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佐野 如一(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







佐野 如一(仙台大4年)中堅 172/70 右/左 (霞ヶ浦出身) 





「低めの変化球の対応が課題」 





 霞ヶ浦高校時代は、細川 成也(DeNA)がエースを務める明秀日立に3三振をきしていた 佐野 如一 。大学3年時にも、ヤクルトに2位指名された 山野 太一(東北福祉大)左腕の、低めのスライダーにバットが止まらない姿をみた。この選手は、低めの変化球の対応が、一つ大きなポイントになるのではないかと思っている。


(守備・走塁面)

 霞ヶ浦時代は、3番・左翼手として出場。落下点までの入りや打球の反応などを見ていると、可も不可もなしといった感じの守備だった。また一塁までの到達タイムも、4.25秒前後と左打者として平凡な数字しか残っていない。

 しかし大学4年間の成績を見てみると、2年秋以降は5盗塁以上を残しており、先にあげたタイムより早く駆け抜けられる能力もありそうだ。また地肩に関してはよくわからなかったのだが、強肩だという。私自身は、走力・肩に関してはイマイチよくつかめていない。ただし、けして長打で魅了するタイプではないだけに、守備力・走力・肩などが一定のレベルがあると評価されたからこその指名なのではないのだろうか。


(打撃内容)

 今年の3月に仙台大が関東に遠征した時に、この選手は慶応グランドで2番・中堅手として出場したのをみました。ただし全くマークしていたわけではなかったうえに、練習試合でもあり撮影などもしませんでした。したがって彼のフォーム分析は、大学3年時の映像を元に、させて頂きたいと思います。リーグ通算では、69試合で、6本 40点 31盗塁 打率.279厘。1シーズン1,2本のホームランを放つほどの、パンチ力は秘めているようです。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ぐらいだが、両眼で前を見据える姿勢は良く、錯覚を起こすことなくボールを追うことができている。打席でも、気持ちの強さが伝わってくる。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐから若干アウトステップ気味に踏み込んくる。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でのスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐから幾分ベースから離れた方向に踏み出すので、内外角両方に対応したいという思いがありながらも、幾分内角への意識が強い打者なのかもしれません。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことが可能だと考えられます。ただし若干アウトステップ気味なので、上記に上げたように開きは我慢できていても、より遠くに感じる外角低めへの対応はやや苦手なのかもしれません。高校時代も細川投手の縦の変化にバットを止まらないで、仕留められていました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は、早めに作れていて速い球に立ち遅れる心配はありません。けしてインサイドアウトという感じのスイング軌道ではありませんが、外角の球を捉えるまでに大きなロスは感じません。ただしインパクトの際に、バットの先端であるヘッドが少し下がってしまっているのは気になります。そのためボールの勢いに負けてしまい、ファールになりやすいのではないのでしょうか。

 ほんの少しだけヘッドを立てる意識で振れれば、スイングも最後まで力強く振り抜けているので、力負けしないのではないかと思います。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは平均的で、目線の上下動もそれなりといった感じ。身体の開きはしっかり我慢できており、軸足も形は崩れておらず安定しています。調子の波は少なそうですし、内モモの筋肉には強さが感じられるので、強い打球を生み出す原動力にはなるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 技術的にはしっかりしていて、大きな欠点は見当たりません。ただし縦の変化球への対応に課題を残し、少しヘッドが下がってしまう部分は気になりました。ただそういったことは、それほど本質的な部分ではないので、プロ入り後いくらでも改善できるのではないのでしょうか。また高校時代に比べると、だいぶ体つきもガッチリして力強さを増した感じがしました。


(最後に)

 正直、この春生で観戦した時にはピンとくるものはありませんでした。一学年下で来年のドラフト候補にも上がるであろう 川村 友斗 選手の方が気になってしまいました。そういった意味では、 を付けるような魅力は感じなかったというのは確か。何か売りになるほどのものが見え難いので、プロで埋もれないように特徴を見出して行けるかではないのでしょうか。


(2020年 春季オープン戦) 







背番号24の選手が佐野 如一選手