20dy-21





ジョセフ(西武)外野手のルーキー回顧へ







宮本 ジョセフ 拳(名古屋学院大4年)外野 175/86 右/右 (豊川出身) 
 




 「良くなっていそう」





 高校時代は、愛知の豊川高校でプレーしていた選手で、中日に2位指名された 森 博人(日体大)投手とチームメイトだった 宮本 ジョセフ 拳 。当時から、4番・右翼手として出場していた。大学時代のプレーは一部映像でしか確認できなかったので、高校時代の試合の模様を見ながら感想を述べて行きたい。


(守備・走塁面)

 高校時代は、打球勘などもやや危なっかしい部分もあって上手い右翼手という感じではなかった。そのためチェックした試合でも、最後は守備固めに違う選手が出場し交代していたぐらいだった。送球に関しては、中継の選手にきっちり返球するなど、地肩を魅せつけるために、独りよがりな返球をするような選手ではなかったのには好感が持てた。

 高校時代は、身体能力があってもそれを充分に出しきれてはいないように見えた。しかし大学での映像をみると、二塁までの走塁にもスピード感を感じ、確かに走力があることを実感。盗塁できるセンスがあるかまではわからなかったが、走力があるのは間違いないのだろう。

 守備が上手いかとか盗塁ができるかはよくわからないが、50メートル・5秒9の脚力と遠投110メートルの触れ込みの通り、強肩・俊足の高い身体能力はありそうだ。


(打撃内容)

 ガーナ人の父と日本人の母とのハーフで、身体の強さを活かしたパワフルな打撃が売りである。けして長距離打者ではないのだろうが、甘く入ればスタンドインできるパンチ力は秘めている。フォームは、高校時代のフォームに加え、大学での変化について触れてみたい。

<構え> ☆☆★ 2.5

 前の足を軽く引いて、少し後ろ足に重心を預けて立っている。グリップの高さは平均的だが、あらかじめ「トップ」に近い位置までバットを引いて少し前かがみで構えている。ちょっと癖のある構えであり、腰の据わり具合や両眼で前を見据える姿勢は、並ぐらいだと言った感じ。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が沈む時にベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ただしハーフ選手であり、身体の強さが通常の日本人とは違うので、このタイミングでの始動でもバッティングは成立するのではないかとみている。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 少しだけチョンと小さくステップして、真っ直ぐ踏み出して来る。始動~着地までの「間」は殆どなく、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプの打者なのだろう。

 高校時代は、強い上半身の振りに対し下半身が負けて足元がブレがちだった。しかし大学での映像を見る限り、しっかりインパクトの際に止まっており、開きを我慢できるようになっている。今ならば、右方向に大きな打球が飛ぶのも頷けるところではある。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ「トップ」に近い位置でグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配はない。ただしあらかじめグリップを捕手側に引いていると、リストワークに遊びが無くなり柔軟性が損なわれる恐れがある。

 彼の良さは、振り出しからインパクトまでのスイング軌道に癖がなく遠回りになっていない点ではないのだろうか。インパクトの際もバットの先端であるヘッドが下がっておらず、広い面でボールを捉えている。そのため打球がフェアゾーンに飛びやすい反面、それほど打球に角度をつけて飛ばすタイプでは無いようにも見える。日本人離れした身体の強さがあるので、これでも一定の割合でホームランが出るのだろうが、元来は強烈な打球で野手の間を抜けてゆくタイプの強打者なのではないのだろうか。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが小さい割には、目線の動きはそれなりに動いている。それでも身体の開きは我慢できるようになっており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて回転できている。軸足の内モモの筋肉も強そうで、強烈な打球を放つ原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 体つきも立派になり、緩かったプレーにもだいぶ鋭さを増してきた印象。特に下半身がしっかりしたことで、打撃も安定感を増してきているのではないのだろうか。持っている高い資質を、うまく結果に繋げるようになりつつあるのかもしれない。


(最後に)

 守備や走塁に関しては、正直どのレベルにあるのかはよくわからず。打撃も高校時代に比べ成長したのは感じられるが、実際どのレベルにあるのかまでは掴みきれていない。それでも高い身体能力があるのは確かそうだし、何より明るそうなキャラにも好感。うまく西武のようなチームにマッチすると、大きく花開く可能性は感じなくもない。まだまだいろいろな意味で粗さは残すが、育成ならば面白い素材ではないのだろうか。特に、スイング軌道に癖がないのと、それを支える下半身がしっかりしてきたことは評価してみたいポイントだった。 残念ながらしっかり確認できた選手ではないので、評価付けはできないことをご了承願いたい。


(2016年夏 愛知大会)