20dy-11





ブランドン 大河(西武)内野手のルーキー回顧へ







ブランドン 大河(東農大北海道4年)三塁 179/84 右/右 (石川出身) 
 




 「付き合いは長い」





 タイシンガー・ブランドン・大河 を初めてみたのは、沖縄の石川高校の2年生のときだったと記憶する。投手としても140キロ台のボールをすでに投げていたが、将来性では野手なのではないかと感じたものだった。その後、今度は北海道の東農大オホーツクに入学。一年生の頃から主力として活躍し、過去3度の首位打者に輝くなど順調にキャリアを積んできた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.2秒台を記録するときもある。これは、左打者に換算すると、3.9秒台に相当し、プロに混ぜても 上の下 ぐらいの脚力はあると観て良いだろう。この選手、引っ張る打球が多いので、最初の一歩目が遅れることが多い。しかし、その脚力を走力を全面に出してくるプレースタイルではないので、足を売りにできるのかには疑問を持っている。

守備面:☆☆☆ 3.0

 高校時代は、投げない時にはショートを守っていたような記憶がある。打球への反応や動きはサードとしても良い部類なのだが、キャッチングの精度が思ったより高くない。またスローイングも小さなモーションで投げることができないので時間がかかるなど、身体能力や動きの良さの割に、プロのサードとしてはどうなのだろう?という不安は残ってしまう。投手としても140キロ台を連発したように、地肩はかなり強いのだが・・・。


(打撃内容)

 3年春・3年秋・4年秋(春は中止)と、3季連続で首位打者を獲得。粗っぽいイメージを受けるが、対応力は想像以上にある。けして長距離打者ではないが、強烈な打球で野手の間を抜けてゆく。ただし身体が強いので、上手く巻き込めた時にはスタンドインできるパンチ力も秘めている。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を少しだけ引いて、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと良いが、構えた時に身体を動かし揺らがないので、少し固く見えてしまう。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けであり、対応力を重視していることが伺われる。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐからややベース側に踏み込んでくる。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐからややインステップしてくることからも、内外角幅広くは対応しようとはしているが、やや意識は外角寄りにあるように見える。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレないで我慢できている。そのため逃げてゆく球や低めの球に対応できそうに見える。しかし基本は引っ張りたい選手であり、引っ張り切れる甘めの外角球じゃないとやや苦しい。右方向への打球も、意図的に右方向に飛ばしているというよりも、結果的に引っ張ろうとしたら右方向に飛んでいるような打球が多い。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力み無くボールを呼び込めている。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではなく、バットのしなりを活かしたプロ向きのスイング軌道。ただしバットの先端であるヘッドを立てようという意識が強すぎて、スイングの流れがスムーズではないようにも見える。

 またインステップ気味なのとスイング軌道も相まって、内角球へのバットの出が良くない。引っ張りを好む割に、ある程度ボールと身体との距離をとりたいタイプのスイングなのだ。それでも腕をたたんで、甘めの外角球ならば引っ張り込むことはできている。甘めの真ん中周辺の球を得意としている反面、厳しい内角や外角への対応が、今後鍵を握るのではないのだろうか。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはあるものの、目線の上下動は小さい。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングできている。調子が悪くなると、身体が突っ込む傾向があるので注意したい。

(打撃のまとめ)

 甘めの内角球から引っ張り込めるぐらいの外角球と、さばけるコースの幅は狭い印象がある。それは、右方向への打撃を苦手にしているからではないのだろうか。それでも緩急への対応など、スピードの変化には上手く合わせることができている。


(最後に)

 2割8分・15本 タイプ というイメージだが、そのためには守備の安定感・走力でのアピールも欲しいところ。できれば、三塁・二塁、あるいは外野あたりを担えるようになると、出場の可能性も増えるのではないのだろうか。最終学年においては、僅かな映像を見ただけだったので、具体的な評価はご了承ください。仮にちゃんと観ていたのならば、資質の高さから  (下位指名級)ぐらいは付けていたのではないのだろうか。


(2020年 秋季リーグ戦)










ブランドン 大河(東農大北海道3年)三塁 178/77 右/右 (石川出身) 





