20kp-2
中森 俊介(明石商3年)投手 182/87 右/左 | |
1年夏から甲子園に出場し、将来を嘱望されてきた 中森 俊介 。体つきこそ明らかに大きくなっていたが、投球内容は思いのほか下級生時代から成長が感じられなかった夏の交流試合。果たしてこの投球をみて、どう判断すべきか考えてみた。 (投球内容) 150キロは出せるものの、スケールで魅了するというよりも総合力で勝負する実戦派です。 ストレート 常時140キロ台~MAX151キロ ☆☆☆★ 3.5 立ち上がりは140キロそこそこでも、肩が温まってくると先発でも150キロに到達します。下級生の頃からすでに151キロを記録していましたが、先発でも150キロを出せるようになったことで地力の引き上げに成功しているものと考えられます。夏の甲子園では少々ボールにバラツキがありましたが、左右の打者の内角を厳しく突いたり、苦しい場面でも最後にはコース一杯とか低めにスピンの効いた球をズバッと決められる能力は非凡です。ボール自体に凄みを感じる機会は少ないのですが、ここぞの場面での能力には良い投手に共通する勝負強さを感じます。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 基本的には、右打者には速球とスライダーのコンビネーション。左打者には、速球とチェンジアップとのコンビネーションで組み立ててきます。右打者の外角一杯にスライダーを集めつつ、胸元を速球で突く。左打者には、外角に速球とチェンジアップを集めることが多いですが、インローに速球を投げ込むこともできます。それほど空振りを取れる球ではないのですが、変化球でカウントを安定して稼げて、投げミスも少なく甘いところにはなかなかきません。そういった精度の高さは、評価して良いポイントではないかと。 その他 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいと基準レベル以上。ボール処理も落ち着いていて、大きな欠点は見当たらない。ランナーを背負っても牽制を入れて来ないので、そのへんがどうなのかは気になっている。 (投球のまとめ) 確かに目に見えて大きな変化は感じられなかったものの、明らかに肉体的には上積みが観られ、先発しても150キロを出せるまでに緩やかな成長を遂げていることは間違いない。こういった地道に取り組んできた選手は、どの瞬間で大きく伸びるかわからないので、それがプロ入り後早い段階で起きても不思議ではないだろう。 (投球フォーム) ワインドアップから、静かに足を軽く引き上げてきます。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸び切ってしまい、バランスが悪いのは気になります。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 前に倒れ込むように重心を沈ませて来るので、お尻はバッテリーライン上に残ってしまいます。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、捻り出して投げるカーブやフォークには適さない投げ方です。 それでも前に大きくステップすることで、身体を捻り出す時間は確保。キレや曲がりの大きな変化球の習得は可能ではないかと。ただし変化球を観ていると、変化が大きいというよりも鋭く小さく変化するボールが目立ちます。将来的にも、カットボール・ツーシーム・スプリットなど球速のある小さな変化でピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆★ 4.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込むことができている。元々縦に重心移動するフォームなのもあり、両サイドへのコントロールのブレは少ないと考えられる。また足の甲でも地面を捉えることができているので、力を入れて投げても上吊り難い。低めにも良い球が投げられるのは、「球持ち」も良く押し込めているのもあるものの、この足の甲の地面への捉えができているのが大きいのではないかと。さらに身体がしっかりしてくれば、かなり精度の高いコントロールを身につけられそうだ。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせていないものの、カーブやフォーク系の球はあまり観られません。そういった意味では、肘への負担も少ないのではないかとみています。また腕の送り出しを見る限り、肩への負担も少なそう。それほど力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないかとみています。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは適度に作れているので、合わされやすいというほどではないと思います。しかしフォームが直線的でもあり、ボールの出どころもそれほど隠せているフォームではありません。したがってコースを突いた球を踏み込んで打たれたり、縦に沈む球などを見極められやすい傾向はあると思います。 腕は適度に振れて勢いはあるので、ストレートなどでは球質も相まって空振りは奪えるのではないかと。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできているのですが、ホームベースに向かって真っ直ぐ身体が向いていない形なので、ダイレクトにボールが伝えきれているかには疑問が残ります。そういった意味では、まだフォームに修正する余地はあるのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」が平凡で「体重移動」に修正の余地があるようには感じます。それでも制球を司る動作に優れており、故障のリスクもさほど高いとは考え難い。将来的に武器になるほどの変化球を習得できるのかは微妙ですが、総合力で勝負する投手に育つのではないのでしょうか。 (最後に) 夏の大会は調子も良くなかったのかなと思える部分もありましたが、本格的に伸びてくるのはもっと後なのではないかと。特に完成度・総合力・センスのある投手なので、一年目から一軍をある程度経験。2年目・3年目ぐらいには、一軍のローテーションに定着しても不思議ではありません。タイプ的には、西 勇輝(阪神)的な投手に育つのではないかという期待も膨らみます。ドラフト順位としては、2位前後ぐらいなのかなと。球団によってはハズレ1位だとか、あるいは3位ぐらいまで残ってしまう展開になっても驚きはないのかなと個人的には思います。しかし今みているイメージよりも、プロ入り後はこんなに凄かったのかと驚かされる未来の方を、個人的には思い描いています。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2020年夏 甲子園交流試合) |
