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内間 拓馬(楽天)投手のルーキー回顧へ







内間 拓馬(亜細亜大4年)投手 179/86 右/右 (宜野座出身) 





 「良さがわかり難い」





 確かにコンスタントに140キロ台後半のボール投げ込む力強さはあるものの、イマイチ良さがわかり難いのが、この 内間 拓馬 ではないのだろうか? 今回は、この投手の魅力とは何処にあるのか? 考えてみたい。


(投球内容)

 それほど上背はないものの、ガッチリした体格の持ち主。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。

ストレート 常時145キロ~150キロ ☆☆☆★ 3.5

 コンスタントに140キロ台後半を叩き出せるスピード能力があり、ボールの力や球速という意味では水準以上だと言えるでしょう。ボールは結構ばらつく傾向が観られ、特に左打者外角や右打者内角への逆クロスの球はシュート回転して抜け気味にゆくことも少なくありません。4年秋の成績をみても、25回1/3イニングで14四死球ですが、投球回数の1/2以上と、かなり制球力が粗いことがわかります。

 普段のボールは空振りを誘うというよりは、フォーシームでもシュート回転したり沈んだりと、少し動く癖球であるようにも思います。25回1/3イニングで24三振と、イニングあたり0.95個奪えておりかなり多いとは言えるのですが、追い込むと力を入れたストレートで空振りを誘いにきます。

変化球  スライダー・カットボール・カーブ・ツーシームなど ☆☆☆ 3.0

 右打者に対しては、カットボール・スライダーなどでカウントを整え勝負してきます。勝負球は、外角高めへのストレートとなります。左打者に関しては、速球とツーシームとのコンビネーションになり、あまりスライダーなどが使えない分、投球の幅が狭い印象を受けます。特に上記にも記したように、左打者外角へのストレートが抜け気味で制御できない分、左打者の方が苦手なのではないのでしょうか。いずれにしても変化球でカウントは整えますが、空振りを狙って奪えるほどの決め球はないように思います。

その他

 クィックは、1.10~1.15秒ぐらいと平均的で、フィールディングもそれなりといった感じでしょうか。 テンポなどがあまり良くなく、投手としてのセンスはあまり感じられません。そのためボールの力で、押すスタイルになります。

(投球のまとめ)

 変化球でカウントは整えつつ、勝負球は力を入れた真っ直ぐであることが多いです。それほど細かい制球力がないので、ここぞという時に決まらない収まりの悪さと、リズム感の無さは正直気になります。力のある真っ直ぐを魅せて、相手の打ち損じを誘うといったピッチングスタイルでしょうか? 即戦力として考えるならば、リリーフからなのではという気がします。


(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いは静かですが、高さはそれなりにあります。軸足一本で立った時に膝には力みは感じられず、比較的バランスよくは立てています。

<広がる可能性> ☆☆★ 2.5

 軸足一本で立ったあとに、前に少し前に倒れる感じで体重を落としてくるので、お尻はバッテリーライン上に残ってしまいます。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった球種には適していません。

 また「着地」までの粘りも平均的で、それほど身体を捻り出す時間も確保できていません。したがってキレや曲がりの大きな変化球の習得は難しく、スライダーやチェンジアップ、ストレートを微妙に動かす小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことになりそうです。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいことになります。足の甲での地面の捉えが遅く、充分浮き上がろうと力が抑えられていません。したがって力を入れて投げると、ボールが高めに集まりやすい傾向にあります。特に肘をあまり立てて振れていないので、ボールがシュート回転して抜けることが多く、押し込めないことが多いのは気になります。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻が落とせない割にカーブを時々使ってくるので、窮屈になって肘への負担は感じなくはありません。それでもカーブの頻度が多くはないので、悲観するほではないとは思うのですが。

 腕の送り出しを見る限り、肩への負担は少なそう。もっと力投派かと思ったのですが、それほどその点も心配ではありません。タフなリリーフとしての起用には、耐えうるだけのフォームと身体の強さはありそうには見えます。

<実戦的な術>> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りをさほど感じられずタイミングが計りやすい上に、フォームの動きが直線的なのも苦になり難い要因なのかと。ボールの出どころもさほど隠せているわけでもないので、25回1/3イニングで22安打(被安打率 87.0%)とやや高いのはうなずけます。

 腕はしっかり振れているので、勢いがあるの空振りは誘えそうなもの。しかしボールの出どころがいち早くわかりやすいので、コースを突いた球でも打ち返されてしまうことも少なくはないのでしょう。体重の乗せも悪くはないのですが、少しエネルギーがロスしていて、ダイレクトにボールに力を伝えきれていないようにも見えます。そのせいなのか? 球威・球速の割にストレートに訴えかけてくるものが足りない気がします。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」に関しては、どれも極端に悪いことはないものの、どれも微妙に物足りなく感じられません。このへんが、フォームや投球にメリハリが効いていない要因かもしれません。別の言い方をすれば、取り組み次第ではまだ良くなる余地が残されているとも言えるのでしょう。

 また故障のリスクはさほど高くはないものの、制球を司る動作は微妙で将来的に武器になる変化球を習得できるのかと言われると現状は微妙としか言えません。そのためボールには力があるものの、その良さを活かしきれない可能性があります。現状は、可も不可もなしといったフォームではないのでしょうか。


(最後に)

 ボールの力・球速的には悪くない投手ではあるのですが、その良さをまだ存分には活かせていない物足りなさを感じます。指名した楽天が、何処かをいじれば良くなるという確信の元指名しているのならば良いのですが、今のままだとプロでは個性に乏しく埋没する危険性を感じます。まずは粗い技術を補う意味でも、力強い真っ直ぐで押せるリリーフからといった起用になるのではないのでしょうか。そういったリリーフにおいては、タフに起用できるぐらいの頑強さと馬力があるように感じます。彼の良さがあるとすれば、まさにそこではないのでしょうか。残念ながら、これは!というものを私自身は感
じられなかったので、指名リストに名前を残すことは控えようと思います。



(2020年 秋季リーグ戦) 










 荒削りでまだ収まりが悪いところはあるのですが、ガッチリした体格から140キロ台後半を連発できる馬力があります。勝ち身に遅い部分はあるのですが、今春のリーグ戦では防御率1.71で4位と、けして荒削りなだけの投手ではありません。ボールの力・スペックは間違いなくあると思うのですが、コントロール・投球術など技術的な部分で物足りなさがあります。最終学年でもう少し総合力が引き上げられてくると、上位指名も現実味を帯びてくるのではないのでしょうか。

(2019年 高校JAPANとの交流戦)