20dy-10
平良 竜哉(24歳・NTT西日本)二塁 170/78 右/右 (前原-九州共立大出身) | |
微妙な表現ではあるが、技術的には粗いものの、素材的には脆さを感じさせない。そういった特殊な打撃を魅せるのが、平良 竜哉。守備でも高い身体能力をかまけることなく、は実に丁寧なプレーには好感が持てる。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.2秒台前半。これを左打者に換算すると、3.9秒台に相当する。都市対抗本戦でも、4番打者ながら二盗塁を決めるなど、積極的なプレーが目立った。九州共立大時代には2度の盗塁王にも輝くなど、力を出し推しむことがないのにも好感が持てる。もっと走塁を活かせる打順になったら、走力を売りにしていっても不思議ではない。 守備面:☆☆☆ 3.0 高校や大学時代などは、一塁・三塁・左翼・DHなど、高い身体能力がありながら守備的負担の少ないポジションを担ってきました。社会人に入ってからセカンドをやるようになったのですが、丁寧なプレーを心がけ、守備範囲の広さ・安定したスローイングみられます。昨年あたりは経験不足から、連携プレーにぎこちなさがありました。しかし今は、だいぶそういった面も薄れてきています。今ならば、守備でも大きくは見劣りするようなことは無くなりつつあるように思えます。牧秀悟(DeNA)のように、上手くはなくても丁寧にプレーしようとするので観ていて好感が持てます。 (打撃内容) 都市対抗予選では、4番を任されながらも打率.176厘と不調でした。しかし都市対抗では、2安打を放つなど面目躍如となりました。特に気持ち好いぐらいのフルスイングをする一方で、当て勘も悪くなく脆さがありません。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰を深く沈め、全体としてはやや窮屈に感じられるのは気になるものの、両眼で前をしっかり見据えることができている。そういった意味では、球筋を錯覚を起こすことなくボールを追いやすい。 <仕掛け> 早すぎ 投手の重心が下る前から足を引き上げて来る、「早すぎる仕掛け」を採用。なぜこの段階での始動が悪いのかというと、まだ投手が投げるタイミングを微妙に変えて投げてしまえるから。本質的に早めに動き出すことからも、対応力を重視したスタイルであることが伺われる。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を大きく引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも対応しやすい。また、真っ直ぐ踏み出すことで、内角でも外角でもさばきたいという意志が感じられる。 ただしこの選手、足を早めに引き上げて来るのは、タイミングを図る狙い以上に大きく足を引き上げるアクションを成立させるためになのではないかと。腰が早く開いてしまうのは気になるのだが、踏み込んだ前の足がしっかり止まっており、ある程度のところで開きを抑えることができている。そのため、甘めの外角球や高めの球ならば、これでも対応できそうだ。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃順である「トップ」に近いところにグリップをあらかじめ添えているので、速い球に立ち遅れる心配は少ない。そのかわり、バットを強く引いて構えているので、リストワークに遊びがなくなり、打てる球が限られてしまう恐れはある。むしろ、甘い球を逃さず引っ張ったくというところが、この選手の持ち味なのかもしれない。 スイング軌道も、腰が早く逃げるためにどうしても外の球を叩くときには遠回りまわりがち。基本的には、引っ張り込めるスイングを好む傾向が強いのではないのだろうか。しかし、バットの先端であるヘッドは下がっていないので、意外にフェアゾーンにボールが飛びやすいのかもしれない。スイングの弧をも大きく、引っ張った時には角度を付けて打球を飛ばすことができている。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げはそれなりにあり、目線の上下動は平均的。早めに体を開くくものの、足元が止まることで開きをある程度のところで抑えることができている。軸足も引っ張る時には、軸足を起点にきれいに回転できている。逆に外角の球をさばき右方向へと意識したときには、足元が窮屈で打つ時に軸足をズラすことで対応している。すなわち、元来スタンスなどが適当な幅や位置にない可能性がある。この辺が、打席で窮屈に感じさせる要因になっているのかもしれない。 (打撃のまとめ) 追い込まれるまでは、これでもかとフルスイングできる点は魅力。それでも、当て勘は悪くないので、技術的には荒くても素材的な脆さは感じない。プロの球に適応するのには、技術的に少し時間を要するかもしれない。それでも、これだけ振れる強打の二塁手というのは、なかなかいない彼ならではの魅力ではないのだろうか。 (最後に) 打撃フォームも癖があるし、技術的にも荒っぽい。それでいて脆さを感じさせないだけでなく、丁寧にプレーしようという意識も持っている。このアンバランスさでも調和が取れ始めたときには、プロでも異彩を放つときではないのだろうか。守備は無難なレベルでとどまるかもしれないが、走力と打撃でプロで存在感を示せるようになっても不思議ではない。そのため、今年の二塁手候補では、最もロマン溢れる素材ではないのだろうか。ドラフトでは4位前後ぐらいだとはみているが、個人的には上位指名級の評価をあえて記したい。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2022年 都市対抗) |
