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児玉 亮涼(24歳・大阪ガス)遊撃手の最終寸評へ







児玉 亮涼(九州産業大3年)遊撃 165/60 右/右 (文徳出身) 
 




 「一芸タイプ」





 まさに、遊撃が守れるということを評価されて、プロ入りがあるかもしれないのが、この 児玉 亮涼 。165/60 という小柄な体格で、打順も2番打者。果たして、こういった選手がプロから指名されるのだろうか?


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.25秒前後で到達。これを左打者に換算すると、4.0秒前後に相当。めっぽう足が速いわけではないが、プロに混ぜても 中の上~上の下 レベルの脚力を持っている。ただしこの選手、走力でガンガン揺さぶって来るタイプではない。

 最大の売りは、大学日本代表にも選ばれているショートの守備にある。とにかく細かいステップを刻め、スピード感・柔らかさ・動きの滑らかさがあるプレーをする。一歩目の反応も良く、細かい動きができるタイプ。地肩がめっぽう強いわけではないが、基準レベルの強さはあるのではないのだろうか。プロレベルでもニ遊間を任される守備力こそ、この選手のアピールポイントなのだ。





(打撃内容)

 バットを短く持って、内野手の間や頭の上を越して行くような弾き返す打撃を得意としている。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップを下げ気味に構える。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並みだが、両眼で前を見据える姿勢は悪くない。打席では、リラックスして構えられているところは良いところ。

<仕掛け>> 早め

 投手の重心が下がり初めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び>> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く引き上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプ。

 踏み出した前の足が、しっかり止まってブレません。そのため逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。アウトステップでも、甘めの外角球や高めの球ならば対応しやすいはず。彼の場合は内角が得意でアウトステップするというよりは、苦手なのでそれを克服するために、内側のスペースを開けるようにしているのではないのでしょうか。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である、トップを形を作るのは自然体。力みなくボールを呼び込めているのは良いのですが、バットを引くのが遅れて振り遅れないように注意したい。

 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。外の球をしっかり叩くことに主眼を置かれており、振り出しに大きな癖はないです。バットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えてフェアゾーンに飛びやすい打ち方。コンパクトに振って、はじき返すスイングができています。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は小さめ。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びています。そのため比較的調子の波が少ない、安定した打撃が期待できます。

(打撃のまとめ)

 技術的には、バットを短くに持ってコンパクトなスイングに徹しています。それでいてスイング軌道は、けしてインサイドアウトではなく、ある程度バットのしなりを活かしたスイングになっています。素材として特別ものは感じませんが、技術的に大きな欠点がなく、完成度の高さは感じます。


(最後に)

 しっかり守れるショートが欲しいという球団ならば、そこを評価してのプロ入りはありなのではないのでしょうか。大学2年時から全日本に選出されるなど、国際大会・高いレベルの野球にも順応してきました。今すぐファームの試合にならば、混ざって行けるレベルにあると言えます。ただしその上があるのかどうかは、プロに混ぜてみないとなんとも言えません。上位で云々のタイプではありませんが、実戦に入ればキラリと光るタイプだと思います。その辺も意識しながら、最終学年のプレーを注視してゆきたいですね。


(2019年 大学選手権)