20kp-10









 内田 了介(埼玉栄3年)投手 181/80 右/右





 「成長途上」





 柔らかく肘を使いながら、ビシッとした強いボールが投げられる 内田 了介 。昨年から関東指折りの素材として注目されてきたが、順調に最終学年を迎えている。東日本の合同練習会にも参加し、その才能をスカウトたちに見せつけることができた。


(投球内容)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。それほど力んで速い球を投げようという感じではなく、慎重にコントロールミスをしないように投げている感じで、スカウトによってはこんなものではないだろうと思った人も少なくなかったのではないのでしょうか。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0

 MAX150キロと言われるものの、まだボールの勢い・球速としては驚くほどの球を投げ込むわけではありません。それでも安定して質の好いボールは投げ込んでおり、ボールも両サイドに散らすことができています。合同練習会では際どいところに決まらず収まりの悪さは感じさせたものの、夏の埼玉大会では18イニングで4四死球と、けして制球が悪く自滅するタイプではありません。ただし、左打者への制球がアバウトになる傾向は観られます。

変化球 スライダー・カーブなど ☆☆☆ 3.0

 変化球は、カーブやスライダーなどが中心です。他にもチェンジアップやフォーク系などもあるようですが、まだ精度が低いのか? 合同練習会などでは観られず。右打者に対しては、ボールゾーンに切れ込む曲がりながら沈むスライダーを振らせることを得意にしています。夏の埼玉大会では、18イニングで19奪三振と投球回数を上回っていました。

その他

 クィックは、1.1秒前後とまずまずで、フィールディングの動きなども機敏。気持ちも結構勝ち気な部分がありそうで、経験を積んでゆけば、どんどんマウンドさばきが良くなっていきそう。

(投球のまとめ)

 肉体的にも技術的にも発展途上であり、まだまだこれから良くなるのではないかという期待感があります。肘の使い方も柔らかい身のこなしの良さに、勝ち気なマウンドさばきプロ向きではないのでしょうか。何年かかかると思いますが、本会議での指名が意識できる素材です。


(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立ったときに、膝に力みは感じられずバランス良く立てている。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足をやや地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。それでもカーブやフォークといった球種を投げられないほどではないと思いますが、充分な変化が期待できるかは微妙でしょう。

 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間は並。そのため一通りの球種は投げられるものの、現時点では武器になるほどの変化球がないのも頷けます。股関節の柔軟性を養いつつ下半身の強化に務め、着地までの時間を稼げるようにしたいものです。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは内にしっかり抱えられているというほどではないものの、結果的に最後まで身体の近くにあります。そのため外に逃げようとする遠心力を抑え込むことができ、軸のブレは少なく済んで両サイドへの制球は安定しています。

 足の甲の地面への捉えが浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすいのでは? そのため力をセーブして投げないと、高めに抜けてしまうのを恐れているのかもしれません。「球持ち」も並で、まだボールを押し込めるようなリリースでもないので。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、それほどカーブやフォークといった捻り出して投げるボールを多く使ってくるわけではありません。そういった意味では、窮屈になる機会も少なく、悲観するほどではないように思います。

 また腕の送り出しには無理は感じられず、肩への負担も少なめ。けして力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないのでしょうか。むしろ彼の場合は、殻を破ってもっと大胆に腕を振って欲しいもどかしさが残ります。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは並で、ボールの出どころも平均的。打者が合わせやすいわけでもなく、打ち難いというほではありません。それを補う意味でも、小さめのテイクバックから、ピュッとボールが出てくる感じにしているのかもしれません。

 腕も思ったほど身体に絡んで来ないので、打者としては勢いに欠け空振りを誘い難いのではないかと。充分に体重を乗せてからリリースできているというほどではないので、この辺がもっと体重を乗せて投げられるようになると、打者の手元までもっと生きた球が投げられるようになるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、大きな欠点はないものの、特別優れているところもありません。それだけまだ伸びしろを残しているとも言えるわけですが、特徴に欠けるとも言えます。

 故障のリスクがあまり高くないのは明るい材料ですが、制球を司る動作や将来的に武器になる球を習得できるのかは微妙。現状、可も不可もないといった平均的なフォームです。


(最後に)

 本当にまだ発展途上であり、今後の導き方次第では大いに良くなる可能性を感じます。その一方で、特徴なく伸び悩む要素もあるので、その辺をどう捉えるかで意見が別れるのではないのでしょうか。それでも好素材だと思いますし、マインド的にはプロ向きだと感じられるところも。ドラフトでは、本会議でも中位(3位~5位)ぐらいの中で、指名されても不思議ではないのではないのでしょうか。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年 東日本合同練習会) 











 内田 了介(埼玉栄2年)投手 181/77 右/右 
 




 「ズバーンと」





 小さめのテイクバックから、ミットにビシッと決まるストレートが魅力の 内田 了介 。来春のドラフト候補として、関東では注目のドラフト候補のひとり。果たして、どのような投手なのかご紹介してみたい。


(投球内容)

