安打は僅かに5本と少ない。7四死球の数字が示す通り、制球に不安があることは否めないが。 変化球 カット・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 カットやスライダー系の球でカウントを整えつある、フォークのようなチェンジアップを使って仕留めにゆこうとする。ただし、この縦の変化は振ってもらえないことが多く、三振は真っすぐで奪っていることが多い。そういったフィニッシュボールの習得が、今後の大いなるテーマとなりそうだ。 その他 高校時代は 1.1~1.2秒と平凡だったクィックタイムが、今や0.8秒前後と超高速になっていることに驚く。元々、フィールディングの動きも良く、そういった投球以外の能力の高さは目立っていた。まだ細かい出し入れや「間」を使ってという投球ではないが、ランナーを背負っても、落ち着いて対処できていた。 (投球のまとめ) 高校時代から期待されてきた才能が、徐々に開花しつつあるのかなといった気はする。最終学年での使われ方は見えないが、まだ成長途上の投手であるのは間違い無さそう。果たして最終学年で、即戦力として期待できるほどのレベルまで引き上げられるのか? 注目して行きたい。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から今後の可能性について考えてみたい。セットポジションから足を引き上げる勢いはそれなりにあるが、高さは並ぐらい。軸足一本で立ったときには、膝がピンと伸び切ってしまいやや力みが感じられる立ち方となっている。ただし、全体のバランスとしては、平均的な形を保っている。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 少し前に倒れ込んでくるような感じのフォームなので、基本的にお尻はバッテリーライン上に落ちてしまう。したがって、カーブやフォークのような、捻り出して投げる球種には、スペースが確保できず適さない。 「着地」までの地面の捉えも早く、身体を捻り出す時間も物足りない。こうなると曲がりの大きな変化よりも、球速のある小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブを体の近くにしっかり抱えられているというほどではないので、外に逃げようとする遠心力を内に留めきれていない。フォーム自体は縦並進のの割には、両サイドのブレも生じて横のコントロールも安定していないのではないのだろうか。 足の甲での地面の捉えも浅いので、浮き上がろうとする力も抑えられていない。そのため高めに集まりやすい傾向があるのだが、「球持ち」自体は悪くないので、ここでうまくリリースできると、時々低めに良い球が決まることがある。ただし、再現性という意味では低いのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻の落としができないので、カーブやフォークなどの変化球を多く投げるようだと窮屈になりやすい。ただし現状は、そういった球が多く投げるわけではないので、そこまで神経質にならなくても良いのかも。 腕の送り出しも、ややボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている肩が下がり気味で、肩への負担を感じなくもない。ただし、現状そくまで極端ではないのと、それほど力投派でもないので疲労を溜めやすいということも無さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの地面の捉えが淡白で、タイミングがとり難いタイプではない。ましてボールの出処も並ぐらいであり、打者が苦になるフォームでは無さそう。ただし、これでも被安打が少ないのは、荒れ球で野手が的を絞り難いことが、功を奏しているのかもしれない。 腕は適度には振れているものの、ボールの出処も並ぐらいなのもあり、打者が吊られて縦の変化を振ってくれない部分がある。ボールへの体重の乗せ具合も不十分なので、ここが改善されると、グッと打者の手元まで球威・球速・勢いが変わってくるのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「着地」と「体重移動」に課題を抱えている。そのため、股関節の柔軟性を養いつつ下半身の筋力を強化して、「着地」までの時間を稼いだり、ステップ幅を広げてゆくことが求めらそう。 制球を司る動作に不安があり、故障のリスクも低いとは言えない。まして、将来的に武器になる変化球を習得できるかにも疑問を残すフォークではある。そう考えると、伸び悩む要素は大きく、素材型の粋を脱しられない危険性も秘めている。 (最後に) 縦の変化に磨きがかかり、打者が振ってくれるようになると、リリーバーとしての可能性は大いに広がるような気がする。そういった決め手の部分を、大学の間に改善できるかが、指名の有無に・評価の高さに影響してくるのではないのだろうか。今は、期待半分、不安半分で、最終学年の成長を待ってみたい。 (2023年 松山合宿) |
浅利 太門(大阪・興国3年)投手 185/77 右/右 | |
