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森浦 大輔(広島)投手のルーキー回顧へ







森浦 大輔(天理大4年)投手 175/71 左/左 (天理出身) 





「今年の成長がよくわからない」 





 下級生の頃から大学選手権などで活躍し、将来が楽しみなサウスポーだった 森浦 大輔 。しかし最終学年では、春のリーグ戦はコロナのため中止に。秋も無観客試合で、その成長ぶりが確認できなかった。また最終学年での投球の映像もなく、一切現状がわからない状況なのだ。


(投球内容)

 残念ながら、この部分は昨秋の松山合宿での投球を元に作成した、オフの寸評をそのまま抜粋していることをご了承ください。この投手は、凄みよりも非常にまとまった実戦型の左腕といった印象です。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0

 腕をピュッと鋭く振ることで、打者が差し込まれるような140キロ前後の真っ直ぐを投げ込んできます。ドラフト候補の左腕としては、球威・球速に物足りなさは感じさせるものの、そのぶんキレとコントロールで補っているタイプでしょうか。3年秋のシーズンでも、20イニングで4四死球とコントロールが安定し、制球で自滅するタイプではないように感じます。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5

 スライダーでしっかりカウントを整えられ、それでいてストライクゾーン~ボールゾーンに切れ込んでゆくスライダーで空振りも誘えます。時々緩いカーブで緩急を効かせつつ、ツーシームような小さく逃げながら沈むチェンジアップも投げてきます。以前は投球回数前後の三振を奪っていたのですが、最近は三振を奪うよりも投げミスに注意して投げている印象。ただし、甘く浮いたスライダーなどを打たれるケースが目立ちます。

その他

 ランナーが出ても牽制は見られなかったものの、クィックは、1.05~1.10秒とまずまず。動き自体は機敏で、走者にもしっかり目配せをしながら投げられる余裕は感じます。ボール処理も冷静で、投球以外の動作に問題があるようには見えません。むしろ、センスや運動能力が高そうにさえ見えます。

(投球のまとめ)

 大学の下級生の頃の方が、ボールにキレや勢いを感じた気はします。そのぶん今は、投げミスに気をつけて打たせて取る傾向が強くなっているのではないかと。プロの一軍となると、少々球威・球速不足を感じなくはありません。それでも左腕であることと、コントロール・マウンドさばき・変化球と一定のレベルにはあり、志望届けを提出すれば指名される可能性は充分あるのではないかとはみています。もうワンランクストレートに磨きがかかれば、実戦派左腕として高く評価されるのではないのでしょうかというのが、下級生までの投球内容でした。


(成績から考える)

実際この秋の投球がどうだったのか? 最終学年の成績から、わかることを考えて行きたい。この秋の成績は、

5試合 4勝1敗 39回 14安 6四死 52振 防 0.69

1,被安打は、投球回数の70%台 ◎

 39イニングで、被安打は14本。被安打率は、35.9% と、地方リーグとは言え図抜けている。下級生までの3年間では、被安打率が71.2%だったことを考えると、最終学年はそれを半減させていることからも、成長の跡が感じられる。

2、四死球は、投球回数の1/3以下 ◎

 四死球率は、15.4%。目安が33.3%以下なので、基準の1/2というから相当なもの。過去3年間では、38.8%と意外にアバウトなところがあったのが、この秋は格段にコントロールも改善されていたことがわかる。

3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎

 1イニングあたりの奪三振は、1.33個とはるかに投球回数を上回っている。それまでの3年間では、0.89個と先発投手の基準は満たしていたものの、そこまで絶対的な数字ではなかった。それが、遥かに奪三振率を高めているからも、格段の成長が感じられる。昨年などは、ボールを置きにゆくような制球力重視だったところから、かなり元の勢いを取り戻していたことが伺われる。

