20dy-5
児玉 亮涼(24歳・大阪ガス)遊撃 166/65 右/右 (文徳-九州産業大出身) | |
球界の名手になりうる守備力があり、今年の右打者の中でも屈指のタイムを叩き出していた 児玉 亮涼 。プロに入る打者としては、根本的なほどの打力が弱さを、どう考えれば良いのだろうか? 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 右打席からの一塁到達タイムは、速い時で3.95秒前後を記録する。このタイムは、左打者に換算すれば 3.7秒前後に相当。今年計測した右打者の中では、1,2を争うほどのタイムとなる。確かにタイムとしては破格だが、盗塁がめっぽう多いわけではない。大学では、3シーズンで6盗塁を記録したのが最高。社会人でも、1年目は19試合の公式戦で5盗塁を魅せたものの、2年目の今年は14試合で0盗塁だった。確かに足は速いが、プロで盗塁ができるという意味では微妙なところではある。 守備面:☆☆☆☆★ 4.5 小柄故に、細かいステップを刻めスピード感を感じさせる。最初の一歩目も鋭いし、グラブさばきも柔らかい。地肩はめっぽう強いというほどではないが、基準レベルはあるだろう。動きも滑らかだし、送球に至るまで丁寧にプレーできている点も好感が持てる。球界屈指の名手のいる 源田壮亮のいるチームだけに、さらに得るものも多そうだ。 (打撃内容) 強豪・大坂ガスでは、入社以来・ニ番打者として出場。1年目は.230厘、2年目は.250厘 と、社会人レベルでもかなり打力は弱い。それでも大学時代は、2年春に.385厘、3年秋には.361厘 という成績も残している。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 右足を引いた右のオープンスタンスで、前の足のカカトを浮かせて構えます。グリップは高めに添えられており、背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢は良く、全体のバランスとしてはまずまずといった感じです。気になるのは、構えた時に力が入り過ぎている点で、若干グリップを下げてでも、打席ではリラックスを心がけても良いのではないかと感じます。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミング。彼のような対応力重視の打者であれば、投手の重心が下がり始める時に動き出す「早めの仕掛け」を採用して、動作に余裕や「間」をとれることを意識した方が良いのではないのだろうか。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもしっかり止まっています。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、食らいついて右方向への打撃も可能にします。もう少し「間」がとれるようにして、タイミングを上手く図れる術を身につけたいところです。今はただ、来た・振ったという打撃にとどまっているので。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、ボールを呼び込む時には力みが感じられないのは良いところ。バットの振り出しは、インパクトまで大きなロスはありません。しかし、もう少しタイプ的には、内からバットが出てくるような感じで良いように思います。そのためには、若干上から叩く意識を持った方が、よりロスなくインパクトまで持ってこられる気はします。 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドが下がらないので広い面ではボールを捉えられています。逆に無理にヘッドを立てようとすると引っ掛けてしまいがちなので、バットを入れる角度の方を重視した方が、この選手の場合は良いようにも思えます。あと、打撃は弱いのですが、けしてスイングが弱々しいわけではありません。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングはできています。 (打撃のまとめ) 動作的には、それほど大きな欠点があるわけではありません。構えた時に力が入り過ぎていること。始動を若干早めて、動作に余裕を持たせたいこと。スイング軌道を少し上から叩く意識で、内からバットが出てくることに気をつけたいなど、微妙な部分であるようにも思えます。ただし、技術的な部分以外では、根本的に打力はプロで指名される選手としては、弱い部類であることは間違いありません。 (最後に) 通常打力が水準を満たしていないという選手は、私の場合評価致しません。ただし、彼のようにショートというポジションを極めて高いレベルでこなせる点。走力の潜在能力も非常にあり、打撃も導き方次第では一軍のレギュラーにおいて求められる最低限のレベルを満たせる可能性は無いとは言い切れません。 そして何より決め手になったのは、彼が打席に入る時に、バッターボックスのラインを踏まないことを意識して入れている点でした。特に二遊間やバッテリーなどのポジションは、こういった細かい部分にまで意識が行って欲しいところで、彼にはそういった繊細さがあるということ。そういった諸々の部分も評価して、☆ を記したいと考えます。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2022年 日本選手権) |
児玉 亮涼(九州産業大3年)遊撃 165/60 右/右 (文徳出身) | |
まさに、遊撃が守れるということを評価されて、プロ入りがあるかもしれないのが、この 児玉 亮涼 。165/60 という小柄な体格で、打順も2番打者。果たして、こういった選手がプロから指名されるのだろうか? (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、右打席から4.25秒前後で到達。これを左打者に換算すると、4.0秒前後に相当。めっぽう足が速いわけではないが、プロに混ぜても 中の上~上の下 レベルの脚力を持っている。ただしこの選手、走力でガンガン揺さぶって来るタイプではない。 最大の売りは、大学日本代表にも選ばれているショートの守備にある。とにかく細かいステップを刻め、スピード感・柔らかさ・動きの滑らかさがあるプレーをする。一歩目の反応も良く、細かい動きができるタイプ。地肩がめっぽう強いわけではないが、基準レベルの強さはあるのではないのだろうか。プロレベルでもニ遊間を任される守備力こそ、この選手のアピールポイントなのだ。 (打撃内容) バットを短く持って、内野手の間や頭の上を越して行くような弾き返す打撃を得意としている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を軽く引いて、グリップを下げ気味に構える。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並みだが、両眼で前を見据える姿勢は悪くない。打席では、リラックスして構えられているところは良いところ。 <仕掛け>> 早め 投手の重心が下がり初めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。 <足の運び>> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く引き上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプ。 踏み出した前の足が、しっかり止まってブレません。そのため逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。アウトステップでも、甘めの外角球や高めの球ならば対応しやすいはず。彼の場合は内角が得意でアウトステップするというよりは、苦手なのでそれを克服するために、内側のスペースを開けるようにしているのではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である、トップを形を作るのは自然体。力みなくボールを呼び込めているのは良いのですが、バットを引くのが遅れて振り遅れないように注意したい。 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。外の球をしっかり叩くことに主眼を置かれており、振り出しに大きな癖はないです。バットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えてフェアゾーンに飛びやすい打ち方。コンパクトに振って、はじき返すスイングができています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は小さめ。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びています。そのため比較的調子の波が少ない、安定した打撃が期待できます。 (打撃のまとめ) 技術的には、バットを短くに持ってコンパクトなスイングに徹しています。それでいてスイング軌道は、けしてインサイドアウトではなく、ある程度バットのしなりを活かしたスイングになっています。素材として特別ものは感じませんが、技術的に大きな欠点がなく、完成度の高さは感じます。 (最後に) しっかり守れるショートが欲しいという球団ならば、そこを評価してのプロ入りはありなのではないのでしょうか。大学2年時から全日本に選出されるなど、国際大会・高いレベルの野球にも順応してきました。今すぐファームの試合にならば、混ざって行けるレベルにあると言えます。ただしその上があるのかどうかは、プロに混ぜてみないとなんとも言えません。上位で云々のタイプではありませんが、実戦に入ればキラリと光るタイプだと思います。その辺も意識しながら、最終学年のプレーを注視してゆきたいですね。 (2019年 大学選手権) |