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樋口 龍之介(日ハム)内野手のルーキー回顧へ







樋口 龍之介(25歳・BC新潟)二塁 168/75 右/右 (横浜高-立正大出身) 





「面白い」 





 BC選抜が巨人と行った試合で、3安打を放った 樋口 龍之介 。上背はないがガッチリし体格から繰り出される打球は強烈で、見ていて非常に面白い選手だと思ってみていた。しかし立正大卒の大卒3年目の年齢であり、プロ入りするには野手としては微妙な年齢に差し掛かっていた。そういった意味では、よくぞ指名してくれたという思いは強い。


(守備・走塁面)

 残念ながら一塁までの到達タイムは計測できなかったものの、実際走っている姿をみると走塁は期待できません。しかしBCリーグでは、66試合で11盗塁。全く動けない選手ではないようですが、プロで足を売りにアピールすることは無さそう。

 セカンドの守備は、実に粘っこい動きをします。守備範囲が広いかは別にして、球際ではかなり上手いのではないかと。66試合で失策はわずか3個で、セカンドとしての安定感は光ります。BC選抜ではサードもやっており、地肩もまずまずといった感じ。守備に関しては、二塁・三塁あたりならば、すぐにファームに入って行けるレベルにあるとみています。


(打撃内容)

 今季の成績は、66試合 19本 69打点 11盗塁 打率.354厘 と、本塁打は2位・打点3位・打率4位 と上位に位置づけていました。今年のBCリーグの日本人打者では、最上位クラスの打者に位置づけられます。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスにも優れている。グリップを付近を動かしながら自分のリズムを刻み、リラックスして打席に入れているところは良いところ。打席に入るときもしっかり足場を馴らすなど、打撃へのこだわりを強く感じます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出すことで様々な変化にも対応しやすい、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。そのため本質的には対応力を重視した打者であり、ヒットの延長線上に長打があるといったタイプではないのでしょうか。逆に追い込まれると、極めて始動を遅らせて小さなアクションで対応しようとします。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 早めに足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの時間は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。特に空中で球種によって踏み出すタイミングを図っているようで、タイミングの合わせ方が上手いのが印象に残ります。

 またコースによって、真っ直ぐ踏み出したりインステップになったりアウトステップ気味になったりとコースによって自在に変わっていました。力強く踏み出す選手であり、また踏み出した前の足はしっかりインパクトの際に止まります。そのため外に逃げる球や低めの球にも、食らいつくことが可能です。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しは、少し遠回りに出てくるものの、インパクトの際のヘッドの位置などをみると許容範囲ではないかと。バットのしなりを活かし、大きな弧を描きながら最後まで力強く振り抜きます。実にスイングも、力強く感じました。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 目線の上下動は結構動くので、球筋がブレやすくなるので注意は必要。身体の開きはしっかり我慢でき、軸足の内モモの筋肉にも強さが感じられます。ここの筋肉が発達していると、強烈な打球を生み出す原動力になります。軸足が少し前に傾きかけるときがあるので、身体がツッコミ過ぎないように注意して欲しいところです。

(打撃のまとめ)

 この身体で結果を残しているだけに、技術的には非常に高いものがあります。あとは、NPBのスピード・キレに順応できるかではないのでしょうか。タイミングの合わせ方もうまく、強く遠くに飛ばせることもできる選手です。こと三軍レベルの投手相手ならば、充分対応できていました。


(最後に)

 プロのスピード・キレというものに、25歳から順応して行けるかに懸かっています。技術的には確かなものがあり、精神的にも強そうに見えます。まずは二軍で結果を残すことが求められますが、すぐに攻守で二軍戦に入って行けるレベルにはあるのではないのでしょうか。プロの球への順応に戸惑い、そこからリズムを崩さないことを祈ります。

 一軍のレギュラーまで厳しいかもしれませんが、一軍半選手として代打や試合途中からの守備固めなどでの起用は一年目から可能かもしれません。上手くプロの世界に入って行ければ、一年目から支配下を勝ち取ることも期待できそう。個人的には、こういった選手が何処までやれるのか非常に注目しております。育成会議での指名でしたが、☆ を付けてみたいと思わせてくれる選手でした。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2019年 BCリーグ選抜)