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古川 裕大(日ハム)捕手のルーキー回顧へ







古川 裕大(上武大4年)捕手 182/86 右/左 (久留米商出身) 
 




「ディフェンスの成長確認できず」 





 最終学年の 古川 裕大 は、下級生の 進藤 達也(筑陽学園出身・1年)捕手に、スタメンマスクを譲ることが多かった。私がようやく今年のプレーを確認できた横浜市長杯のでは、一塁手として出場だった。そのため、今季にどのぐらい古川が成長できていたかどうかは、守りの面ではよくわからない。


(ディフェンス面)

 そのためディフェンスに関しては、オフシーズンに作成したレポートの内容を、そのまま抜粋することをご了承願いたい。

 6月の大学選手権の時に見た時は、少し雑かな?と思える部分がありました。しかし秋の神宮代表決定戦・横浜市長杯のときには、そこまでそういった感じはしませんでした。細かく周りに指示を出せる選手ですし、プレーにも適度なこだわりも感じます。

 投手に軽くミットを示し、そのグラブを地面に下げるようなことはありません。際どいコースでもミットはブレませんし、ワンバウンドするような球に対しても、素早くミットは下から出せます。キャッチング全般には、安心して見ていられる選手です。

 市長杯では、古川のインサイドワークに相手が翻弄されている姿が見られました。相手の裏をかくのが上手い分、相手の読みを外せなかった時にポカを食らうのかなといった印象を受けます。それでも考える習慣というものを身につけている選手なので、リードに意図は伝わってきます。またスローイングも1.9秒台前後で驚くほどではないのですが、地肩も強く捕ってから投げるまでの流れも悪く有りません。プロに混ぜてしまうとA級かは微妙ですが、中の上 レベルの送球はできているのではないのでしょうか。

 とかく打撃に目が奪われがちですが、その所作やリードセンスは、昨年の佐藤都志也(東洋)よりも上だと思います。打撃が良いからといって、プロ入り後コンバートされる、そういった選手ではないのではないかと。


 とこの時期よりも、さらにディフェンス面での谷口監督の信頼も上がっていたとのこと。リードなどに課題もあったようだが、その辺はかなり改善されていたのかもしれない。個人的には、捕手としても充分ドラフト指名されるレベル・素材の選手だとみていた。


(打撃内容)

 この秋のリーグ戦成績は、12試合 1本 14打点 2盗塁 打率.357厘 。3年春・秋の2シーズンで8本塁打を放った長打力は、やや最後のシーズンでは陰を潜めた。それでも、高打率と打点の多さで、4番としての重責を充分に果たしていたと家様。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて、グリップを平均的な高さに添える左オープンスタンス。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしてもまずまずで、打席ではリラックスして余裕が感じられる。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった当たりだす、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる始動のタイミング。追い込まれると、リリース前に小さくステップさせ、動作を小さくして対応しようとする。

 昨年までは「早めの仕掛け」にしていたが、少しボールを引きつけて叩くスタイルに始動のタイミングを変えていた。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く浮かしまわしこみ、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも叩きたいタイプ。

 踏み込んだ足元は、なんとかインパクトの際にもブレずに我慢。ただし見ていると、逃げてゆく球に対しては、あまり強く叩けていないように見える。開きを我慢できているので、当てることはできるが、長打を発揮するのは引っ張ったときの打球が多いのではないのだろうか? タイミングを合わせるのはうまく、低めの球を拾うは得意な打者ではあるのだが。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、ボールを力み無く呼び込めている。バットの振り出しは平均的で、肘をたたんでさばける。その分、腕をしっかり伸ばす時の打球に力が伝わりきれないスイングをしているようにも見える。

 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドはそれほど下がらない。広い面でボールを捉えられており、フェアゾーンにはボールが飛びやすい。ボールを捉えてからも、スイングの弧は大きめで強い打球を生み出す原動力になっている。ただし昨年の方が、ボールの下の方を叩き角度をつけて飛ばすのは上手かった気がする。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。それだけ、球筋を錯覚を起こすなく追うことができる。身体の開きも我慢できているが、足元は少し窮屈そうなのは気になった。そのため打てる幅が、少し狭いのかもしれない。

(打撃のまとめ)

 昨年の方が、長打が生み出されやすいスイングだった。しかし今季は、より対応力を高めようとしたのか? その弊害が角度を生み出す動作に出てしまった。捕手での負担が少なかった割に、打撃での魅力が薄らいだのは残念。しかしこういった部分は本質ではないので、プロ入り後の指導や取り組み方次第で幾らでも修正は可能だろう。捕手でありながら打撃が好いという、彼の本来の魅力は健在だとみて良さそうだ。

(最後に)