平良 竜哉(24歳・NTT西日本)二塁 170/78 右/右 (前原-九州共立大出身) | |
抜群の身体能力を持ちながら、一塁やDHなどで出場することが多かった 平良 竜哉 。しかし、社会人に進んでからは、セカンドに挑戦している。果たして、彼のセカンドはありなのか? 今回は検証して行きたい。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの駆け抜けタイムは、4.3~4.1秒台 。 これを左打者に換算すると、4.05~3.85秒 に相当するなど、走力はプロに混ぜても、中の上~上位クラスの脚力がある。九州共立大時代にも、2年春に11盗塁、3年秋に7盗塁を記録するなど、積極的に盗塁を仕掛けてきていた。高校時代は、沖縄の野球部を集めた競技大会で、100メートルで2位を記録したというから、根本的に脚力が高いことがわかる。性格的にもイケイケの選手なので、秘めたる走力はかなりのものがあると考えられる。 守備面:☆☆☆ 3.0 その競技大会では、遠投部門でも2位だっというから肩も相当強いことがわかる。実際プレーを見ていても、肩が弱いようには見えない。セカンド守備も、打球に対しては非常に慎重に丁寧に捕球しようとする姿勢が見られるし、動き自体も悪くない。守備範囲も広く、けして下手な二塁手には見えなかった。連携プレーなど細かい部分にはまだまだ課題はあるかもしれないが、ゲッツーの際のショートとの連携なども、悪いようには見えない。もう少し見てみないとわからないが、セカンド平良 は、充分アリなのではないかと私はみている。この一年あいだ、それが正しいかどうか見極めて行きたい。 (打撃内容) ランナーがセカンドにいる場面でも強引に引っ張ったりと、フルスイングかつ引っ張り込むのがこの選手の魅力ではないのだろうか。大学時代には、ニ度の首位打者に打点王・本塁打王、通算で100安打以上を記録するなど、数々のタイトルを獲得してきた。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 ほんの少しだけ前の足を引きつつ、グリップの高さは平均的。腰は深く据わり、全体のバランスはそれなりで両眼ではしっかり前を見据えられている。 <仕掛け> 早め 投手の重心が沈み始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力重視のアベレージヒッターに多くみられる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ気味な踏み込み。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。軽くアウトステップしているところをみると、内角への意識の方が強そうです。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもしっかり止まっています。腰が少し早めに逃げるのですが、前の足が止まることで開きをある程度のところで抑えることができています。そのため、甘めの外角球や少し低めの球ならば、充分に対応できるのではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめ「トップ」の位置にグリップを引いているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。そのぶんリストワークに遊びがなく柔軟性には欠ける部分はあるものの、非常に深いトップを取ることで強烈な打球を生み出す原動力になっています。 腰が開く分、少しスイング軌道もインパクトまでロスは感じます。それでも足元が我慢できインパクトの際にヘッドは下がっていないので、ドアスイングになるのを防げています。とにかく広い面でボールを捉えつつ、思いっきり引っ張ってきます。センター方向に合わせるとか右方向に意識的にというのは、基本的に薄い選手なのではないのでしょうか。 そのため打球は角度をつけて飛ばすというよりは、強烈な打球で抜けてゆくタイプ。長打は上手く巻き込めたときだとわかります。内角のさばきも特に上手く肘をたたんでという感じではないのですが、少しアウトステップ気味な踏み込みが腰の回転を促すのか、切れずにレフト線へと打ち返すことができています。スイングの弧を大きくとり、フルスイングするのが持ち味です。 <軸> ☆☆☆ 3.0 結構動きの中でボールを捉えるタイプなので、目線の上下動は並ぐらいか。身体の開きが我慢できているのは良いのですが、軸足の形は結構傾いたりしています。それでも内モモの筋肉は強そうで、強烈な打球を生み出す原動力にはなっています。 (打撃のまとめ) 技術的には多少荒っぽかったり、極端なタイプだったりします。そのため打てる球も限られているかもしれませんが、打てる球に関しては逃さず思いっきりフルスイングしてきます。粗さは感じても脆さは感じられず、強振しながらも当て勘が悪くないのが、この選手の最大の魅力ではないのでしょうか。打撃に関しては、間違いなくプロ級だと評価できます。 (最後に) これまでは、高い身体能力がありながらも、それを守備に結びつけることができませんでした。しかし、思いのほか二塁守備も悪くないように見えるので、これが許容範囲だと評価できれば、俊足・強打の部分を買われての指名も充分ありうるのではないのでしょうか。何より強打者らしいイケイケの性格ですし、走力でも積極的にアピールできれば社会人でも異彩を放ってくれそうです。一年間、改めて追いかけてみたいと思わせてくれる選手でした。 (2021年 都市対抗) |