4、防御率は1点台が望ましい ◎

 防御率は 0.69 と、この基準を充分満たしている。上位指名されるような選手は、防御率0点台の絶対的な数字が欲しいところ。この選手は過去にも2回0点台を記録しており、3年春のリーグ戦では、防御率 0.58 で最優秀防御率に輝いている。安定感という意味では、それほど下級生の時と変わっていない。しかし数字が元々絶対的だったので、成長していないわけではないのだろう。

(データからわかること)

 地方リーグとはいえ、残した数字は圧倒的。これだけな数字を残した選手は、ライアンこと 小川 泰弘(ヤクルト)を彷彿させるぐらいの数字となっている。特に下級生までの数字と比較しての伸び代が凄く、この選手が上位指名の評価に至った理由が伺える内容となっている。下級生のイメージだけでは、この選手の現在の力は計れないようだ。

(投球フォーム)

 今年のフォームに関しては、映像にあったので昨秋のものと比較してみてみたい。ただし、昨秋すでに細かくみているので、今回は違いがある部分についてのみ紹介してみる形をとる。

 基本的に、昨年フォームから大きく変わった印象はありません。ただし、足の甲の地面への捉えが遅かった印象が、早くから地面を捉え続ける粘りが増した印象があります。それだけ、低めへ球が集まりやすくなっているのではないかと。

 昨年から気になったのは、腕の振りが弱く置きにゆくようなフォームでした。しかし今回の映像も、投球練習の映像だったので、実戦でどの程度の振りをしていたのかは気になります。むしろ大学選手権などに出場していた1,2年生の頃は良かっただけに、今季の成績をみると、その辺が元に戻っていたのではないかという期待は持てます。特に目立って三振が奪えていなかった選手が、かなり奪三振率を増していることからも、良くなっているのではないかという期待はあります。


(最後に)

 成長した姿を一切確認できていないので、あくまでも想像の域を脱しられません。ただし成績は、これまでの3年間と比べると、格段にどの分野の改善されており、カープが2位という高い評価で指名した理由も頷けます。ポテンシャルよりも実戦派だと思うので、オープン戦などから積極的に起用されるのではないかとみています。評価付けはできませんが、下級生から指名を意識できる選手だったので、さらに良くなっているとなると期待が持てそうです。


(2020年 秋季リーグ戦) 










森浦 大輔(天理大3年)投手 175/70 左/左 (天理出身) 





「実績はある」 





 天理高校時代よりも、天理大に進んでからの活躍が目立つ 森浦 大輔 。大学1年の時から全国大会にで存在感を示し、リーグ戦では上位の成績を残してきた。実績という意味では、今年の関西の大学生投手の中でも、屈指の経歴の持ち主ではないのだろうか。


(投球内容)

非常に、まとまった左腕といった感じがします。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 腕をピュッと鋭く振ることで、打者が差し込まれるような140キロ前後の真っ直ぐを投げ込んできます。ドラフト候補の左腕としては、球威・球速に物足りなさは感じさせるものの、そのぶんキレとコントロールで補っているタイプでしょうか。3年秋のシーズンでも、20イニングで4四死球とコントロールが安定し、制球で自滅するタイプではないように感じます。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 スライダーでしっかりカウントを整えられ、それでいてストライクゾーン~ボールゾーンに切れ込んでゆくスライダーで空振りも誘えます。時々緩いカーブで緩急を効かせつつ、ツーシームような小さく逃げながら沈むチェンジアップも投げてきます。以前は投球回数前後の三振を奪っていたのですが、最近は三振を奪うよりも投げミスに注意して投げている印象。ただし、甘く浮いたスライダーなどを打たれるケースが目立ちます。

その他

 ランナーが出ても牽制は見られなかったものの、クィックは、1.05~1.10秒とまずまず。動き自体は機敏で、走者にもしっかり目配せをしながら投げられる余裕は感じます。ボール処理も冷静で、投球以外の動作に問題があるタイプに見えません。むしろ、センスや運動能力が高そうにさえ見えます。