中森 俊介(明石商2年)投手 181/79 右/左 | |
どちらかというと今後の伸び代も少なそうで、高校球界のトップ選手としては物足りなさを感じていたいた 中森 俊介 。しかし夏の甲子園、八戸学院光星戦のリリーフでの登板。この試合で150キロ台を連発する姿をみて、この選手は改めて力があるのだと再認識させられることになる。少なくても現時点では、やはり高校NO.1は、この男なのだろうと。 (投球内容) ワインドアップから、振りかぶって投げ込んできます。真上から投げてくる本格派というよりは、少し肘の下がったスリークォーターといった感じのフォームです。 ストレート 常時140~151キロ ☆☆☆☆ 4.0 先発だと140~140キロ台中盤ぐらいのボールが多いのだが、リリーフ時に140キロ台中盤~151キロまで到達。ボールの回転・勢いも良く、打者の空振りや見逃しさを誘うだけの質の良さもある。またコマンド自体も高く、ボールをしっかり両サイドに投げ分ける制球力もある。しかし夏の甲子園で投じた19回1/3イニングで、四死球は7個。そこまで、繊細なコントロールはないのか?私が見る限りは、結構臭いところにボールを集めて、その結果四球になるケースが多いように見える。 また彼の投球が物足りなく見えるのは、19回1/3イニングで18安打を浴びるなど、先発時だとボールの力で圧倒するほどではないということ。そのためリリーフ時のような、145~150キロ級のボールを投げ込まないと、あまり凄みが感じられないというところにあるのではないのだろうか。 変化球 スライダー・チェンジアップ・フォークなど ☆☆☆★ 3.5 スライダーでしっかりカウントを整えることができ、フォークやチェンジアップなどの縦の変化を使ってくる。彼の良いのは、変化球が低めに集まり浮いて来ないところ。縦の変化はかなりの確率でしっかり落ちているのだが、意外に見極められて振ってもらえていないところがある。この辺を、もっと速球と見極められないように投げられると良いのだが。 その他 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいと基準レベル以上。ボール処理も落ち着いていて、大きな欠点は見当たらない。ランナーを背負っても牽制をあまり入れて来ないので、この辺の技術が上がって来ると良いのだが。 (投球のまとめ) 世代屈指の存在としては、やはり先発時でも相手を圧倒するような凄みが出てきて欲しい。リリーフ時にはそれができる技術・体力・筋力があるのまでは確認できた。もし先発でもそういった投球ができれば、1位指名の12人の中に入って来るのではないのだろうか。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から今後の可能性について模索してみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻はややバッテリーライン上に残りがちで、身体を捻り出すのに充分なスペースが確保されているとは言えない。それでも、窮屈になって肘に負担がかかるといったほどではないのだろう。 「着地」までの粘りはそこそこで、身体を捻り出す時間はそれなりに確保できている。そのため曲がりの大きな変化球の習得は可能であり、将来的に決め球になるような球を取得しても不思議ではないのだろう。特にチェンジアップは、すでにフォークのような落差がある。 <ボールの支配> ☆☆☆☆★ 4.5 グラブは最後まで内にしっかり抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため、両サイドへのコントロールはつけやすい。 足の甲でもしっかり地面を捉えており、浮き上がろうとする力を抑え込めている。「球持ち」も前で放せており、細かいコントロールもつけやすいのではないのだろうか。リリースの際にやや肘が下がってボールが抜けそうな腕の振りなのだが、「球持ち」が良く抜け球は滅多に観られない。制球力は、非常に安定しやすいフォームなのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としに甘さは残るものの、肘に負担がかかるほどではないだろう。まして捻り出して投げる、カーブやフォークの割合はすくないのであまり気にすることは無さそうだ。 腕の送り出しをみても、、肩への負担も少なそう。また力投派でもないので、疲労も貯め難いのではないのだろうか。故障のリスクも、かなり低いフォームだとみている。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも作れており、特に合わせやすいフォームではないのだろう。ボールの出どころは平均的で、見難いわけでも見やすいわけでもない。しかし甲子園でイニングに近い数の被安打を浴びていたところをみると、思ったほど苦にはならないフォームなのかもしれない。 振り下ろした腕は身体に絡んできており、勢いがあるのでもう少し縦の変化でも空振りも奪えそうなものなのだが。ボールへの体重乗せも悪くないように見えるので、更にウエートなりがついて来ると更に球威も増して来るかもしれない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、「開き」以外は水準以上だと言えるのではないのだろうか。「開き」も早すぎることはないと思うが、平均的といった印象を受けた。 制球を司る動作・故障のリスク・将来的に武器になる変化球の取得も含めても、非常に完成度の高いフォームをしている。フォームの観点だけでみれば、先輩の 山崎伊織(東海大) よりも高い技術で投げ込んでくいる。 (最後に) 途中にも書いたが、先発時でも凄みのある投球ができるまでに球威・球速を引き上げられるかに懸かっているのではないのだろうか。そうなれば自ずと上位指名どころか1位の12人に入って来ても不思議ではない。今はセンバツの舞台で、それが確認できる日を楽しみに待ちたい。 (2019年夏 甲子園) |
小さめなテイクバックながら、無理せずに130キロ台後半~140キロ台中盤を叩き出せる能力がある。ボールの質・制球力も安定しており、すでに一学年上のドラフト候補に混ぜても遜色のないレベル。変化球は、スライダーとチェンジアップ。特にチェンジアップに自信があり、この球を多く使ってくる。1年夏から将来ドラフト候補に入ってくるのは間違いなさそうな素材だったが、順調に成長中。ただしそれほど身体が大きくないのとテイクバックが小さめな点で、来年の目玉レベルといった領域まで行けるのかは現状微妙だろう。 (2019年 選抜) 181/78 と堂々とした体型の持ち主。球速も最速145キロするなど、一年生とは思えない力強いボールを披露。鋭いスライダーのキレも併せ持ち、2年後にはドラフト上位指名をも視野に入れられる大器だった。突然制球が乱れたりと、まだまだ精神面の不安定さが今後の課題だろうか? (2018年夏 甲子園) |