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加藤 壮太(巨人)外野手のルーキー回顧へ







加藤 壮太(21歳・BC武蔵)外野 187/89 右/左 (中京学院大中京出身)





「思ったほど速くない」 





 今シーズンBCリーグで29盗塁を記録した 加藤 壮太 の一塁到達タイムが、思ったほど速くないのが気になった。187センチの大型ながら、俊足が売りというはずだったのにだ。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁到達タイムは、4.13~4.38秒 ぐらいと、ドラフト指名される左打者としては平凡なタイムになってしまっている。それでもBCリーグで29盗塁を決めていることからも、その走力以上に盗塁を決められる技術があるのかもしれない。しかしタイムを観る限りは、プロで足を売りにして行けるほど特別なものは見られなかった。それはタイムだけでなく、生で走っている姿をみてそう感じる部分もあった。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 むしろ私の目を惹いたのは、広い守備範囲にの方だった。肩も基準~それ以上のものがありそうだし、打球勘・球際でのキャッチングなども悪く無さそう。むしろプロでの彼の売りは、守備の方なのではないかと思えてくる。





(打撃内容)

 BCリーグ参加3年目となった今年は、67試合 7本 35打点 29盗塁 打率.310厘 。しかしこの選手のプレー2試合ほど生で見たが、ピンと来るものは感じなかった。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて、グリッピは下げ気味に添えてリラックスして構えます。腰の据わりも悪くなく、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも取れています。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 足をうまく使ってタイミングを図るというよりも、強く踏み出して強い打球を重視したスタイル。踏み込んだ前の足は動かず止まっており、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力むことなくボールを呼び込めている。ただしバットが引くのが遅れて、振り遅れないように注意したい。バットの振り出しはインサイド・アウトという感じではないが、外の球でも大きくなロスなくインパクトまで振れている。バットの先端であるヘッドも下がらないので、フェアゾーンにボールは飛びやすい。

 スイングを観る限りは、打球が上がるタイプというよりも、野手の間を抜けて行くタイプ。あとは、少々引っ掛けるというかこねてゴロになりやすいので、そのへんは気になる材料か。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は平均的。身体開きは我慢でき、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて軸回転ではスイングできている。比較的調子の波は、少ないタイプなのではないのだろうか。ただし内角の捌きは、やや窮屈な感じがした。

(打撃のまとめ)

 観戦した2試合では、3本のヒットを放って魅せた。ただし当りとしては、それほどインパクトの残るものではなかった記憶している。特に当て勘に優れているとか長打力が凄いというわけでもなく、それでいて甘い球は逃さないといった「鋭さ」みたいなものも私には感じ取れなかった。


(最後に)

 高卒3年目で形になってきた選手で、守備・走力とある大型野手。そういった意味では、プロでもファームで漬けて数年後どうなっているか?という部分に期待しての指名なのだろう。育成ならば指名もあるかなと見ていたが、やはりそういった判断になった。ただし指名リストに名前を残そうというほどの魅力は、私には残念ながら感じられなかった。数年後、私の見立てに反してびっくりさせてくれる日を待っている。


(2019年 BCリーグ戦選抜 プロ・アマ交流戦)