20dy-4
佐藤 輝明(近畿大3年)三塁&外野 187/92 右/左 (仁川学院出身) | |
本命なき今年のドラフト戦線において、一気に主役に躍り出るかもしれないのが、この 佐藤 輝明 。アマ屈指の飛ばし屋で、和製大砲が欲しいと思っている球団にとっては魅力的な素材なのだ。最終学年でのアピール次第では、複数球団が1位に入札しても不思議ではない。 走塁面:☆☆☆ 3.0 50メートルを5秒台で走ると言われる脚力だが、一塁までの塁間は左打席から4.2秒~4.4秒ぐらい。これはドラフト指名される左打者としては、中の下 ぐらいのタイムであり、けして突出した数字ではない。1年春からレギュラーとして試合に出続けているが、過去6シーズンでの最多盗塁は僅か2個。それだけ現時点では、足でアピールするタイプでもないのだろう。 守備面:☆☆★ 2.5 高校時代は捕手もやっていたそうだが、近大入学後は外野手に専念。また3年秋からはサードにコンバートされているが、正直動きは危なっかしい。ただし3年秋のシーズンでは、13試合で無失策。肩も強そうで、最終学年では上のレベルでもサードを任されるほどの力量なのか見極めて行きたい。 (打撃内容) 打てるポイントが限られているのかわからないが、脆いというか粗い印象は否めない。それでも、けしてしっかり芯で捉えていたとも思えない打球がレフトスタンドに入るなど、そのパワーは2020年度の候補の中でも屈指のものがあるといえるであろう。 <構え> ☆☆☆ 3.0 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えバットを寝せて構えます。腰の据わり具合・両眼での前の見据え方、全体のバランスとしては並みぐらい。打席では少し固さは感じられるものの、大きな体で威圧感がある。 <仕掛け> 遅すぎ 投手がリリースを迎える直前に動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅い段階での始動は、日本人のパワーやヘッドスピードを考えると使いこなすのは難しいのだが、外人並の筋力とヘッドスピードのある彼ならば、このタイミングでも結果を残せるかもしれない。そういっった意味では、個人的には大変興味深いものはあります。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を少しだけ浮かし、軽くベースから離れたアウトステップを採用。始動~着地までの「間」がほとんどないので、それだけ狙った球を打ち損じないだけの「鋭さ」が求められます。現状そこまでの技術がないので、打ち損じることが多く粗さを感じさせる要因に。 軽くアウトステップするように、内角への意識が高いように思います。ステップの幅も狭い気はするものの、インパクトの際に前の足はしっかり止まっており、上半身と下半身のバランスが取れているのは非凡なところ。内角寄りを引っ張るのを好むものの、外角でも甘めの外角球や高めのゾーンの球ならば、けしてさばけないわけではありません。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、特に力みなくボールを呼び込めている。内角の球をさばくときは、インサイドアウトで振り出せており、インパクト後は下から上に振り抜くのでホームランになりやすい。また外角の球に対しては、振り出しはシンプルで癖がなく、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドも下がらずにボールを捉えることができている。こちらの打球は元来あまり角度がつき難いが、尋常じゃないパワーでライナーのままスタンドに叩き込むことがある。 気になるのはボールを呼び込む際にバットのヘッドが投手側に倒れてから振り出す分、インパクトまでヘッドの移動距離が長くなりロスが大きい点。それでもフルスイングによって、強烈な打球を生み出すことができている。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動はそれなり。体の開きは我慢できているものの、ステップが狭いぶん足元は少々窮屈に感じられ、打撃に幅が限られていることが伺われます。 (打撃のまとめ) タイミングのとり方に幅がないので、どうしても打てるポイントは限られている気がします。またボールを捉えるまでの動きにもロスがあり、打ち損じも少なくないのではないかと。タイミングさえあれば、強靭な肉体から繰り出されるフルスイングで、強烈な打球や飛距離を生み出すことができます。今後その確率を、いかに高めて行けるかではないのでしょうか。基本的にチェンジアップのような抜く球や、縦の変化球の対応は苦手にしているように見えました。 (最後に) 脚力や肩はあるのかもしれませんが、それを実戦で活かし切れていないように感じます。打撃もポイントが限られた粗い打撃を、将来的に改善できるかは微妙な気はしています。ポテンシャルは間違いなく一級品ですが、プロで活躍できるのか?という観点では、まだまだ懐疑的な見方はしています。それでも最終学年である程度の存在感を示せれば、上位指名は揺らがないのではないのでしょうか。問題は本人が、どのぐらいのレベルを追求しているのかに懸かっていると思います。そんな本人の目指すべきところを、最終学年では感じ取れればと思っています。 (2018年 神宮大会) |