20kp-30





片山 楽生(20歳・NTT東日本)投手の本当に凄いやつへ







片山 楽生(白樺学園3年)投手 178/83 右/左 
 




 「少しずつ良くなっている」





 昨秋の神宮の大会の時は、ボールの質は素晴らしかったものの、130キロ台前半の球速表示が多かった 片山 楽生 。この夏の甲子園・交流戦では、コンスタントに140キロ前後叩き出せるようになり、球速もかなり引き上げられてきた。元々しっかりピッチングができる投手だっただけに、あとはいかにパワーアップできるかに懸かっている


(投球内容)

非常にオーソドックスな、正統派の好投手といった感じがします。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX142キロ ☆☆★ 2.5

 高校からプロに入る選手としても、球速的にはやや劣ります。それでも手元でしっかり伸びて来る球質で空振りが誘え、ボール自体もっと速く打者は感じられているのではないのでしょうか。しかし球筋は、かなりまだバラツキが多く、それほど細かいコントロールがありません。今後、いかにその精度を高めて行けるのかが課題ではないのでしょうか。

変化球 チェンジアップ・スライダー・カーブなど ☆☆☆ 3.0

 最大の武器は、ストレートよりも腕の振りの良さを生かしたチェンジアップになります。この球は速球との見分けが難しく、思わずタイミングが合わずに空振りをしてしまいます。また右打者に対しては、小さな曲がりをするスライダーだかカットボールを軸に、投球を組み立ててきます。他に余裕が出てくると、緩いカーブなどを交えます。ただしカーブは腕の振りでわかってしまうのか? 打たれてしまうケースも少なくありません。しかしストレートに比べると変化球は低めに集まり、甘いゾーンにあまり入ってきません。神宮大会の頃は、右打者外角に決まるスライダーの方が目立っていたのですが、チェンジアップの質・精度がかなり一年の間に上がったと言えるのではないのでしょうか。

その他

 クィックは、1.15~1.20秒と昨秋と同じぐらい。フィールディングの動き・判断力もまずまずで、牽制の鋭さもまずまず。マウンドさばきも落ち着いていて、しっかり組み立てたピッチングができていました。

(投球のまとめ)

 まだボールの力・肉体・技術的にも発展途上ではあるものの、将来良い投手になれるだけのセンス・しっかりした投球術を身につけています。そういった意味では、身体ができてくれば素直に計算できる投手になれる可能性を秘めています。その可能性があるのか? フォームを分析して考えてみます。


(投球フォーム)

 ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込むが、足を高い位置まで引き上げ大きな推進力を得ている。また軸足一本で立ったときも、それほど膝には余裕は感じられないもののバランス良く立てていた。

<広がる可能性> ☆☆ 2.0

 マウンド上で突っ立つ感じのフォームなので、お尻はバッテリーライン上に残ってしまいます。そのため身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった球種には適しません。

 また前にもステップしているものの、地面を捉えるタイミングが早く身体を捻り出す時間は充分とは言えません。したがって武器になるほどの変化球の習得は厳しそうに見えますが、スライダーやチェンジアップは効果的に使えているので悲観することはないでしょう。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は抑え込めています。またフォームが縦に推進するので、軸はブレ難く両サイドへのコントロールは狂いは少なそうなフォームです。しかし実際には、まだまだリリースが不安定なのか? 安定していません。

 足の甲の地面の捉えが浅いので、力を入れて投げるとボールが高めに集まりやすい傾向にあります。球持ち自体は悪くないので、リリースでボールが押し込めるようになると、もっと低めにも良い球がゆくことになるかもしれません。いずれにしても股関節の柔軟性を養いつつ、下半身の筋力を鍛えることが求められます

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻が落とせない割に、カーブは時々使っています。窮屈になって肘への負担が心配になりますが、頻度としてはそれほど多くないのでケアに注意して取り組めば、さほど悲観するほどでは無さそうです。

 腕の振りは角度があるのですが、送り出しに無理は感じられません。そのため肩への負担は、少ないのではないかと考えています。また、それほど力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないかと考えています。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りが物足りために、打者としては合わせやすいフォームです。ボールの出どころも平均的ですし、フォームも直線的なので、コースを突いた球でも打ち返されたりする傾向が強いのではないかと。

 それでも腕の振りが良く勢いのがあるので、チェンジアップは効果的に使えています。またボールにしっかり体重を乗せてからリリースはできているので、質の良いボールを打者の手元まで投げることができています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「開き」に課題を感じます。したがって打者としては、捉えられやすかったりボールが見極められやすかったりするのを、いかに補って行けるかが課題ではないのでしょうか。

 まだ身体が充分できていないこともあり制球はアバウトですが、そのへんは下半身がしっかりしてくれば改善して行ける問題かと。足の甲の地面の捉えが浅く腰高のフォームのために、ボールが高めに集まりやすいのも、股関節の柔軟性を養いつつ下半身の筋力を強化することで改善は期待できます。決め手不足も心配しますが、すでにスライダーやチェンジアップを効果的に使えており、将来的にはカットボール・ツーシーム・スプリットなど球速のある小さな変化で幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。


