20dy-15





並木 秀尊(ヤクルト)外野手のルーキー回顧へ







 並木 秀尊(獨協大4年)中堅 170/70 右/右 (市立川口出身)
 




 「五十幡より野球向きな走力」





 昨年秋に行われた、全日本大学候補松山合宿において、中学時代「サニーブラウンに勝った男」五十幡 亮汰(中央大) 以上のタイムを計測して話題になった 並木 秀尊 。こと野球に関する走力ということでは、五十幡以上かもしれないと思わせてくれる脚力の持ち主である。


走塁面:☆☆☆☆★ 4.5

 今年のオープン戦で、サードゴロのタイムが右打席から 4.05秒前後を記録。これを左打者に換算すると、3.8秒前後に相当する。その脚力レベルは、間違いなくプロに混ぜてもトップクラス。さらに盗塁での、スタートやトップスピードまでの入りは五十幡以上ではないかと思われるほど図抜けて速い。近い将来、五十幡と共に野球界に衝撃的な足を魅せてくれるやもしれない。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 中堅手としても、この脚力を活かして守備範囲が広いです。打球への反応、落下点までの入り方、ゴロのさばきなども、実にスピード感があってよろしいかと。しいて言えば、肩がさほど強くない点。それでも守備に関しては、即ファームレベルでならば混ざって行けるのではないのだろうか。


(打撃内容)

 唯一行われた秋季リーグでは、5試合で 打率.429厘でベストナインを獲得。首都二部リーグの選手であり、ややひ弱さは感じさせるものの、ミート能力はあるので数年後には一軍のレベルに対応しても不思議ではありません。長打で魅了するということはなく、内野手の頭を越えたり間を抜けてゆくような、はじき返す打撃が持ち味です。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的構えます。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとも優れ良い構えではないのでしょうか。

<仕掛け> 早め~遅め

 追い込まれるまでは、投手の重心が沈むところで動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。また追い込まれると、開いていた足を戻しつま先立ちし、「遅めの仕掛け」ぐらいで動き出します。動作を小さくすることで、より三振をしないことを意識しているのだと考えられます。また彼の場合は、遅めの仕掛けでも長打で魅了するのではなく、ボールをできるだけ引きつけてみて生粋の二番打者タイプになるのだと考えられます。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込んで、ベース側に離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。昨年まではベース側に踏み込むインステップを採用していたのですが、今年はベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを使っていました。

 これは、コースによって踏み込みを自在に変えているのかもしれません。また踏み込んだ足元も、インパクトの際にブレずに止まっています。逆に内角寄りの球をさばく時は、足元を早めに地面から放し開放してあげることで、腰の回転を促すこともできていました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めるところは良いところ。けしてインサイドアウトで最短距離に振り出してくるタイプではなく、適度にバットの遠心力を活かしシナリを生かしたバットの使い方もできています。ひ弱そうには見えるのですが、けしてス当てにゆく形にはなっていません。

 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドの下がりも少なく、フェアゾーンに飛びやすい形が作れています。少々ひ弱さは感じられますが、ミート能力・技術的には高いものを持っています。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できており、軸足の形も安定しています。昨年までは、足元が窮屈そうだったのを、アウトステップさせることで無理のないスペースが作れるようになってきました。すなわち、ボールとの距離感をつかみやすくなったと言えます。

(打撃のまとめ)

 昨年に比べると、インステップして内角が窮屈気味だったのを、アウトステップさせることで内側のスペースを上手く作れるようになってきました。これにより内角へのさばきもスムーズになり、コースへの対応にも幅が出てきたと言えるのではないのでしょうか。


(最後に)

 今年はじっくり観戦する機会も無く、一部の映像からのみの判断になってしまいました。少し映像を見ただけでは、大きく変わった感じはしませんでした。しかし、フォームを分析すると、内角への対応が変わり上手くさばけるようになりつつあるのではないかと。そういった努力の跡は、しっかり感じさせてくれました。

