20dy-27





喜多 隆介(巨人)捕手のルーキー回顧へ







喜多 隆介(京都先端科学大4年)捕手 180/83 右/右 (小松大谷出身) 
 




 「だいぶ良くなっている」





 小松大谷時代は、3番・捕手として出場していた 喜多 隆介 。当時から、盗塁を許さない強肩捕手として知られていたが、大学でのプレーを見ていると、かなりいろいろ成長していることに気がつく。どのへんが、変わったのか検証してみたい。


(ディフェンス面)

 高校時代から、捕ってから投げるまでが素早くその点では抜けていました。元々サイドハンドの投手だったらしく、腕が横から出るところは確かに気になります。しかし今は、しっかりと肘で支点を作ってから送球ができているので、球筋は多少シュートしたりする恐れはあるものの、かなり精度は高まっているのではないかと。速い時には塁間1.7秒台にも到達すると言われるスローイングは、確かに肩だけでプロ入りに漕ぎ着けたと言っても過言ではありません。これは彼の個性ですから、無理に修正しなかった 首脳陣の正解かと思います。送球だけみれば、プロでも上位の捕手になれると思います。

 高校時代はよりも成長したなと思えるのが、キャッチングの部分。かなり一球一球しっかり捕球できるようになり、キャッチングへの意識が変わったのではないかと。高校時代は何か雑な部分もあったのですが、今はそのへんもかなり修正されているように感じました。

 元々あまり細かいところまで意識がゆくとか、凄くリーダーシップを発揮してチームを引っ張るという感じではなく、淡々と自分の仕事をこなしているイメージ。そのへんは、大学に入ってかなり自我に目覚めたというか、意識が変わってきたのではないかと思います。こと守りに関しては、本会議での指名の選手にも見劣りしないのではないかと見ています。





(打撃内容)

 3年秋に10試合ほどリーグ戦に出ていたものの、打率.176厘と実績らしい実績はない選手でした。しかし最終学年になり、打撃でも 10試合 2本 8打点 打率.389厘(5位) と、打撃でも存在感を示せるようになってきました。このへんも、素直にグランドで自分の力を発揮できる余裕が出てきたのではないのでしょうか。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて右オープンスタンス気味に立ち、グリップを捕手側にあらかじめ引きつつも高さは平均的。腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしバランスが取れていて、適度に身体も動かしながら構えられ力みも感じられません。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり初めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて、真っ直ぐと踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプです。

 踏み込んだ前の足も、インパクトの際にしっかり止まっています。外に逃げてゆく球や低めの球に対しても、喰らいついて右方向にもはじき返します。

<リストワーク> ☆☆☆☆

 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えており、速い球に立ち遅れる心配はありません。あらかじめグリップを引きすぎるとリストワークの柔軟性が損なわれやすいのですが、そこまで遊びがないほど力みは感じられませんでした。

 バットの振り出しも、インパクトまで大きなロスは感じられません。適度にバットのしなりも活かすことができているので、プロの球にも負けないスイングできるのではないのでしょうか? 内角の球も、肘をしっかりたたんでさばけますし、上半身の使い方に大きな欠点は見当たりません。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも静かなので、目線の動きも小さいです。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。好不調の波も少なそうなタイプですし、内角をさばく時には軸足を後ろに瞬時にズラしスペースを確保して打てていました。

(打撃のまとめ)

 打撃を見ていると、右に左にセンターへと鋭くはじき返す感じであまり長打力は感じません。しかし、バットのしなりを活かしたスイングが功を奏したのか? リーグ戦では10試合で2本塁打と見た目以上にパンチ力もあるようです。

 技術的には大きな欠点がなく、高いレベルの野球にも順応して行けるのではないのかと。これは、元プロ野球選手でスカウト経験もある、中島輝士(ハム)の影響なのか? 大きく直すことがありません。むしろ個人的には、ディフェンスよりも打撃に興味を持ちました。


(最後に)

 小松大谷時代の映像を見直したり、大学でのスローイングや打撃の映像を幾つか確認しただけでレポートを作成しているので、生でじっくり見ると、もっといろいろ気がつくことがあるのかもしれません。そのため、具体的な評価付けはできませんので、ご了承くださいませ。

 しかし限られた映像を見る限り、ディフェンス面でも打撃面でも興味深いものがあり、この選手がドラフトで指名された理由がよくわかりました。捕ってからの素早い送球・キャッチングの上達・打撃技術の高さと興味深い選手であり、今後どんな活躍を魅せてくれるのかとても気になる一人です。ぜひ生で、来季は実際のプレーを確認してみたいところです。


(2020年 秋季リーグ戦)