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浜屋 将太(西武)投手のルーキー回顧へ







浜屋 将太(20歳・MHPS横浜)投手 175/75 左/左 (樟南出身) 
 




「プロ入りも見えた」 





 春先のスポニチ大会の時は、MAX145キロした 浜屋 翔太 。この夏の都市対抗では、MAX147キロ まで数字を伸ばしていた。145キロを記録したのは横浜スタジアムのガンだったが、私のガンでは88マイル(141キロ)止まり。果たして、今の東京ドームのスピードガン表示を素直に信用して好いのだろうか?


(投球内容)

 鹿児島の樟南高校時代は、130キロ台のセンスが勝った左腕といった感じだった。滑らかな体重移動・柔らかい腕の振りから投げ込んで来る、正統派のサウスポーなのは今も変わらない。

ストレート 常時140キロ台~MAX147キロ 
☆☆☆ 3.0

 都市対抗・トヨタ自動車戦で登板した時は、終盤にリリーフとして登場。常時145キロ前後は記録しており、思いのほかトヨタの各打者もストレートを空振りしていた。少なくても春先のスポニチ大会の時よりは、球速を増していたのは間違いない。おそらく今の東京ドームのガンは、私のマイガンと比べて2~3キロ速く表示されるといった感じではないのだろうか。

 キレ型で空振りが誘える分、甘く入ると長打を浴びやすいという側面がある。しかし都市対抗では高めに抜け気味の球はあったが、真ん中近辺に甘く入る球はなく 1回2/3イニングを無安打・1四球・4奪三振・無失点で乗り切った。

変化球 スライダー・ツーシーム・カーブなど 
☆☆☆ 3.0 

 都市対抗では、カウントを稼ぐ横滑りのスライダーと低めのボールゾーンに曲がりながら沈むスライダーを使い分けていた。ただし三振はボールになるスライダーではなく、ストレートで奪っていたのだが。また都市対抗ではよくわからなかったが、右打者にはチェンジアップというよりも少しだけ外角に逃げるツーシーム的なボールを持っていた。また余裕があると、緩いカーブなども織り交ぜてくる。

その他

 牽制は適度に鋭いものを混ぜてくるが、走者を刺すというよりも威嚇や間を取るために使ってくることが多い。クィックは、1.20~1.25秒(基準は1.15秒)とやや遅いが、走者を見て投げられる左腕には右投手よりも少し遅く投げる投手が多い。

 物凄く細かいコントロールがあるとか、微妙な駆け引きができるわけではない。しかし経験豊富な投手なのだろう、マウンド捌きは洗練されている。

(投球のまとめ)

 春先よりも、ボールの勢いや球速は実際に上がっていたようには思う。特に投球内容が大きく変わった感じはないが、プロのレベルにストレートが到達しつつあるのではないかという気がする。現状は、プロの先発を任されるのにはスケール不足。しかし短いイニングならば、一年目から一軍半ぐらいの位置づけにはなるかもしれない。高卒3年目の若手投手だけに、ある程度の上積みも期待されて評価されることになりそうだ。


(投球フォーム)

 スポニチ大会でもフォーム分析をしたので、その時と何か変化があるのか気にしてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5 

 お尻はの落としに甘さは残すものの、身体を捻り出すスペースが不十分といったほどではない。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークで空振りをという投球ができないわけではないだろう。ただし腕の振りがスリークォーター気味なので、カーブの曲がりやフォークの落差が中途半端になる可能性はある。

 「着地」までの粘りはそれなりで、身体を捻り出す時間はある程度確保できている。そのためキレや変化の大きな変化球も習得は可能ではないのだろうか。しかし現状は、変化球でカウントを整えられても、意外に空振りが奪えていない。春先と比べても、このへんは大きくは変わっていなかった。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内で抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑えることができている。したがって左右のブレは少なく両サイドへの投げ訳はしやすい。

 しかし足の甲の地面への押しつけは、まだ若干浅め。そのため浮き上がろうとする力を充分には抑え込めず、ボールが上吊りやすい。それでも「球持ち」は良く、ある程度指先でボールは制御できている。細かいコントロールはないが、四死球で自滅するような危うさはない。春先よりも「球持ち」は良くなっている感じで、ここは意識的に取り組んできたのかもしれない。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークを多投しなければ肘への負担は少ないのではないのだろうか。腕の送り出しにも無理はなく、けして力投派でもないので疲労を貯め難いのではないかと考えられる。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5 

