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入江 大生(明治大4年)投手の最終寸評へ







入江 大生(明治大3年)投手 187/82 右/右 (作新学院出身) 





「ボールの威力は森下級」 





 ボールの力だけならば、1学年上の 森下 暢仁(広島1位)にもヒケを取らない 入江 大生 。作新学院時代は、投手兼一塁手として活躍し、今井達也(西武1位)と共に全国制覇達成に貢献した。当時から才能は高く評価されていたが、明大に進学。リーグ戦ではリリーフでの登板だが、徐々にその才能を開花させつつある。最終学年での内容次第では、充分にプロ入りの可能性を秘めた素材だと言えよう。


(投球内容)

 ノーワインドアップからスッと足を引き上げ、少し前に倒れ込むような感じで重心を落として来るフォームです。

ストレート 常時145~150キロ 
☆☆☆★ 3.5

 コンスタントに140キロ台後半を連発できる能力があり、その勢いは確か。この秋も22イニング登板して、被安打は僅か10個(被安打率45.5%)と球威で圧倒できている。その反面、決まって欲しいところに微妙に決まらないなど、コントロールの粗さも気になるところ。22イニングで四死球は8個(四死球率は36.4%)と、このコマンドの差が森下との大きな違いとなっている。ボールは低めの膝下にビシッと決まる時もあるが、結構高めに抜けるなど安定しない。

変化球 スライダー・チェンジアップ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 右打者外角低めには、しっかりスライダーでカウントを整えられる。また左打者には、内外角にボールを散らしつつ外角低めにチェンジアップを集めてカウントを稼ぐ。また時々少しドロンとしたフォークを投げるのだが、この球が結構しっかり落ちるので空振りを誘えていた。速球派でも、けして変化球レベルが低いわけではない。

その他

 クィックは1.05秒前後で投げ込めるなどまずまずで、ボール処理なども落ち着いてさばけている。牽制は結構上手く、積極的にランナーが出ると挟めて来る。

 細かい出し入れや、間をうまく入れて相手のタイミングをずらそうとするとか、そういったきめ細やかさはありません。このへんはリリーフ投手らしく、ボールの力で勝負しに行きます。

(投球のまとめ)

 速球にしても変化球にしても、1つ1つのボールは悪く有りません。またボールも高めに抜ける球は多いものの、適度に両サイドには散っているのは明るい材料。時々中にも甘く入ってきますが、ボールに力があるので大学レベルの相手ならば打ち損じしてくれることも少なくありません。常にボール先攻で投球が苦しくなることが多いので、ストライク先攻で投球できるようになるかが、この選手のプロ入りへの鍵になるのではないのでしょうか。


(投球フォーム)

今度はフォームの観点から、この選手の可能性について考えて行きましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 軸足一本で立った後に、前に倒れ込むように重心を落としてきます。そのためお尻はバッテリーライン上に残ってしまい、体を捻り出すスペースが確保できません。この体勢でカーブやフォークといった球種を投げようとすると、どうしても負担のかかる投げ方になります。

 それでも「着地」までの粘りはそれなりで、体を捻り出す時間は悪くありません。カーブやフォークといった球種以外ならば、ピッチングの幅を広げてゆくことは期待できそうです。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができます。このため左右の軸がブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすくなります。

 その一方で、足の甲が地面から浮いてしまっています。こうなると浮き上がろうとする重心の力が抑え込めず、力を入れて投げるとボールは高めに抜けやすくなっています。それでもボールを前で放すなど球持ち自体は悪くないので、ある程度ボールを指先で制御することはできています。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせないフォームなので、フォークあたりを多投すると窮屈になり肘への負担が心配になります。しかし現時点では、フォークの割合は少ないので、それほど気にしなくても良いのではないかと感じます。

 腕の送り出しを見る限りは、肩への負担も少なそう。腕を強く振ってくるタイプではありますが、フォーム全体はそれほど力投派というほどでもないように見えます。そのため疲労を溜めてフォームを崩すというリスクは、それほど高くはないのではないかとみています。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りもある程度ある上、ボールの出どころのみやすさも平均的。苦になるほどのフォームではないと思いますが、合わせやすいわけではないのではないのでしょうか。そのへんは、被安打の少なさにも現れているかと。

 腕を強く振れており、フォームに勢いがあるので空振りは誘いやすい。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで球威や勢いの落ちないボールは投げられている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、「球持ち」も「体重移動」も良く、大きな欠点はありません。さらに「着地」までの粘りが出て、「開き」が遅れるようになると厄介なフォームだと言えそうです。

 足の甲の押し付けが浮いてしまうことで高めに抜ける球が多いのは気になるものの、故障のリスクや将来的に投球の幅を広げられるという意味では標準的でしょうか。今後は、緩急や縦の変化をいかにして生み出してゆくのかが鍵になると思います。


(最後に)

 作新学院時代に感じたとおり、素材の良さは光ります。まだその能力を存分にというほどではないので、最終学年になって自覚が何処まで目覚めるかにも懸かっています。先発をやって持ち味が出るかは微妙ですが、リリーフならば興味深い人材であるのは確かです。森下にあって入江にないものは、やはりストライクを先攻させるだけの制球力。常に投手が有利な状況で勝負できた森下に比べると、入江は自らと戦ってしまっている場面が多い。この点を最終学年に変化が見られるのか注目したい。


(2019年 秋季リーグ戦) 









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