大阪で話題のドラフト候補が、どんなものなのか確かめてみたかった 浅利 太門 。スケール感溢れる素材かと思いきや、多彩な変化球を織り交ぜた非常に丁寧なピッチングをする投手との印象を受けた。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから静かに入ってゆくフォームです。 ストレート 135~140キロ台前半ぐらい ☆☆★ 2.5 ガンガン力で押して来るタイプではなく、140キロ前後のストレートを両サイドに散らせて来るピッチングスタイル。コントロールは悪くないものの、それほどボール自体にインパクトは感じられない。ドラフト候補の高校生としては、特に際立つ球ではなかった。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 カーブのような軌道をたどる球でカウントを整えつつ、小さく横滑りスライダーも時々織り交ぜる。特に武器にしているのが、フォークような落差のあるチェンジアップ。この球は、タイミングをズラすというよりも空振りが誘える。そして上のレベルでも、この球ならば通用するのではないのだろうか。ストレートの他に多めに変化球を織り交ぜ、的を絞らせないのはがこの選手の持ち味。 その他 クィックは、1.1~1.2秒と平均的。フィールディングの動きもまずまずで、精神的にも冷静なマウンドさばきが印象的。 (投球のまとめ) 現状ボール自体に凄みは感じられないものの、もう少し筋力が付けてストレートに磨きをかけると、変化球や視野の広いピッチングも生きてきそう。本人がプロ志向なのかはわからないが、現状は育成枠での指名があるかないかぐらいではないかとみる。野球に専念できるプロの環境ならば、まだまだ伸びても不思議ではないが、プロに混ぜてしまうと特徴に欠ける投手で終わる可能性も否定はできない。では技術的には、どんな特徴があるのかみてみたい。 (投球フォーム) セットポジションから静かに、あまり足を引き上げない。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸びってしまい、ト の字のような形で立っている。これがいけないのは、バランスがとり難い立ち方なので、早めに身体が突っ込んだり、「着地」までの粘りが作り難くなりやすいからだ。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 マウンド上で突っ立つような感じのフォームなので、お尻はバッテリライン上に残ってしまいます。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった捻り出して投げるボールには適しません。カーブyのような軌道の球がスライダーならば良いのですが、カーブだとすると窮屈になるので気になります。 「着地」までの粘りは、適度に前に足を逃し身体を捻り出す時間は平均的。武器になる変化球の習得には不安が残りますが、落差のあるチェンジアップをすでに持っており、そのへんはあまり気にしなくても良さそうです。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブが比較的最後まで身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力は抑え込めています。フォームも縦推進のなので、左右の軸のブレは少なめだと考えられます。 気になるのは、足の甲での地面への押しつけが浮いてしまっている点です。したがって浮き上がろうとする力を抑え込めず、ボールが高めに集まりやすい。「球持ち」はそれほど悪くは見えませんが、時々高めに抜けたりする球も見られます。左右よりも、高低の制球力に課題がありそうです。 <故障のリスク> ☆☆ 2.0 お尻が落とせないのにカーブを多く投げているとすれば、窮屈になり肘への負担が心配されます。また腕の送り出しの際にも、ボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がるなど、無理があるのは気になります。これだと肩への負担も大きくなり、力投派ではないものの身体のケアには充分に注意してもらいたいもの。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りやボールの出どころは平均的で、特に合わせやすいわけでも打ち難いわけでも無さそう。腕は適度に振れて勢いがあるので、チェンジアップが効果的に使えている。ボールにも体重はある程度乗せられているので、ウエートが増してくれば球威のある球を投げ込める可能性は秘めている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、どれも可も不可もなしといった感じ。それだけまだ良くなる余地が残されており、肉体の鍛錬と柔軟性を並行して勧めて行ければ、まだまだ良くなる可能性を秘めている。 足の甲での地面への捉えの問題からもボールが高めに集まりやすく、また故障のリスクが高そうのは気になる部分。決め手不足も心配されるものの、チェンジアップがプロでも使えそうな球種なので、その点は気にしなくても良さそうだ。現時点では平凡な技術の持ち主だが、今後の取り組み次第では実戦的なフォームに変われる余地を残している。 (最後に) 肉体的にも技術的に発展途上の選手であり、まだまだ良くなれる余力が残されている。ただし現時点では、突出したボールを持っているわけでもなく、将来どう転ぶかは見えてこない。今後の意識・周りの環境次第だと思うが、現時点では指名リストに入れるほどのインパクト感じられなかった。ただし本人がプロ志望であれば、育成枠あたりで将来性を評価して来る球団があっても不思議ではない。現時点では、大学などに進んで実績・実力を付けてもからでも、プロ入りは遅くないのではないかという判断する。 (2020年夏 大阪大会) |