(投球のまとめ)

 大学の下級生の頃の方が、ボールにキレや勢いを感じた気はします。そのぶん今は、投げミスに気をつけて打たせて取る傾向が強くなっているのではないかと。プロの一軍となると、少々球威・球速不足を感じなくはありません。それでも左腕であることと、コントロール・マウンドさばき・変化球と一定のレベルにはあり、志望届けを提出すれば指名される可能性は充分あるのではないかとはみています。もうワンランクストレートに磨きがかかれば、実戦派左腕として高く評価されるのではないのでしょうか。


(投球フォーム)

 ノーワンドアップから、シュッと足を勢い良く引き上げてきます。軸足一本で立った時に、膝に力みが感じられないのは良いところではないのでしょうか。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側への落とし(左投手の場合は)は甘めになっています。それでもカーブやフォークといった、捻り出して投げる球種を投げるのには無理があるというほどではないのではないかと。

 むしろ「着地」までの地面の捉えは悪くないので、身体を捻り出す時間はそれなりに確保。多彩な変化球を操れる下地はあるのではないかと思いますが、腕の振りに角度はないので縦系の変化量には乏しくなりそうです。


<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのため軸はブレ難く、両サイドへはボールが散りやすいのではないのでしょうか。足の甲の押し付けがやや短く見えるので、充分に浮き上がる力を抑え込めているかは微妙。それでも「球持ち」が良く、指先の感覚も良さそうで四死球で自滅するようなことはないでしょう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としには甘さは残すものの、カーブを使う頻度も少なく窮屈になる機会も少ないと考えられます。また腕の送り出しは、スリークォーターからサイドに近く肩への負担も少ないと考えられます。力投派でもないので、疲労も溜め難いのではないかと考えられます。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りも適度に作れ、ボールの出どころも隠せています。そのためボールが見え始めてからボールが到達するまでが一瞬でもあり、打者としては差し込まれやすいフォームに。

 ただし下級生の時の方が腕の振りが強かった感じがして、今の方がボールを置きにゆくような腕の振りなのは気になります。こうなると、なかなか空振りを誘うような勢いが生まれ難いのではないかと。また「球持ち」は良いものの、あまり前にグッと体重が乗っていっている感じがしません。そういったフィニッシュの躍動感が物足りないのは、投球の迫力不足にもつながっています。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に物足りなさを感じます。コントロールを司る動作・故障のリスク・多彩な投球を実現するという意味では実戦的で良いフォームだとは思いますが、以前よりもフォーム全体に躍動感が薄れているのは気になりました。


(最後に)

 
球威・球速が物足りないところを、コントロールと技術で補っている感じはします。最終学年で再度ストレートを磨きアピールできれば、プロ入りも現実味を帯びてきそうです。そうすれば実戦的な左腕ですから、即戦力候補として一定の評価は得られそう。最終学年における、あと一歩のプラスαを印象付けられるかに懸かっているのではないのでしょうか。現状はプロの先発としては物足りないので、リリーフとして使えるかどうかが見極めのポイントになりそうです。


(2019年秋 松山合宿)



 








 細身のサウスポーなのだが、球速は130キロ台後半~MAXで145キロまで立教大戦では記録。何よりピュッと上体と腕を鋭く振れるギャップが作れるために、手元までしっかりボールがキレて来る。変化球も、カーブ・スライダー・チェンジアップを織り交ぜる。特にスライダーではいつでもカウントが取れ、ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込む空振りの取れる2種類のスライダーを使い分ける術も持っている。

 すでに現時点でもドラフトにかかりそうなぐらいの力量の持ち主だが、順調に4年間かけてレベルアップをして行ければ最終学年では即戦力を期待できる実戦型サウスポーとして注目される可能性を秘めている。何処まで自らを引き上げて行けるのか、今後も楽しみな投手が出てきた。

(2017年 大学選手権)