20dy-25





前田 研輝(巨人)捕手のルーキー回顧へ







前田 研輝(駒沢大4年)捕手 180/85 右/左 (広島工出身) 





 「実戦的な捕手」





 驚くような地肩とか圧倒的な打力があるわけではないのだが、捕手としての適正が高く実戦的なプレーをするのが、前田 研輝 捕手。育成会議で5位指名という指名ではあるが、なかなかの掘り出しものかもしれない。


(ディフェンス面)

 投手へ返球するボールまわしのテンポが良く、投手がリズムに乗りやすいリードを心がけます。投手にジェスチャーで注意を促しつつ、しっかり対話しながら試合を進めて行きます。ミットを投手にしっかり示し、グラブを地面に着けるような癖はありません。そのため、ワンバウンドするような球に対しても素早く対応でき、さっと下からグラブを出すことができています。キャッチングでもミットがブレることなく、捕球に関してはレベルが高いように見えます。

 スローイングは捕ってから素早く、走者が滑り込んで来るところに安定して集められます。タイムとしては1.95~2.0秒ぐらいと驚くような速さではありません。地肩も圧倒的だとは思いませんが、しっかり試合で刺せる冷静なスローイングは実戦的だと思いました。捕手としてのセンス・適正・技術と揃っており、ディフェンスに関しては即プロの試合に混ざって行けるレベルにあるのではないのでしょうか。





(打撃内容)

 レギュラーとして試合に出始めた3年秋のシーズンでは、打率.220厘。ラストシーズンとなった4年秋のシーズンは打率.219厘と、目立った成績はあげられていません。しかし低めの球への対応がうまく、レフト方向に流す打撃が目立ちます。守りにエネルギーをもっていかれていますが、打撃能力が低い選手という感じはしませんでした。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合は浅く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか? 特に構えに関しては、特筆すべきものはありませんでした。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を軽く引き上げて回し込み、軽くベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が若干強いのではないのでしょうか。

 踏み出した足元も、なんとかブレずに地面に足をめり込ませて我慢。そのため逃げてゆく球や低めの球にもついてゆけて、膝の柔らかさも活かしレフト方向へ打ち返すのが上手いです。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0 

 打撃の準備である「トップ」を作るのが遅れ気味で、速い球に立ち遅れやすいのは気になります。幾分始動を早めて、バットを引くのを早くする意識は必要かもしれません。バットの振り出し自体は、インサイドアウトではありません。しかし外の球を捉えるまでにはロスはなく、バットのしなりを活かしてしっかり振れています。けして流すだけでなく引っ張ることもできているので、根本的な打撃能力は、けして低くはないのではないかとみています。

 もう一つ気になるのは、若干インパクトの際にバットの先端であるヘッドが下り気味なので、ファールが多くなり打ち損じが多いのではないのでしょうか。気持ちバットを立てる意識が持てると、もっとフェアゾーンにボールが飛びそうです。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが静かかで、目線の上下動は小さめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 「トップ」を作るのが少し遅れ気味だったり、幾分ヘッドを立てる意識でバットが振れるだけで結果は変わってきそうに思える惜しい選手です。しかし根本的な打力や技術はあると思うので、意識が打撃に傾けられる余裕が生まれたら、打撃成績も伸びてくるのではないのでしょうか。


(最後に)

 ディフェンス面は、間違いなくプロ級だと思います。今すぐファームの試合に混ぜても、試合に入って行けるレベルにあると言えます。打撃は上記で記したように、ちょっとした技術の改善と打撃にエネルギーを傾けられるだけの余裕が出てくれば、潜在能力はあるとみています。

 育成5位での指名ですが、個人的には好印象の選手であり、 を付けてみたいと思わせてくれる選手でした。今後も期待して、その成長を見守って行きたいと思います。


蔵の評価: (下位指名級)


(2020年 秋季リーグ戦)