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平間 隼人(巨人)内野手のルーキー回顧へ







 平間 隼人(23歳・徳島ID)二塁 173/75 右/左 (鳴門渦潮出身)
 




 「苦節5年」





 鳴門渦潮高校から四国アイランドリーグに進んで5年、悲願のプロ入りを果たした 平間 隼人 。イメージ的には快速を活かした二塁手ということで、内村 賢介(元楽天-DeNA)内野手とダブるように思える。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの塁間は、少々ベース前で緩めても4.1秒前後。もし全力で駆け抜けていれば、3.9秒台では駆け抜けられたのではないのだろうか。アイランドリーグ2年目に17盗塁こそしたが、それ以外の年は一桁の盗塁数しか記録していなかった。しかし今年は、43盗塁を決めて盗塁王に輝いている。そういった走塁への意識を変えたことが、5年目にして指名にこぎつけた最大の原動力ではないのだろうか。やはりプロ入り後も、この足を全面に押し出して行くことになるのだろう。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 セカンドの守備を見ていると、キャッチングはすごく慎重にボールを扱っている。一方で送球は、少し雑に見えなくはありません。69試合で10失策ということで、1シーズン143試合フルにNPBで出続けたら21個失策している計算になります。ちなみに球界の名手・菊池涼介(広島)は、138試合で10失策。やはり、堅実なプレーヤーというほどの守備ではないようです。





(打撃内容)

 今シーズンの打撃成績は、69試合 2本 27点 打率.276厘 と平凡な成績です。しかしこの成績でも、投高打低のアイランドリーグでは3位に入る打撃成績でした。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられています。腰を深く沈め、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスもとれています。打席でも集中力が感じられ、良い構えではないのでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者ポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。コツンコツン当てて来る単打マンのようなタイプに見えますが、打球はフライの多いタイプです。むしろ、足を活かした打撃はあまり見られません。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、ほぼ真っ直ぐに踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く打ちたい万能型です。

 踏み込んだ前の足は、インパクト際にブレずに止まっています。そのため低めの球や逃げて行く球にも食らいつくことができるのでしょう。特にタイミングを上手く合わせるというよりも、しっかり踏み込んで来るタイプかと。打席では、結構ファールで粘る嫌らしい姿が見られます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、ボールを力みなく呼び込めています。バットの振り出しが良く、インパクトまでスパンとキレイに振り抜けます。多少バットの先端であるヘッドが下り気味なところはあるのですが、ボールを下から上にすくい上げるように捉えるので、打球に角度がつきやすいといったタイプ。

 ボールを広い面で捉えるタイプではないので、打ち損じや確実性には欠けるものの長打が出やすい形です。意外ですが、インパクトまでは無駄がなく、それでいてインパクト~あとは強打者タイプのスイングをしてきます。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが静かで、目線の上下動が小さく頭が動きません。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸が安定しています。調子の波も、比較的少ないと考えられます。

(打撃のまとめ)

 打撃技術は高く、かなり完成度の高い打者だと言えます。また足で揺さぶったりファールで粘ったりするプレースタイルでありながら、スイングは意外にフライが多く転がすタイプではありません。それでいてヘッドスピードも鋭く、ひ弱さは感じられません。

 228打数で30三振なので、三振比率は13.2%。リーグレベルもありますが、かなりコンタクト能力は高そう。四死球率は15.8%と、これもかなり高めでボールを見極める眼も確かなものがありそうです。


(最後に)

 内村賢介選手の独立リーグ時代に比べると、走力では良い勝負かもしれませんが守備力では劣るように感じます。また内村を初めてみたときには、ピタッと構えた時から決まっており隙き無しの「鋭さ」が感じられ只者ではないものがありました。そういった内面から滲み出てくる凄みは、内村選手に比べると劣る気がします。

 その一方で、打撃の潜在能力・現時点での技術はかなり高いのではないかと。実は走力や守備力以上に、NPBで光るのは打撃かもしれないと思わせるものがあります。内村のひ弱さがスイングにはないですし、プロの環境・良い指導者に巡りあえれば支配下を勝ち取る可能性もあるかもしれません。指名リストには載せませんが、ちょっと打撃では面白いかもと思わせるものがありました。数年後、どのような存在感を示せているのか密かに楽しみにしたいです。


(2019年 リーグ戦)