 ワインドアップで振りかぶり、軸足一本で立った後に前に少し身体を倒すような感じで体重を落として来るタイプです。

ストレート 135~140キロ台前半ぐらい ☆☆☆★ 3.5

 夏の埼玉大会で少し見られたのだが、その時はリリーフでの登場。球速は135~140キロ台前半という感じで、秋には146キロまで球速を伸ばしたのだという。ボールの質が良いので、結構空振りは誘えるタイプ。右打者には外角にキッチリを集められる反面、左打者へのコントロールがアバウトになる。昨夏の時点ではびっくりするような球を投げていたわけではないが、一冬越えてきたらドラフト候補として楽しみな素材、そういった期待を抱ける内容だった。

変化球 カーブ・スライダー・ ☆☆☆ 

 観戦した試合では、ほとんどがストレート。たまに投げるスライダーも、少し抜け気味でキレ・精度とも目立なかった。しかし秋の映像も少し見てみると、緩いカーブ、スライダー、それに縦のスライダーだかフォークなどの各変化球のレベルも低くなく、うまくピッチングに織り交ぜているように見えた。

その他

 クィックは、1.1秒前後とまずまずで、フィールディングの動きなども機敏で良かった。気持ちも結構勝ち気な部分がありそうで、経験を積んでゆけば、どんどんマウンドさばきが良くなっていきそうな選手ではある。

(投球のまとめ)

 僅かな投球だったので細かい部分はよくわからなかったが、素材としては2年前に話題になった同校の 米倉 貫太(HONDA)の方が魅力的には見える。ただし精神的にまだ不安定だった米倉に比べると、内田にはそういった心配はあまり無さそうなタイプ。米倉が少しずつ段階を踏んで自信を付けて行くタイプならば、内田は短期間に一気にガーンと伸びてきそうな爆発力を秘めた素材といった感じはする。


(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 外人のように軸足一本で立ったあとに、前に倒れ込むように重心を下げてくる。通常こういった投手は、お尻はバッテリーライン上に残ってしまって縦推進のフォームになる。しかし彼はここから高い位置で足をピンと伸ばすので、このフォームでもお尻はある程度一塁側に落とせるのだ。甘さは残すものの、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げるだけのスペースは確保できている。

 「着地」までの粘りもそれなりで、身体を捻り出す時間も悪くない。そのためキレのある変化球の習得も可能そうなフォームではあるのだが、テイクバックが小さめなのでカーブやフォークのような捻り出して投げる球種には適さないのではないかとみている。あくまでもキレのあるスライダーやチェンジアップ、あるいは微妙に動かす球種でピッチングを作って行くタイプではないのだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため軸のブレは少なく、両サイドへの投げわけはつけやすい。右打者にはそれができているが、左打者にできていないのがこれからの課題。

 足の甲の地面への押しつけは浅めで、力を入れて投げるとボールは上吊りやすい。「球持ち」自体は結構良く見えるので、もう少しリリースでボールを押し込めるようになると、低めにも集まってきそう。気になるのは、腕の軌道が身体から離れ気味に振られブンと振ってくるので、こういった選手はコントロールが乱れやすい。彼もそういったタイプなので、制球を乱す動作があるとすればそれが大きいのではないのだろうか。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落とし自体はある程度落とせているので、カーブやフォーク投げてもそれほど窮屈になることは少なそう。腕の送り出し自体にも無理は感じないので、肩への負担も少ないのでは? それほど力投派というよりは、まだ身体を活かしきれていないという感じの投手なので、故障のリスクは少なめだと捉えている。

<実戦的な術> ☆☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは適度に作れており、小さめのテイクバックも相まって合わせやすくはないはず。ボールの出どころも隠せているので、むしろ見えないところからピュッと出てくる感覚なので差し込まれやすい。

 振り下ろした腕は身体に絡んで来るなど勢いはあるので、打者の空振りは誘いやすい。しかしまだ充分に体重を乗せてからリリースできておらず、前の足が突っ張って充分に前に重心が乗っていっていない。この体重移動が改善できてくると、グッと凄みが出てくるのではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に課題を抱えている。ここさえ改善できれば、手元まで勢いのある球が投げられそう。テイクバックの小ささからも、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦に鋭く落ちるボールはどうだろうか? しかしそれ以外の球種で、ピッチングの幅を広げて行くことは期待できる。故障のリスクは低いので、どんどん投げ込んでフォームを固めて行って欲しい。あとは足の甲の押し付けが浅いのと、身体から離れで腕が振られるので、コントロールの部分で何処まで改善できるかではないのだろうか。


(最後に)

 現状はまだ今後の成長次第で、どう転ぶかわからないといった感じはします。しかしマインドは結構強気そうなので、マウンド経験を積んでゆけばどんどんそれを自分の力には変えて行けそうなタイプに思えます。フォームは結構打ち難さを武器にするタイプであり、それでいて速球派というちょっと異色のタイプ。今後どうドラフト戦線に絡んでゆくのか、春季大会から追いかけてみたい一人ではありました。


(2019年夏 埼玉大会)