20kp-27
加藤 大(横浜隼人3年)投手 177/81 右/右 | |
昨夏の大磯戦では、全てストレートのみで2安打・15奪三振を奪った投球が圧巻だった 加藤 大 。しかし、一年ぶりにみた彼は、あれからあまり伸びている感じはしなかった・・・。 (投球内容) 3年夏の神奈川大会では、2試合に登板して 4回1/3 6安 2四死 1三 3失 という内容で、確認した星槎国際戦ではピリッとしない内容でした。 ストレート 常時135~140キロ台中盤? ☆☆☆ 3.0 夏の大会前には、最速で150キロに到達したと訊いていました。しかし、この試合を観る限り、普段は130キロ台中盤~力を入れて投げても140キロ台中盤ぐらいまでではないかと見えました。かなりボールにもバラツキが観られますし、打者も合わせるのにそれほど苦にしないフォーム。適度な勢いと球威は感じられますが、ドラフト指名選手としては驚くほどのものはありません。 変化球 カーブ・スライダー ☆☆ 2.0 結構緩いカーブを頻繁に混ぜてきて、この球は高めには浮きません。とは言っても、高い確率でストラクが稼げるわけでもなさそうです。さらにスライダーのような球もありますが、カーブ以上に現状は信用できない球種のようで、あまり観られません。昨年確認できなかった変化球が観られたのは大きかったのですが、現状カーブもスライダーもプロレベルでは物足りません。時々投げて緩急をつけたり、カウントを取れれば好いといった感じです。 その他 クィックは、1.0前後~1.05秒ぐらいと高速です。牽制も適度に入れ下手ではありませんが、走者を刺せるほどは鋭くはありません。フィールディングも平均的で、投球以外のレベルは平均的でしょうか。 (投球のまとめ) チームでもリリーフで登場していたように、細かい駆け引きをして試合を作るというよりも、ボールの威力でグイグイ押すリリーフタイプです。現状は、制球力・投球術・変化球ともまだまだで、ストレートでも強豪校相手に押し切るほどの力は持っていません。今後プロで、かなりストレートが磨かれてゆかないと厳しいのではと感じられました。 (投球フォーム) 今度はフォームの観点から、今後の可能性について模索したいと思います。セットポジションから、足を勢い良く高く引き上げて来る典型的なリリーフタイプ。膝もピンと伸び切ることなく余裕があり、適度にバランス良く立てていました。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としには甘さは残します。そのため身体を捻り出すスペースが充分とは言えませんが、カーブやフォークといった球種を投げられないほどではないと考えます。 むしろ気になるのは、「着地」までの地面の捉えに粘りがあまり感じられないこと。したがって身体を捻り出す時間が確保できず、曲がりの大きな変化球の習得には適さない気がします。どちらかというと球速のある小さな変化で、ピッチングの幅を広げてゆくことが求められます。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブはしっかり内に抱えられているわけではないのですが、最後まで比較的身体の近くには留まっています。故に外に逃げようとする遠心力を内に留めることができ、両サイド野投げ訳はしやすいのかと。しかし足の甲の地面への押しつけが浅く、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい傾向にはあります。 「球持ち」は前で放すことはできており、もう少し手元で制御でできてもと思う部分はあるのですが、コントロールはアバウトです。このへんは、ちょっと身体をひねりながら押し出すように投げ込む独特の送り出しが、軸をブレさせる要因になっているのかもしれません。あるいは「球持ち」は悪くなくても、ボールを押し込むほどのリリースができていないので、高めに抜けやすいのかもしれません。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さは残すものの、カーブを投げても無理があるというほどではありません。カーブを時々は投げますが、気にするほどではないと思います。 腕の送り出しもスリークォーター気味で、角度に無理な感じはしません。しかし身体をひねりながら押し出す独特のフォーム故に、そこが引っ掛かり故障に繋がる可能性も否定できません。それでも思った以上に力投派ではなかったので、疲労は溜め難いのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りが淡白で、打者から合わされやすいフォームなのではないかと。それでも「開き」はある程度隠せてはいるので、コントロールを間違わなければといった感じはします。 腕が思ったほど身体に巻き付く粘りとか、強く叩けていない感じがします。そのため、空振りが誘い難いのかもしれません。その証に、この夏は4回1/3イニングで1三振しか奪えていなかったので。ボールには適度体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで球威のある球は投げ込めています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの粘りに欠けるのが課題ではないのでしょうか。制球を司る動作は、足の甲の抑えがやや甘くリリースでボールが押し込めず抜け気味なのが気になります。故障のリスクはそこまで高くはないと思いますが、将来的に武器になる変化球を習得できるのかにも不安が残ります。そういった意味では、出力をあげることができても、制球や変化球などが課題となり伸び悩む危険性は感じます。 (最後に) 身体には力がありますし、ストレートの球威・勢いは適度にあります。そのため、将来的に150キロ前後を連発できるようになっても不思議ではないと考えます。しかしその時に、制球力や打ち難さや変化球などのレベルが伴うことができるのかには不安を覚える素材です。育成枠だからこういう指名もありだとは思いますが、かなりの育成力と本人の努力やセンスが問われることになりそうです。残念ながら個人的には、 ☆ を付けるほどの魅力は感じられませんでした。 (2020年夏 神奈川大会) |