 打撃が通用するのには少し時間がかかるかもしれませんが、走力は文句なし。守備も、プロに混ぜても大きく見劣ることはないのではないのでしょうか。ドラフト5位指名ながら一桁背番号が送れるなど、球団の期待も大きいようです。評価付けはできませんが、個人的にはどんな活躍を将来魅せてくれるのか本当に楽しみです。もし最終学年でしっかり見られたならば、 を ☆☆ ぐらいの評価にはなったかもしれません。走力に関しては、私が見てきたアマチュア選手の中でも屈指のレベルにありました。


(2020年春 オープン戦)









並木 秀尊(獨協大3年)外野 170/70 右/右 (市立川口出身) 





 「トップスピードまでが速い」





 野球ほど競技人口が多いと、ただ足の速い選手はいくらでもいる。しかし短い距離での加速が可能で、本当の意味で野球に適したスピードを持った選手は少ない。そんな中、本物の快速選手と言えるのが、この 並木 秀尊 だ。


(守備・走塁面)

 秋の大学日本代表松山合宿では、「サニーブラウンに勝った男」と評される 五十幡 亮汰(中央大)を上回るタイムを叩き出し話題になった。中学時代100メートル・200メートルのニ冠に輝いた逸材になった男を勝る走力は、間違いなく本物だと言えよう。ちなみに三塁打での到達タイムは、11.1秒という記憶にないタイムで駆け抜ける快速っぷり。3年春のリーグ戦では、8試合で7盗塁を記録。間違いなくプロに入っても、球界トップ級の脚力であるのは間違い無さそうだ。

 守備も松山合宿の映像を見る限り、打球勘・落下点までの入り・返球などの動きも悪くない。また肩も 中の上 クラスはありそうで、中堅手としては合格ラインではないのだろうか。身体能力は高いが、守備勘が悪いというタイプでも無さそうだ。少なくても守備・走力に関しては、プロを意識できる領域にいるとみた。


(打撃内容)

 首都リーグの二部とはいえ、3年春には打率.364厘を記録。春・秋と、ベストナインを獲得と、けして打てない選手ではない。打撃フォームの参考は、この春のものを参考にした。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 昨年までは少し足を開いて構えていたが、この春はスクエアスタンスで足を揃えて立っていた。グリップの高さは平均的で、腰の据わりや全体のバランスとしては並ぐらい。しかし両眼でしっかり前を見据えられており、打席でもリラックスして立てている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めるときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足をしっかり引き上げて、真っ直ぐから若干アウトステップ気味に踏み出します。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも対応したいという万能型。

 踏み出した前の足もしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも食らいついて行けそう。ただし若干アウトステップさせるように、内角への意識が少し強いタイプなのかもしれません。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 気になるのは、バットを引くのが遅れ気味で速い球に立ち遅れることがあること。あらかじめ「トップ」のところバットを引いておけとは言いませんが、早めに「トップ」の形を作るように注意したほうが良いのでは?

 バットの振り出し自体は癖のないスイングで、ロスは感じられません。バットの先端であるヘッドも下がらず、最後までしっかり振り切れています。甘い球を、スパンと逃さずはじき返すタイプの打者だと思います。肘を畳んでスイングをする選手なので、内角の球や引っ張るのを好むのではないのでしょうか。逆に腕をしっかり伸ばしてスイングする、外角の球に対する対応が気になります。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは比較的大きいので、目線が上下して的確にボールを追いづらいのが気になります。体の開きは我慢できており、巻き込むスイングを得意とするタイプらしく、軸足は形は大きく崩れずに軸回転でスイングできています。

(打撃のまとめ)

 当て勘自体は悪いと思わないのですが、トップの形成が遅れて一定レベル以上のスピードに対応するには時間がかかりそうという印象は受けました。技術的に癖はないので、スピードに慣れてくればそれなりに対応できるようになるかもしれません。タイプ的には、桑原将志(DeNA)タイプの打者ではないのでしょうか。


(最後に)

 野球に適した脚力の持ち主であり、肩や守備も悪く有りませんし、打撃もけして箸にも棒にもかからないという選手ではありません。そういった意味では、育成も含めれば充分に大学からのプロ入りを意識できる素材だと感じました。今後も、一年間追いかけてみたいと思わせてくれる選手でした。


(2019年秋・2020年春)