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榮枝 裕貴(立命館大4年)捕手の最終寸評へ







榮枝 裕貴(立命館大3年)捕手 179/79 右/右 (高知高出身) 





 「控え捕手ながら全日本候補」





 在籍する立命館大では、3年秋まで控え捕手だった 榮枝 裕貴 。それでも強肩ぶりが買われ、秋の全日本代表・松山合宿に招集されるなど、期待の大きさが伺われる。学生球界屈指とも言われる強肩捕手で、実際どのような位置づけになりそうなのが考えてみた。


(守備面)

 二塁までの送球は、1.8秒前後。それもランナーが滑り込んでところを強く意識した送球で、コントロールも安定。大学に入ってからの捕手としてのプレーが確認できないが、高知高校時代の映像を見直してどんな選手なのか考えてみた。ミットしっかり示す選手で、そのミットを地面につけるような癖はありません。キャッチングもブレることなく捕球し、ボールの勢いに押されることはありませんでした。ただしミットを持っていいない腕が身体の陰に隠れていないので、ファールチップで怪我をしないかと心配です。その辺が、大学では直っているのかは気になります。

 当時の映像を見ると、打球への反応も良く集中してプレーしているのがわかります。またしっかり周りにも指示を出せるなど、司令塔としての役割も果たしていました。しいて気になる点をあげれば、投手との兼ね合いもあると思いますが、内角を執拗に使いたがるリードが目につきました。一見内角を使うと幅広くリードしているように見えるのですが、一つ間違えると痛打を浴びやすいリスキーなリードにもなりがち。よくよく内角を使うときにはその必要性と使うタイミングを考えて使わなければなりません。彼がこれだけの能力がありながら3年生までレギュラーを奪えなかったのは、リードの信頼度というのも一つあるのではないかというのは感じます。そのへんが最終学年において、どうなっているのかは見極めたいポイントではあります。少なくてもスローイングに関しては、入った球団でも1番になれる可能性があります。





(打撃内容)

 3年春の大学選手権では、5番・DHで出場。普段はDHがない関西学生リーグだけに、控えだとどうしても打席が少なくなりがち。それでも通算で4割の打率を残すなど、打力も一定レベルあるのが魅力です。フルでリーグ戦に出場するようになったときに、どのぐらいの打撃成績を残せるのかも注目したいポイントです。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かして構えます。グリップはやや低めに添えて、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしても、それなりといった感じがします。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて、まっすぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。まっすぐ踏み出すので、内角でも外角でも同じように対応したいという意識が感じられます。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレずに止まっています。逃げて行く球や低めの球に対しても、開きを我慢して対応できます。下半身の動きは、非常にシンプルな感じがします。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。ただしバットを引くのが遅れがちなので、速い球に立ち遅れる心配があります。またバットの振り出しは、少しインパクトまで遠回りに軌道。そのため、確実性という意味では少しポイントが後ろになりがちでどうでしょうか? 

 それでもインパクトの瞬間にはヘッドが上がってきて、広い面でボールを捉えています。タイミングさえあえば、打ち損じが少なくフェアゾーンに飛びやすいスイングです。けしてスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶタイプではありません。それほど、長打で魅了するタイプではないように見えます。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 目線の上下動が少なく、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができています。開きも我慢できていますし、軸足も地面からまっすぐ伸びて軸回転でスイング。好不調の波は、比較的少ないのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 タイミングの合わせ方と上半身の使い方は平凡ですが、下半身の使い方は実にシンプルで軸も安定しているところは評価できます。スイング軌道をもう少し修正し、トップの形成が遅れないにようにすれば、より打ち損じの少ない打者になるのではないのでしょうか。


(最後に)

 話を訊いている限りは、結構深く考えて一つ一つのプレーに取り組めている印象を受けます。そういった意味では、リード面などもまだまだ良くなる下地があるように感じます。それ以外のディフェンス面に大きな破綻はないので、一定レベルの捕手までは行くかもしれません。あとは、スローイングを全面に出してアピールできるかでしょう。

 打撃も一定レベルにはあり、凄みは感じませんがシンプルで成績を残せる下地はあります。プロでレギュラーを奪うほどの圧倒的なスケールは感じられませんが、大学からのプロ入りは充分意識できる素材ではないのでしょうか。実戦で刺せる捕手が欲しいという球団にとっては、魅力的な人材にうつるかもしれません。


(2019年 大学選手権)