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加藤 大(横浜隼人2年)投手 175/77 右/右 | |
昨夏の神奈川大会・大磯高校戦において、全てストレートだけで2安打・15奪三振で完封勝利を果たした 加藤 大 。果たして、この投手はドラフト候補になりえる存在なのだろうか? 改めて、この大磯戦の投球を見直し考えてみた。 (投球内容) ちょっとボールを押し出して投げるようなフォームには見えるのですが、ガッチリした体格でいかにも強そうな球を投げ込みそうな体つきです。 ストレート 常時135~140キロぐらい ☆☆☆ 3.0 球速自体は、135~速くて140キロぐらいだと思います。しかし非常に球威と勢いを感じさせるボールの強さがあり、それゆえこの投手の可能性を感じ取り上げることにしました。時々高めに抜ける球も見られるのですが、四死球を連発するというほどは酷くありませんでした。アバウトだけれども、大崩れはしない。 変化球なし 実際変化球が全く投げられないわけではないと思いますが、この試合では一切見られず。ただし押し出すような腕の振りからみても、曲がりの大きな変化を望めるかは疑問な部分は残ります。むしろ、中途半端な変化球を投げるぐらいならば、自信のある速球を投げ込んだ方がという判断だったのかもしれません。ちなみに秋の大会の映像をみてみると、カーブだかスライダーらしき球は一応投げていました。全く、そういった球が投げられないわけでは無さそうです。 その他 クィックは、1.25~1.30秒ぐらいであり、まだちゃんとできません。フィールディング・牽制含めて良くわかりませんでしたが、そのへんが一年の間にどのぐらい良くなっているのかは気になるところです。 (投球のまとめ) まだ力のあるストレートを投げているだけという素材だったので、この一年間でどの程度総合力を引き上げられているのか?という疑問は残ります。しかし順調に伸びてきているのならば、常時140キロ前後~中盤ぐらいまではコンスタントに投げられていても不思議ではないので、今年の神奈川では注目の1人かと思います。そして本人も、いずれはプロというものを視野に入れているようなので、長く追いかけてみたいと思わせてくれるものがありました。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢い・高さは並ぐらい。軸足一本で立った時には、膝が真上に伸び切ることはなく、適度に力が抜けているところは好いところではないのでしょうか。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻の一塁側への落としは甘さを残しているものの、カーブやフォークといった球が投げられないほどではありません。「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらい。どちらかというと、速球に近い小さな変化を中心にピッチングを組み立てるのに適したフォームなので、カットボール・ツーシーム・スプリットなどを研究してゆくのが合っているのではないかと。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は抑え込めている。そのため軸がブレ難く、両サイドへのコントロールも安定しやすい。足の甲での地面への捉えも悪くなく、浮き上がろうとする力も抑えられている。それでも球が抜けてしまうのは、腕の軌道が下から上に押し出すような独特の動きを魅せ、さらにリリース時にボールが押し込めていないからだろうと考えられる。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さは残すものの、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種も観られないので、窮屈になる機会が少ないのでは。腕の角度にも無理は感じないので、肩への負担も少なめでは。フォームの途中までサイドのような動きから腕を引き上げて来るために、その間の動作で負担がかかっていなければと思う部分はある。どちらかというと、力投派のフォームだとは思うが、全部ストレートで押せるぐらいなので、タフな投手なのだろう。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りも平均的で、ボールの出どころも並ぐらいといった感じ。フォームとしては、合わせやすいわけでも打ち難いというほどでもない感じ。 気になるのは、投げ終わった腕が体に全く絡んで来ない点。腕の短さというのもあるとは思うが、球持ちに粘りがないことが要因として考えられる。また投げ終わったあと全然足が地面を蹴り上がってゆかないように、体重移動が不十分なのが良くわかる。それであれだけの力のあるボールを投げられるのだから、エネルギー効率が良くなれば爆発的なボールを投げられても不思議ではない。 (フォームのまとめ) 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「球持ち」「体重移動」に課題があり、動作全体に粘りがなく淡白な印象を受けてしまう。制球を司る動作は思ったよりもよく、故障のリスクもさほど高くは無さそう。ただし、将来的にピッチングの幅をどのように広げてゆくのかが課題ではないのだろうか。イメージ的には、DeNAにいる エスコバー を右にしたようなフォームになっている。 (最後に) 今年の成長ぶりを確認できていないが、夏の大会で横浜隼人の試合があるときには注目したい。140キロ台連発の投球は、期待してみたい1人。高校からプロというよりは、少し長い目で追いかけて行きたい1人ではないのだろうか。 (2019年夏 神奈川大会) |