「思ったより粗さがない」 





 ブランドン大河 を初めてみたのは、彼が沖縄の石川高校の2年生の時だったと記憶する。投手としてもコンスタントに140キロ台を記録し、ショートを守っていた。翌年のドラフト候補に上がってくる存在だと、強く実感したのを覚えている。しかしプロ入りすることなく、東農大北海道に進む。その才能は、入学当初から花開いた。


(守備・走塁面)

 今回の観戦では正確なタイムが計測できなかったが、以前計ったときには右打席から4.2秒台(左打者換算で3.9秒台に相当)するので、かなり脚力自体は高かかった記憶がある。しかしプレースタイルを見る限りは、足でガンガン揺さぶって来るタイプでは無さそうだ。

 三塁手としては、守備範囲は広く動きの悪い選手ではない。ただしキャッチングの精度がさほど高くなく、凄く送球は強いのだが、モーションが大きく投げるまでに時間がかかるなどの欠点がある。プロのサードとしてやれるのかは微妙で、高い身体能力を生かして上のレベルでは外野手あたりになるかもしれない。


(打撃内容)

 3年春のシーズンでは、リーグ戦で首位打者を獲得。低めの球に対し、思った以上に食らいつくのに驚いた。また打球の多くは、引っ張り中心の打撃をして来る。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰を深く沈めて構え、全身のバランスとしては並ぐらい。ただし、両眼ではしっかり前を見据え、錯覚を起こすなく球筋を追える姿勢は作れている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈む時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げてまわし込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい打ち方です。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい万能型。

 しかし外角球でも、センターから右方向にはじき返すというよりも引っ張る傾向が強いです。彼の良いのは、踏み出した前の足がしっかり止まることで逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができること。しかし引っ張る時に足元を固めてしまうと、バットの抜けが悪くなる弊害もあります。センターから右方向にはじき返すには足元がブレないのは良いのですが、引っ張る時は足元を早めに開放してあげる方が、腰の回転を促し窮屈にならずにすみます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないのですが、肘をうまくたたんで甘めの内角球ならば強引に引っ張ることも可能です。

 バットの先端であるヘッドは下がらず、広い面でボールを捉えられます。したがってフェアゾーンに、ボールが落ちやすいインパクトになっています。元々ハーフ特有の身体の強さと投手として140キロ台を記録していた体幹の強さがあり、打球は強烈。うまく引っ張って巻き込めたときには、スタンドインできるパンチ力もあります。外角の低めの球にも、上手く食らいついてファールにしたりヒットします。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりにある割に、目線の上下動が小さいのは良いところ。身体の開きも我慢できていますが、体勢を崩しても当てることができる反面、身体がツッコみやすいので注意したいところではあります。

(打撃のまとめ)

 彼の最大の良さは、両眼でしっかり前を見据え、頭の上下動が少なく、錯覚を起こさずボールを捉えに行けるところではないのでしょうか。けしてインサイド・アウトのスイング軌道ではないのですが、肘をたたんでスイングできるのである程度内角球もさばけます。あとは、センターから右方向へのバッティングも意識できるようになると、打撃の幅も広がって嫌らしさが出てきそうです。


(最後に)

 肩・足の身体能力はありますが、それを守備や走塁に活かすという意味では疑問が残ります。またオーバー・フェンスする長距離タイプではなく、鋭く野手の間を抜けて行く中距離タイプの打者。そういった選手が、それほど守備や走塁でアピールできないところをどう見るかという問題はあります。現状は、下位~育成あたりの選手との位置づけですが、そういった課題を何処まで改善できるかで評価も変わって来るのではないのでしょうか。ただし意外に粗っぽそうに見えて、対応力があったり食らいつくことができるのは、彼の魅力なのではないのでしょうか。


(2019年 大学選手権)

 








 スタメンではショートを務めていますが、試合途中でリリーフで登場。178/74 とそれほど身体は大きくないですが、ガッチリした体格で強さがあります。球速も常時130キロ台後半~MAX142キロをすでに記録するなど、秋からは沖縄を代表する投手として話題になるのではないのでしょうか。まだそれほど投球に奥深さは感じられないものの、今後どのぐらい伸びて行けるのか楽しみ。順調に行けば、こちらは来年のドラフト候補になるのではないのでしょうか。

(2015年 沖縄大会)