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中道 佑哉(八戸学院大4年)投手 182/75 左/左 (野辺地西出身) | |
球威・球速は、ドラフト指名される投手としては微妙なところで投げている 中道 佑哉 。足を引き上げ方が独特の上、ボールの出どころを隠して投げる技巧派左腕だった。 (投球内容) この秋は、5試合に登板して 4勝1敗 防 1.44(5位)といった内容で、神宮大会中止のなか行われた、東北優勝決定戦で、東北福祉大戦を生観戦してきました。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX87マイル(140キロ) ☆☆★ 2.5 左腕とはいえ、球威・球速といった意味では微妙です。左打者内角を厳しく突く、逆クロスの球筋に特徴があります。この手の技巧派の割に、この秋も 31回1/3イニングで21四死球(四死球率 67.1%)という制球力の無さが気になります。この辺を改善してゆかないと、打者にじっくり観られた時に辛いかなといった印象は残りました。 その一方で、タイミンがとり難いのは確か。31回1/3イニングで、被安打は13本(被安打率 41.5%)しか打たれていません。むしろ福祉大戦では、ストレートよりも高めに甘く入った変化球が打たれていました。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 この選手の武器は、スライダーと考えられます。特に右打者のボールゾーンから、外角に入ってくるバックドアのスライダーを得意としています。左打者には、内角の当たりそうなところからインコースに決めるフロントドア。あるいは、外角低めに逃げてゆくスライダーなどを自在に操れる器用さはあります。 また、右打者の外角に小さく逃げるチェンジアップ系の球もありますが、それほどこの球は有効ではありません。あくまでも、速球とスライダーのコンビネーションといった感じです。それでも三振は、31回1/3イニングで47三振と、1イニングあたり1.50個と高い奪三振を誇ります。 その他 牽制は、左腕らしく結構鋭いです。またクィックも、1.1秒前後とまずまず。やや、フィールディングが頼りない印象は受けました。元々マウンドさばきの良い、実戦派といった感じの投手です。 (投球のまとめ) 生で観ていて感じたのは、やはり本当のコントロールがないといった部分。ここを改善してゆかないと、カウントを整えるのに苦しんで、甘く取りにいった球を打たれるという悪循環に陥るのではないかという不安が拭えませんでした。 ストレートもキレ型なので、甘く入ると簡単に長打を浴びやすい恐れがあります。アマレベルならばタイミングが取り難いということで戸惑いますが、プロレベルの打者だと何回か対戦してゆくうちに慣れられてしまう恐れもあります。その時に、確かなコントロールがないと厳しいだろうということ。変化球もスライダーが生命線で、この球以外が弱いのも気になりました。 (投球フォーム) 今度は、この変則フォームが何処まで実戦的なのか考えて行きます。ノーワインドアップから、そろ~りと入って行きながら、当然加速して足を勢い良く引き上げるフォームです。そのギャップで、かなりタイミングを狂わす狙いがありそうです。しかし、軸足一本で立った時に、膝に余裕がなくピンと伸び切ってしまい少し前かがみ気味に立ちます。それだけ、身体が前に倒れやすく「着地」までの粘りが作り難いといった立ち方になっています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて、少し前に倒れ込むような感じで重心を落としてきます。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといったひねり出して投げる球種には適さない投げ方です。 「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間も並ぐらい。キレや曲がりの大きな変化球よりも、スライダーやチェンジアップを中心に、球速のある小さな変化で勝負するタイプかと。むしろこの投手が光るのは、スライダーの生かしたが自在で上手い点ではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。そのため、両サイドへの投げ訳はつけやすいタイプかと。足の甲での地面への押しつけもできており、浮き上がろうとする力を抑えられ、上吊り難いのではないかとも思います。 ただし実際は指先の感覚が悪く制球力にも課題があります。変則故に、軸がブレやすいのか何処が原因なのかはイマイチ掴めませんでした。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせないフォームですが、カーブやフォークといった球種の頻度も少なそうです。したがって、窮屈になる機会は少なく、そこまで肘への負担が大きいようには見えません。 また腕の送り出しには無理はなく、肩への負担という意味でも気になりませんでした。とくに力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないかと。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 足を上げる時の動作にメリハリがあり、「着地」までの粘りが平均的でもタイミングがとり難いのではないかと。ボールの出どころも隠せているので、その点打者としては厄介です。しかしそういったフォームの崩し方ができなくなる、ランナーを背負った時が心配です。その時に、小さめのテイクバックで何処までタイミングを崩すことができているかに懸かっているのではないかと。 腕は身体に絡んできますし、適度に勢いがあり打者の空振りは誘いやすいようです。ボールへの体重乗せが不充分なのか?キレで勝負するタイプで、球威を感じさせる球ではありません。そのため、甘く入った時は正直怖いです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「球持ち」「体重移動」にもう少し粘りが出てくると更に嫌らしくなるのにといった感じがします。コントロール司る動作は良さそうに見える割に、実際の投球ではそうではない。故障のリスクが低いのは良いのですが、今後投球の幅を広げて行けるのかと言われるとその点でも不安が残ります。技巧派で実戦的に見えるのですが、実際のところそこまで効果が何処まであるのかには疑問が残りました。 (最後に) 個性はあるので、その辺を上手くソフトバンクの育成で活かせるようにできるかだと思います。しかし技巧派の割にコントロール不安定さに、フォームにも思ったほど嫌らしさがなく、個人的にはちょっと懐疑的な見方をしています。そのへんを何処かいじればという、何か確信があっての指名なのかは気になります。育成枠であり、ソフトバンクの多彩な投手陣に混ざって華を添えられるようになれれば、面白い指名になると思います。果たしてどうなるのか? 気に留めてみたい一人でしたが、☆ を付けるほどの魅力は現時点では見いだせませんした。 (2020年秋 東北優勝決定戦) |