 「着地」までの粘りもそれなりで、ボールの出どころもある程度隠せている。そういった意味では、けして合わされやすいフォームではないだろう。その証に、ストレートでは空振りを誘えることが多い。

 気になるのは、振り下ろした腕が身体に絡んでこなく腕が強く振れていない点。このへんが、なかなかボールになるスライダーを振ってもらえない理由かもしれない。ボールには適度に体重を乗せられるようになりつつあり、球速が増してきていることも理解できる。

 腕の振りに勢いがないのは、春の寸評でも指摘してきたポイント。その代わり「球持ち」が良くなりボールにもある程度体重を乗せて投げられるようになってきており、そのへんは短期間でも良くなっている部分ではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」が改善されつつあり、「球持ち」も粘っこくなってきる。制球を司る動作では、足の甲の押し付けにまだ甘さが残るためボールが上吊りやすい。故障のリスクは低めで、将来的にもっとスライダーを振らせられる可能性は秘めたフォームだと考える。そのためには、腕の振りをもう少し鋭くしたい。

 短期間の間ではあったが成長の跡は感じられ、それが実際の投球にも形として現れてきていた。


(最後に)

 春先はボーダーラインかなといった評価で、指名リストに入れるほどかは悩んでいた。しかし今ならば、指名リストに入れられるだけの内容にはなってきたのではないかと考えられる。個人的な評価は下位指名級だが、高卒3年目の若さと左腕であることを考えると、中位(3位~5位)ぐらいの間に、指名する球団が出てきても不思議ではないだろう。現状は一軍半レベルだと思うが、プロ入り後の上積みがあれば、数年後は貴重な戦力へ育ってゆくのではないのだろうか。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2019年 都市対抗)









浜屋 将太(20歳・MHPS横浜)投手 175/75 左/左 (樟南出身) 
 




  「着実にレベルアップ」





 昨夏見たときは、常時130キロ台中盤~後半程度で物足りないものがあった 浜屋 将太 。しかしスポニチ大会では、コンスタントに140キロ台のボールを投げ込むなど、明らかにこの半年ぐらいの間にパワーアップ。高卒3年目の今年、プロ入りを意識できるレベルにまで引き上がってきた。


(投球内容)

 左のスリークォーターから投げ込む好投手で、高校時代からマウンド捌きは洗練されており、コントロールにもまとまりのある投手だった。

ストレート 130キロ台後半~MAX88マイル・141キロ 
☆☆★ 2.5

 ハマスタのスピードガンでは、常時140キロ台~MAX144キロを記録。神宮のガンでは、常時130キロ台後半~MAX145キロまで到達。私のガンでは、2試合での最速は88マイル・141キロだった。以前よりもボールがビシッと来る感じになり、勢いを増している間違いない。しかしキレ型の球質ゆえに、今でも甘く入ると簡単に長打を許してしまうところは変わっていません。また制球もストライクゾーンには簡単に集められるものの、真ん中~高めの高さに甘く入ることが少くないのは確かです。

変化球 スライダー・ツーシーム・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 スリークォーターの腕の振りを活かし、横滑りするスライダーを武器にしています。スライダーはいつでもカウントを整える上に、左打者の外角低めのゾーンにも集まりやすく、ここで三振を奪うことができます。またチェンジアップ系のボールもあるのですが、この球はタイミングが狂わされるというよりも、小さくツーシームのように右打者の外角に逃げてゆく感じ。また余裕があると、緩いカーブを使ってきます。

 一通りの球種があり、その球でカウントを整えられる。変化球に関しては、全体的に低めに集められます。左右の打者に対し、変化球はうまくコーナーに散らすこともできています。

その他

 それほど鋭い牽制は入れて来ないで、間をとるために使う感じ。打球への反応などフィールディングの動きは悪くなく、ベースカバーの入りなどは素早い。クィックは1.25秒前後とやや遅いが(左腕は右腕に比べて遅い選手が多い)、左投手としては平均的なタイム。