 プロで正捕手を担えるほどのディフェンス力か? と言われる微妙だが、それでは他のポジションへコンバートするのが得策なのかは悩むところ。多少苦労することはあると思うが、「打てる捕手」として勝負していった方が、存在価値は出るのではないかと思う。そのへんの未来像が描き難かったところが、能力の割にこの順位まで残った要因 だろうか。いずれにしても、捕手陣の決め手不足に悩むハムの中に、楽しみな選手が加わったと言えるのではないのだろうか。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2020年 横浜市長杯)










古川 裕大(上武大3年)捕手 182/86 右/左 (久留米商出身) 





 「打てる捕手」





今年の大学・社会人の候補の中でも、攻守のバランスが最も取れている捕手なのが、この 古川 裕大。大学球界の野手の中でもトップクラスの打力を誇っていた 佐藤 都志也(東洋大-ロッテ2位)と比較しても、遜色のない打力の持ち主なのだ。


(ディフェンス面)

6月の大学選手権の時に見た時は、少し雑かな?と思える部分がありました。しかし秋の神宮代表決定戦・横浜市長杯のときには、そこまでそういった感じはしませんでした。細かく周りに指示を出せる選手ですし、プレーにも適度なこだわりも感じます。

投手に軽くミットを示し、そのグラブを地面に下げるようなことはありません。際どいコースでもミットはブレませんし、ワンバウンドするような球に対しても、素早くミットは下から出せます。キャッチング全般には、安心して見ていられる選手です。

市長杯では、古川のインサイドワークに相手が翻弄されている姿が見られました。相手の裏をかくのが上手い分、相手の読みを外せなかった時にポカを食らうのかなといった印象を受けます。それでも考える習慣というものを身につけている選手なので、リードに意図は伝わってきます。またスローイングも1.9秒台前後で驚くほどではないのですが、地肩も強く捕ってから投げるまでの流れも悪く有りません。プロに混ぜてしまうとA級かは微妙ですが、中の上 レベルの送球はできているのではないのでしょうか。

とかく打撃に目が奪われがちですが、その所作やリードセンスは、昨年の佐藤都志也(東洋)よりも上だと思います。打撃が良いからといって、プロ入り後コンバートされる、そういった選手ではないように思います。






(打撃内容)

リーグでは、3年春のリーグ戦で5本塁打・13打点。続く秋のリーグでは、打率.452厘を残し首位打者に輝きました。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰が適度に据わりつつ、両眼で前を見据える姿勢は並なものの、全体のバランスとしては良い構えではないのでしょうか。特にアゴを引いて、打席での高い集中力が感じられます。

<仕掛け> 
早め

投手の重心が沈む時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力重視で、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。長打が魅力ですが、基本はヒットの延長線上に本塁打というタイプなのかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

足を上げたまま長く空中でキープしつつ、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい打ち方。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい万能型です。タイミングの合わせ方は、非常に優れた選手だと思います。

 踏み出した前の足は、インパクト際にブレずしっかり止まっています。そのため逃げて行く球や、低めの球にも食らいつくことができます。実際試合を見ていても、低めの球を上手く拾うのが上手い印象があります。


<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを力みなく呼び込めています。バットの挿入角度が良く、インパクトまでロスなく振り下ろしてきます。スイング軌道としては、インサイドアウトと遠心力を活かすスイングの中間的な軌道です。そのため内角の球にも、対応することができます。

 インパクトの際にもヘッドは下がりませんが、むしろボールの下にバットを潜らせて打球に角度をつけて飛ばすタイプ。インパクトの観点で言えば、広い面でボールを捉える確実性よりも、多少の打ち損じは合っても長打になる確率の高いスイングだと言えます。けしてフォロースルーを使ってボールを運ぶという感じではないのですが、最後までしっかり振り切れています。


<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 頭の上下動は並ぐらいで、目線の動きは平均的。身体の開きは我慢できていますが、軸足の形は少し前に崩れがち。身体が突っ込まないように、注意したいところです。それでも軸足の内モモの筋肉には適度な強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力にはなっているのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 緩急への対応、内外角へのさばきも上手く、大きな穴が見当たらないスイング。しかしインパクトでは、確実性よりもボールに角度をつけて飛ばす破壊力重視であるように感じます。佐藤都志也(東洋大-ロッテ)の方が対応力は上かもしれませんが、長打を放つという意味では、この古川の方が優れているとみます。



(最後に)

 野手が捕手をやっているような感じだった 佐藤都志也 に比べると、古川は打力の良い捕手といった感じです。すなわち打力が勝っているというよりも、攻守のバランスがとれています。佐藤の方が、走る打つの身体能力の凄みは感じます。しかし古川の方が、考える力があるという意味では捕手向きな性格ではないのでしょうか。

 そのため内容次第では、捕手がどうしても欲しい球団からハズレ1位ぐらいで指名されても、不思議ではないスケールがあります。いろいろまだ高めないと行けないところはあると思いますが、上位指名を意識できる捕手であるのは間違いないでしょう。



(2019年秋 横浜市長杯)