平良 竜哉(九州共立大3年)一塁 170/72 右/右 (前原出身) | |
俊足・強肩の高い身体能力を持ちながら、なぜか一塁を守っている 平良 竜哉 。大学球界屈指のフルスインガーでもある彼が、もし違うポジションでアピールできれば、大いにプロ入りは現実味を帯びて来ると思うのだが ・・・ 。 守備・走塁面 2年秋の神宮大会で計測した三塁ゴロの際には、一塁までの到達タイムは4.35秒前後(左打者換算で4.1秒前後)と平均レベルだった。しかし以前別の試合で計った時は、4.1秒台(左打者換算で3.9秒台に相当)を記録し、こんなに足が速いのかと驚いたことがあった。実際リーグ戦でも、2年春には11盗塁。3年秋には、7盗塁と積極的に走ってくる。上のレベルでも、その走力を存分に活かせるのではないかとみている。この選手は、スイングをみてもわかるように、走る勇気も持っているから。 また1年秋の神宮大会では、三塁手として出場。特に高校時代には、沖縄の競技大会で遠投と100メートル走で2位の好成績を残している強肩の持ち主でもある。特に身体能力が高い沖縄の球児の中、この実績は素晴らしい。一塁手としては、打球判断などに怪しいところがあるが動き自体は悪くない。恐らくこの部分が、高い身体能力があっても一塁を守っている要因かもしれない。 (打撃内容) リーグ戦では、ニ度の首位打者と打点王・盗塁王に輝いている。また2年秋には4本塁打で本塁打王にも輝き、独特のカチあげるスイングには見るものを魅了する。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、バット寝せながら構える。グリップは平均的な高さながら、あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えている。後ろ足に重心をかけつつ構えるので全体のバランスとしては癖があるが、両眼ではしっかり見据えて錯覚を起こすことなく立てている。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下るときには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターの傾向が強い。彼の場合は、ボールを捉えることを重視しながらも、ボールに角度をつけて飛ばすことができるのだ。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化に対応しやすい。また真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい万能型。 踏み出した前の足はしっかり止まってブレないので、外の球や低めの球にも食らいつけるように見えます。ただし気になるのは、腰が早く逃げてしまう部分があり、外の球をあまり強く叩けない欠点があります。ある程度のところで腰の開きは抑えられていますが、どうしても外の厳しい球は手打ちになりがちなのです。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップがあるので、速い球には立ち遅れません。ただしリストワークには遊びがないので、そういった意味での柔軟性はやや欠ける部分があるのかもしれません。 バットの振り出しは少し遠回りに出てくるところがあるのですが、バットの先端であるヘッドは下がらずに振り抜けています。恐らく長打を放つ時は、引っ張った感覚の打球の際に飛んで行くものと考えられます。特に素晴らしいのは、その引っ張った時にボールにうまく角度をつけて飛ばせる点。そして非常に大きな弧を描き、それでも結果を残せるだけの強靭なヘッドスピードがあるからでしょう。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。腰が早く開いてしまうのを、足元が止まることである程度のところで留めます。軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、比較的安定した打撃が期待できるのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) ボールを線で捉えることができ、タイミングを合わせるのは上手いです。そしてそのタイミングを活かしつつも、インパクトではボールに角度をつけて飛ばせ、大きな弧を描き後押しします。ようは、ヒットの延長線上に長打があるというタイプなのでしょう。 欠点は、やはり腰の逃げが早い点。この部分で、今後いかに外角球をしっかり叩けるかにかかってきます。これでライト方向にもぶちこめるようになると、手がつけられなくなります。大きくフルスイングしますが、軸はしっかりしている上に、そのスイングで結果を残せるだけのヘッドスピードがあります。 (最後に) 高い身体能力がありながら、それを守備に充分活かせていないのは残念。そして打撃も癖があるので、打てるコースが限れているのではないかという恐れは感じます。いかに外角逃げて行く球や外角の強い球をきっちり捉えられるようになるかではないのでしょうか。この2つのポイントに問題がなければ、充分に大学からのプロ入りは現実味を帯びてくるとみています。 (2018年 神宮大会) |