20dy-22





加藤 廉(巨人)内野手のルーキー回顧へ






加藤 廉(東海大海洋学部4年)遊撃 181/80 右/左 
 




 「身体が強そう」





 実際みたことがある選手ではないので、一部の映像や画像を元に、どんな選手か想像してみた。実像にどれほど近いかには自信がないのだが、プロ入り後直に確認できた時のためにも、形として記しておきたい。


(守備・走塁面)

 残念ながら走塁に関しての映像は一切なかったので、正直よくわからない。一塁までの到達タイムは、左打席から3.9秒台というからプロに混ぜても俊足の部類なのは確かなのだろう。上級生になってからは、リーグ戦で3年秋が6盗塁・4年秋が5盗塁とある程度盗塁を仕掛けて来る脚力もありそう。タイムに関しては、人それぞれストップウォッチを押す癖が違うので、一概に参考にはなり難いのだが。一つ言えるのは、プロで売りにできるかはわからないものの、プロに混ぜても 中の上~上の下 ぐらいの脚力がありそうだということ。

 守備に関しては、島田工業時代の映像が見つかった。深いところからでも踏ん張って強い送球ができていた。そのため守備範囲の広さや地肩の強さはありそうで、あとは球際での細かい動きやスピード感はどうなのだろうという部分だろうか。これに関しても、守備が上手いかまではよくわからないものの、身体の強さと肩の強さがあるのは間違い無さそうだ。プロでも、ニ遊間を担える能力があると判断したからこその指名なのだろう。


(打撃内容)

 これは4年秋の映像が確認できたのだが、よくわからない部分も残る。それでもしっかり振り切るタイプであり、コツコツ当てにゆくスイングではないという印象は受けた。強烈な打球が野手の間を抜けてゆくタイプの強打者だと思うが、リーグ戦では3本塁打でホームラン王を獲得したように、ある程度のパンチ力もありそうだ。よくわからない部分もあったので、各項目の点数はつけないでおきたい。

<構え> 

 左打者らしく、前の足を幾分引いて立っているように見える。グリップを高めに添えて、軽くバットを揺らいで構えている。腰の据わり具合や全体のバランスは陰になってよくわからなかったが、両眼でしっかり前を見据えられている。適度なリラックス感も感じられ、悪い構えには見えなかった。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。ラストシーズンには打率.373厘をマークするなど、対応力がある程度のレベルにはありそうだ。

<足の運び> 

 足を上げて、真っ直ぐから幾分ベース側に踏み込んでるようにも見えます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいのでは。内角でも外角でも、打ちに行きたいスタイルに見えました。

 インパクトの際にも足元がブレていないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつき、レフト方向にもきっちり打ち返せそうに見えます。

<リストワーク>

 打撃の準備である、「トップ」を作るのも自然体で力みは感じられません。バットの振り出しは、インサイドアウトで最短距離でという感じの軌道ではありません。それでもインパクトまで大きなロスはなく、バットのしなりを活かし最後までシッカリ振り抜いていました。インパクトの際のヘッドの下がりも感じず、フェアゾーンにボールが飛びやすい形で打てています。

 また写真での印象では、脇も閉じてスイングできており内角のさばきも苦手な感じはしません。インパクトのときにもグッとアゴが引かれており、押し込みができて強い打球を飛ばせるのではないかと想像できます。

<軸> 

 頭の動きも小さめで、目線の上下動も少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてキレイに回転できていそうです。体勢を崩して捉えにゆくというよりは、自分のポイントまで引きつけて叩くタイプの打者。すなわち、甘い球を逃さず叩くスタイルのではないかという印象は受けました。軸を起点に、キレイに回転できています。

(打撃のまとめ)

 僅かな映像や写真から判断する限り、技術的にも大きな欠点があるようには見えません。プロのスピードやキレに対応するのには数年必要かもしれませんが、技術的にはしっかりしてそうなので、ファームレベルでは通用するようになるのではないのでしょうか。


(最後に)

 問題は、一軍レベルを想定したときの守備力・走力・打撃において、何か売りにできるほどのものを作れるかではないのでしょうか。現状そこまで絶対的な武器はないように感じますが、その辺生き残ってゆくための術を、自ら見つけ出しアピールできるだけのセンスや器用さや貪欲さがあるかだと思います。残念ながら、僅かな材料からではそこまでのものがあるかまでは掴めませんでした。ぜひ来春は、公式戦でその勇姿を確認して、そのへんのところを感じられればと思っています。ドラフト会議最後の指名と話題にはなりましたが、けして箸にも棒にもかからないような選手ではないとだけ感じ取れたのは収穫でした。