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平内 龍太(亜細亜大4年)投手 185/90 右/右 (神戸国際大附出身) | |
MAX156キロのストレートを投げ込むように、平内 龍太 は先発よりリリーフ向きなのではないかというイメージを抱きがちである。しかしこの秋の投球をみていて、意外にこの選手は先発向きなのかもしれないと思うようになってきた。その理由について、説明してみたい。 (投球内容) ワインドアップから振りかぶり、ゆっくりと投げ始めます。この秋は、7試合に登板して 3勝1敗 防 1.27 (2位) の成績でした。 ストレート 150キロ前後~MAX156キロ ☆☆☆☆ 4.0 本格化したこの秋のボールの勢いは、確かに破格の勢いがあります。ボールの勢い・球速という意味では、今のアマチュア球界でも屈指のものがあるのではないのでしょうか。その一方で、かなりストレートのコントロールにはバラツキがあります。それでも大まかには両サイドに散っており、この秋は28回1/3イニングで8四死球と安定。ただし試合を観ていると、かなり審判のストライクゾーンが広く、プロの審判だと微妙なところをとってもらえないのではないかと心配な部分があります。 なぜ私が先発の方がというと、この微妙なコントロール・本当の制球力が無いのではないかとみるからです。プロでじっくり観られたら、ストライクをとるためにかなりセーブして投げないといけなくなる可能性が。そのことが、どんどん悪循環を生む危険性を感じます。むしろ多少四球で出塁しても許される、先発の方が向いている気が私にはするのです。 変化球 スライダー・カーブ・スプリットなど ☆☆☆★ 3.5 むしろ暴れ気味なストレートに比べると、スライダーでカウントを整えることができています。またスプリットの落差もフォーク並にあり、空振りが誘えます。他にもたまに緩いカーブやチェンジアップのようなツーシームも混ぜてきます。28回1/3イニングで26三振と、これだけのストレートと縦の変化球がある割には、突出して三振が多いわけではありませんが。 その他 クィックは、1.1秒前後とまずまず。フィールディングの動きも良く、けして投球以外のレベルが低い選手ではありません。牽制に関しては、残念ながら良くわからなかった。フォームの入りがゆっくりで、途中から加速するような感じ。意外に投球においても、「間」という時間的概念も意識してピッチングをしているのかもしれない。 (投球のまとめ) 上記にも記したように、リリーフでの爆発力も魅力も、本当は先発の方が良いのではないかと思うようになってきました。変化球でもカウントが整えますし、決め球もある。さらに追い込めば、力を入れてストレートで仕留めに行けるメリハリもある。下級生の時までの、ただ力で押してくるイメージとは、かなり違ってきているのではないかと感じます。 (投球フォーム) 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。ワインドアップで振りかぶり、ゆっくりとしたモーションで入ってゆきます。しかし足を引き上げるあたりからスピードが加速し、エネルギーを一気に吐き出してきます。軸足一本で立った時には、膝にはあまり余裕は感じられないものの、適度にバランスは取れた形で立てています。しかしその時間は、かなり短いと言えます。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすのですが、その後しっかり一塁側にお尻が落ちてくるフォームです。そのため身体を捻り出すスペースとしては、ある程度確保できていると判断できます。カーブやフォークなどの、捻り出して投げる球種も投げられないことはないと考えられます。 また「着地」までの地面の捉えも、早すぎことはありません。そのため身体を捻り出す時間もそこそこで、変化球のキレ・曲がりも悪くはないのでしょう。特に現状で、スプリットがフォーク並の落差で沈むのは評価できます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで身体の近くで抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのためボールも、両サイドに散らすことができています。また足の甲での地面の捉えもできており、浮き上がろうとする力を抑えられていて、高めに抜ける球はあまり観られません。「球持ち」が悪いとは思わないのですが、あまり指先の感覚に優れたタイプではないように見えます。そのへんが、全体的にストレートが真ん中~高めに集まりやすい要因かもしれません。もう少しリリースでボールに力を伝えられるようになると、土台は良いので球筋も安定して来るのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻はある程度一塁側に落とせており、カーブやフォークを投げても窮屈にはなり難いのかと。縦の変化球も、フォークではなくより握りの浅いスプリットにしているようで、肘への負担は少なめではないかと考えられます。 腕の送り出しは、少し押し出して担いで投げるような感じなのは気になります。それでもボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が極端に下るようなことはありません。また力投派に見えるのですが、意外とフィニッシュを観ていると無理をしていない。そういった意味では、疲労も溜まり難いのではないかとみています。 <実戦的な術>> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りはそこそこで、ボールの出どころも隠せています。そのため合わせやすいということはなく、ゆったりしたモーションからピュッと腕が加速して出てくるのでギャップも生じ、打者としては差し込まれやすいのではないかと。 振り下ろした腕が、思ったほど身体に絡んで来ないのは気にはなります。そういった腕の振りの勢いや粘りに物足りなさがあり、その辺が思ったより三振が取れない要因かもしれません。それでも適度に体重を乗せてからリリースできており、打者の手元までグッと来るストレートを投げ込めています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、少し「球持ち」の部分に課題を残しているように感じました。制球を司る動作の土台はよく、故障のリスクも高くはなく、ピッチングの幅を広げて行ける可能性も感じます。もっとフォーム的には粗いのかなと思っていたのですが、意外に大きな欠点がなく実戦的なのに驚きました。 (最後に) 確かに爆発的な投球ができる選手ではあるのですが、155キロ級の助っ人外人でもじっくり観られると苦しい選手が多いように、そういった緊迫した場面で託すのにはまだ不安が残ります。むしろ現時点では、ゆったりとした先発方が持ち味が出るのではないかと。プロで何年かやるうちに自信がついてからでも、クローザーなど後ろを任せるのには遅くはないのではないかという珍しいタイプです(普通は逆)。先発でも一年目から二桁残すほどかと言われると半信半疑なのですが、1位指名はともかく上位指名されるだけの力の持ち主だったのは間違いなかったでしょう。思ったよりも実戦的なフォームに加え、多彩さや間を意識できる投手に変わってきました。今なら先発でも、7,8勝ぐらい一年目から勝てるかもしれません。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2020年 秋季リーグ戦) |
140キロ台後半を連発する重い速球が武器。カーブのようなどんよりしたスライダーなどをたまに投げるが、変化球に特徴的なものがない。それでもコントロールも荒れ荒れといったほどではないし、ボールの威力は東都でもトップクラスなので来年の候補として注視してゆきたい。 (2019年 春季リーグ戦) |