(最後に)

 プロ志望届を提出しておりますが、指名となるとボーダーレベルだとみています。しかし投球の基礎・野球センスは持っている選手であり、課題を少しずつ改善してきた跡も感じられます。時間は少々かかるかもしれませんが、いずれは一軍の戦力へという期待は膨らみます。そういった意味では育成枠になるかもしれませんが、個人的には  を付けてみたいと思わせてくれる選手でした。


蔵の評価: (下位指名級)


(2020年夏 甲子園交流戦)










片山 楽生(白樺学園2年)投手 178/81 右/左 
 




 「ピッチングができる」





 神宮大会でのピッチングをみて、しっかり自分の意図したところにボールを投げ込み、落ち着いたマウンドさばきが光っていた 片山 楽生 。神宮大会では、なぜこれしか球速が出ていないのかとクビを傾げたくなる球速表示だったが、一冬越えて現在は147キロまで出せるまでにパワーアップしているという。


(投球内容)

非常にオーソドックスな右の本格派。

ストレート 常時130キロ~MAX138キロ ☆☆★ 2.5

 神宮大会では130キロ台前半のボールが多く、MAXで138キロほどだった。スピードガンが壊れているじゃないかと思えるほどで、135キロ以上は出ているように感じる球を投げていた。確かに驚くような球威・球速はなかったので、甘く入ると簡単に打ち返される程度の球威ではあったが。ストレートでしっかりストライクは先行できる一方で、全体的に高い傾向にはある。しかしそんな球速も、一冬越えてMAX147キロまで叩き出せるようになったそうで、球質に見合った球速が出るようになってきたということか?

変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0

 右打者外角低めに決まる、スライダーの精度・キレは確かです。ストレートが全体的に高いのに対し、変化球が高めに浮いて来ないところが好いところ。それほど空振りを誘うほどの変化ではありませんが、低めに集めることで痛手を喰らい難い球になっています。また左打者にも、外角低めに決まるフォークのようなチェンジアップがあります。この球も低めに集まるのは好いのですが、打者から見極められてしまって振ってもらえないと投球が苦しくなってしまいます。

その他

 クィックは、1.15~1.20ぐらいと基準レベルぐらい。しかしフィールディングの動き・判断力もまずまずで、牽制も鋭く投げられます。マウンドさばきも落ち着いていて、しっかり自分の思い描いた投球ができている感じがします。そういった野球センス・意識の高さは感じられる内容でした。

(投球のまとめ)

 身のこなしも柔らかく、フォームにも悪い癖が無さそう。土台となるピッチングはしっかりしているので、素直に肉付けできればといった感じの素材でした。そんな彼が、相当パワーアップしていると訊き大いに楽しみになってきました。神宮大会の時点では大学タイプかと思ったのですが、バリバリのドラフト候補にまでなっているかもしれませんね。


(投球フォーム)

 彼が今後伸びる上で、どのへんが課題なのか考えてみましょう。セットポジションから足を高い位置まで引き上げ、軸足一本で立った時のバランスにも優れています。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 お尻の一塁側への落としには甘さは残すものの、カーブやフォークといった球種が投げられないことは無さそうです。ただしブレーキや落差という意味で、充分な変化が期待できるかは微妙です。

 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並。そういった意味では、武器になるような変化球を習得できるかが鍵になります。

<ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は抑え込めている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつきやすい。足の甲の地面の捉えも深く、浮き上がろうとする力を抑えることができている。ただし「球持ち」がまだ浅く、ボールを充分押し込めていないのが、ボールが高めに集まりやすい要因ではないのだろうか。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、悲観するほどでもない。ましてカーブやフォークといった捻り出して投げる球も投げていないようなので、窮屈になる機会も少ないのではないかと。

 また腕の送り出しを観ていても無理は感じられず、肩への負担も少ないのでは? それほど力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないかという感じはする。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的で、特に打者が苦になるフォームではありません。球の出どころも並ぐらいなので、打者としてはイメージどおり素直にボールが来る感じなのではないかと。

 ただし腕は振れていて勢いはあり、ボールに適度に体重を乗せてリリースできています。そのため、打者の手元まで勢いの落ちない質の好い真っ直ぐが投げられています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大要素である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪い部分はないものの、全体にもう少し粘りが欲しい気がします。そのへんが、一冬越えてどうなってきたのか気になります。故障のリスクは少なめで、制球を司る動作も悪く有りません。むしろ気になるのは、将来的に武器になるほどの変化球が習得できるのかといった部分とキレイすぎるフォームや球筋が裏目に出ないのか?といった部分でしょうか。


(最後に)

フォーム全体に粘りがないので、そのへんが肉体のパワーアップと比例するように良くなっているのかという部分が気になります。それがもしできているのであれば、充分にドラフト圏内に入ってくる素材ではないのでしょうか。できればその成長ぶりを、ぜひ確認してみたい1人であります。


(2019年秋 神宮大会)