20dy-9
小川 龍成(国学院大4年)遊撃 172/72 右/左 (前橋育英出身) | |
小川 龍成 を生で観ていて思ったのは、いろいろな意味でプロでは時間がかかるののでは?といった印象を受けた。その理由について、今回は考えてみたい。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、速いときで3.8秒前後とプロでもトップクラスのタイムを叩き出す。しかし、東都でのシーズン最多盗塁は、3年春のシーズンの5個。あとのシーズンは、0~2個ぐらいと少ない。確かに脚力はあるが、盗塁技術や積極性という意味では、まだまだ課題があることがわかる。プロで足を売りにしてもおかしくないほどの脚力はあるものの、走塁技術は今後の取り組み次第といった感じだろうか。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 一歩目の反応も鋭く、守備範囲も広い。グラブさばきも柔らかく地肩も基準レベルはあり、細かいステップを刻めるまさにニ遊間タイプといった選手です。しかしこの秋リーグ戦を生で観ていて、いろいろと時間がかかりそうだと感じました。というのは、ベースカバーに入り忘れ走者に無駄な進塁を許してしまったり、二塁に滑り込んで来る走者へのタッチが弱いなど、ショートとして学ばないと行けないことがまだ少なく無さそうだということ。 ただし以前も書きましたが、連携プレーの二塁手や一塁までの返球なども、実に相手が取りやすいことを意識して丁寧にプレーしているところには好感が持てます。肩が滅法強いわけではないので、丁寧にボールを扱い相手に配慮した送球でミスを極力減らそうという高い意識を持ってプレーできています。そういった意味では、球界の名手として知られた 小坂 誠(元ロッテ)のようなショートに育っても不思議ではないように感じました。 守備でも走塁でも資質は高いのですが、プロのプレーといったものを要求するのには、いずれも少し時間がかかるのではないかと感じます。 (打撃内容) コースに逆らわない打撃が持ち味ですが、2年春に打率.400厘(3位)を残したのが目立つぐらい。あとは2割台で、ラストシーズンでは打率.163厘と低迷し打撃の弱さは目立ちます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めにバットを寝かせて構えます。腰の据わりも良く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも取れていて好い構えかと。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。昨年みた時は、「早めの仕掛け」だったので、若干始動が遅くなっていたのは、意識的になのか調子が落ちて始動が遅れがちだったのかはわかりません。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそことれ、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。昨年は、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップでした。 気になるのは、真っ直ぐ踏み出すのは良いのですがステップが狭いせいで、インパクトの際に足元が踏ん張り切れずにブレることが多くなったこと。またステップが狭いと内角を引っ張るのには腰の回転を促しやすいのですが、外角の球を長く観られずしっかり叩け無いスイングに陥りやすいのがはどうなのかといった気がしました。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。しかし、バットを引くのが遅れないように注意したい。またスイング軌道は、けしてインサイドアウトではありません。そのため外角をさばくのには、ロスは感じずそれでいてバットをしなりを活かするのには適しています。そのぶん内角の球には、少しバットの出が悪いのではないかと。 それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がらず広い面でボールを捉えられています。それだけボールが、フェアゾーンに飛びやすい形では捉えられています。あとは、もう少しヘッドスピードをあげるなり、スイングに強さ・鋭さを追求したいところです。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は小さめ。ただし、ステップが狭めで早く地面から離れやすく、逃げてゆく球や低めの球に対しては開きが我慢できるかは心配です。軸足自体には、粘りが感じられるので、レフト方向に流すのは下手ではないのですが。すなわち、甘めの外角球や高めの球を、流すのは上手いのではないかと考えられます。 (打撃のまとめ) ステップが狭めのために、どうしてもボールが長く観られない。引っ張り込むか、外角でも甘めや高め之球と限定されやすいのではないかと。さらにインサイドアウトにはバットが出てこないので、意外に内角も厳しいところはキツイ。そうなると、打てる幅や高さが、かなり限られているのではないかと考えられます。また、スイングにまだ強さも感じられないので、打球も弱く間を抜けてゆく確率も低いのではないのでしょうか。 (最後に) 打撃のミートセンスが悪いとは思わないのですが、もう少し打てるポイントを広げてゆかないと率は残り難いのではないかと。走力と守備力には良いものを持っているものの、まだまだ改善の余地もあり、この辺も少し時間がかかりそう。観ていても、あんまりプロっぽい選手ではなく、アマの好選手といった感じはします。それでも資質は低いとは思わないので、本人が貪欲に取り組んでゆけば、数年後は一軍でもやれる選手に育つのではないのでしょうか。そういった部分も期待して、☆ は付けようと思います。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2020年 秋季リーグ戦) |