(投球のまとめ)

 左のスリークォーター独特の、左打者の背中越しから来る球筋なので、左打者にはやや厄介な投手だと言えよう。そのぶん、右打者からはボールがみやすい。気になるのは、速球の球速こそ上がったものの、全体に真ん中~高めに集まりやすく長打を喰らいやすいということ。特に彼のようなキレ型の球質だと、打ち損じが少く長打を食らってしまうことも少ないない。実際私が見ていた試合では、2本のホームランを浴びていた。それでも高卒3年目の若さ・さらに左腕ということも加味すると、ドラフト候補として各球団から注目される存在になってきたことは間違いないだろう。





(投球フォーム)

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足は地面に向けて伸ばしているものの、ある程度お尻は三塁側(左投手の場合は)に落ちています。したがって身体を捻り出すスペースはある程度確保できており、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げようとしても窮屈になることそれほどありません(実際は腕の振りがスリークォーターなので適しませんが)。

 「着地」までも広めにステップをとっており、身体を捻り出す時間はある程度確保できているように見えます。そのためキレや大きな変化も期待しやすいフォームであり、将来的には武器になる変化球を身につけても不思議ではないでしょう。多彩な変化球を投げることができ、かつ決め球となる球種を習得して行ける可能性はある程度感じられます。


<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 腕が身体から離れブンと振られ、軸がブレやすいフォーム。それでもグラブを内に最後まで抱えることで、ある程度のところで外に逃げようとする遠心力を抑え込めており、大き乱れるのを防いはでいます。

 足の甲の押し付けがツマ先を引きずる感じで浅く、ボールが上吊りやすいフォームだとわかります。さらにリリースを見ると肘を立てて投げるフォームではないので、ボールを押し込み難い上に、「球持ち」も並なので真ん中~高めに集まりやすいのでしょう。

 両サイドへの制球はアバウトながらもストライクゾーンには投げ込めるぐらいのコントロールがあり、高低へのコントロールは力を入れて投げる球は真ん中~高めに集まりやすい傾向にあります。そのへんが、甘く浮いた球を痛打される原因になっているのではないのでしょうか。


<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、ある程度のスペースが確保でき窮屈にはそれほどならないのでは? ましてボールを投げるまでに時間を要する、カーブやフォークといった球種は滅多に投げませんので悲観する必要は無さそうです。

 腕の送り出しを見ていても、無理な角度はなく肩への負担は少なそう。多少身体から離れてブンと腕が振られ負担は感じられるものの、力投派でもないので疲労も溜まり難いのではないかと感じます。全体的には、故障のリスクは低めではないかと考えています。


<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りをある程度作れるので、イチ・ニ~の・サン の「ニ~の」のタメがある程度作れ合わされ難い。またボールの出処も隠せているフォームなので、甘いところに入って来なければ痛手は喰らい難いと考えられます。

 気になるのは、腕の振りが弱く勢いがないので、打者から空振りを誘い難いのではないのか? 体重移動もリリース時に体重が乗りきれていない上に、ボールに素直に力が伝えられていないのではないかという感じになっている。フォームにロスがあり、打者の手元まで強く重い球が行っていないと考えられる。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」で言えば、「球持ち」が並なのと「体重移動」」に課題を抱えているように見える。制球を司る動作にも球が浮きやすい問題があるが、故障のリスクや将来的に決め球になる球を習得できるのかに関しては悪くないフォームではないのだろうか。課題は、いかにして作り出したエネルギーを上手くボールに伝えられるフォームにして行けるかではないのだろうか。


(最後に)

 現状は、ドラフトボーダーラインぐらいの選手だと評価します。即戦力として見込めなくても、高卒3年目の若さと左腕という稀少価値で指名して来るような球団が出てくるかもしれない。しかしボールの強さなどの観点からすると、まだ一軍での活躍は厳しいかなといった印象は受けた。これからシーズンが本格化する中で変化が見られるようになれば、指名圏内への可能性も充分出てくるだろう。まずは、今年一年間追いかけてみる価値はありそうだとわかったことが収穫だった。


蔵の評価:
追跡級!


(2019年 スポニチ大会)