小川 龍成(国学院大3年)遊撃 172/72 右/左 (前橋育英出身) | |
ゲッツーを成立させる時にも、一塁への投げるときにも、常に次に受ける人が捕りやすく次の動作へ移行しやすいところに柔らかく送球する 小川 龍成 。そういったプレーを可能にするのは、自分自身のプレーに余裕があり、また視野が非常に広い選手なのではないのだろうか。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、左打席から3.8秒前後と極めて速いのに驚いた。これは、プロの中に混ぜてもトップクラスのタイムになる。試合では、3年春のシーズンに5盗塁を記録。しかし続く秋のシーズン1盗塁と、極端に走力でガンガンとアピールするほどではない。脚力はあるが、盗塁技術はまだ発展途上のなのかもしれない。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 一歩目の反応も鋭く、守備範囲も広い。グラブさばきも柔らかく地肩も基準以上のものがあり、細かいステップを刻めるニ遊間タイプ、大学JAPANの代表にも選ばれただけのことはあります。プロレベルに混ざっても、ニ遊間で勝負できるレベルにあるといえるのではないのでしょうか。 (打撃内容) 打撃でのインパクトは薄い選手で、コースに逆らわない巧打者といったイメージがあります。リーグ戦では2年春に打率.400厘で3位に輝き、あと出場した2シーズンでは2割台と低迷しました。最終学年では、安定した成績を残せるのか注目されます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前足を引いて、グリップを高めに添えて構えます。腰の据わりは良く、両眼でしっかり前を見据え、全体のバランスに優れた安定感のある構えになっています。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。ただし早く足を引き上げすぎて、一度地面に降ろしてから小さくステップし直すことがある。これだと本格的な始動が「遅すぎる仕掛け」になってしまい、対応が後手後手になってしまう恐れがある。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く引き上げ、少しベースから離れ方向に踏み出すアウトステップ。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。しかし一度ステップし直してしまうと、どうしても対応できるタイミングは限られてしまう。 軽くアウトステップするように、内角への意識は高いのではないのでしょうか。それでも踏み出した足元はインパクトの際にブレずに止まっており、逃げて行く球にも食らいつくことができます。特にアウトステップなので、バットが届きやすい高めの方が対応しやすいと考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で力みは感じられないのだが、振り送れないように注意したい。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。それでも外角をさばくのにはロスはなく、バットの先端であるヘッドを立てて、まくボールを拾えています。スイングが鋭いとか力強さが感じられないのは物足りませんが、逆らわずにレフト方向に打ち返すのは上手いです。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 目線の上下動は少なく、錯覚を起こすことなくボールは捉えられています。身体の開きも我慢できていますが、軸足が前に傾き過ぎなので身体のツッコミには注意したいところ。しかし軸足自身には強さが感じられ、思ったよりも非力ではないのかもしれません。 (打撃のまとめ) 下半身は、始動が極端に遅くなる時があるのでそこだけが気になる材料。強く叩くというよりは、コースに逆らわず対応しようとするタイプ。外角の球をさばく上ではロスはないし、懐のさばくのもうまくスペースを作れている。 下半身も足元がブレず、軸足にも粘り強さが感じられる。軸も安定しているのは好感が持てるが、いくぶんツッコみやすいのは常にチェックしておきたいポイント。いずれにしても打撃が課題であり、ここを改善してないとプロ入りは厳しいのではないのだろうか。 (最後に) 守備や走塁は間違いなくプロ級だと思うが、問題はアマタイプの好打者で終わるのかプロとして戦力になるのかは現状微妙な位置にはいると思います。それだけに最終学年では、スイングや打撃でモノの違いを魅せて欲しいところ。特に甘い球を逃さない、研ぎ澄まされた「鋭さ」みたいなものが出てくると、大学からのプロ入りも現実味を帯びてくるのではないのだろうか。 (2019年 秋季リーグ戦) |