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松山 真之(オリックス)投手のルーキー回顧へ







松山 真之(19歳・BC富山)投手 174/76 右/右 (都立四商出身) 





 「フォームはいい」





 都立四商からBC富山に入団した 松山 真之 は、参加1年目にしてオリックスから指名された。実績や実際の投球はまだまだなのだが、なかなか躍動感があって良いフォームをしている投手なのだ。


(投球内容)

中背の体格から、結構全身を使って投げ込む力投派です。

ストレート常時140キロ前後~中盤 
☆☆★ 2.5

 最速は147キロと言われており、適度に勢いを感じさせる速球を中心に投げ込んできます。ボール自体は悪くないのですが、全体的に高めに甘く入ってくる球が少なくありません。それほどコースを突くとかそういったコントロールはなく、ストライクゾーンの枠の中にガンガン投げ込んでくるタイプかと。今シーズンのBCリーグ戦では、24回2/3イニングで22安打と、被安打率は 89.4% と高く、ストレートに狙いを絞られて打ち返されていたことがわかります。

変化球 スライダー 
☆☆★ 2.5

 小さく身体の近くで曲がるスライダーを、時々投げてきます。この球ではカウントを稼げますが、基本的に三振を奪う球ではありません。それでも奪三振は、24回2/3イニングで19奪三振。1イニングあたりの奪三振は、7.72個。リリーフ投手の目安は、0.9個ぐらいなので決め手不足は感じます。けして三振比率が低いわけではないのですが、まだNPBの打者を仕留めるほどの球は速球含めてないように見えます。確認できませんでしたが、他にもカーブやフォークはあるということです。

その他

 クィックは、1.0秒前後で投げ込めるなど素早いです。牽制やフィールディングは確認できませんでしたが、けして動きが緩慢な選手には見えませんでした。またボールをじっくり持ってから投げるなど、けして何も考えないで投げているわけではありません。

(投球のまとめ)

 気になるのが、24回2/3イニングで31個の四死球を出すなど投球回数を上回る四死球です。力んでボールが上吊りやすい傾向にはありますが、正直そこまでストライクが入らないという感じには見えなかったのですが・・・。もう少しスライダーを上手く使って、カウントを整えて欲しいと思います。どうしてもこうなると、防御率が 4.74 と物足りなかったも頷けます。いずれにしても、今すぐ云々という投手ではありません。プロの環境で良い指導者に恵まれて、どのように化けるかに懸かっているのではないのでしょうか。





(投球フォーム)

 セットポジションから、勢いよく足を引き上げて来るリリーフタイプのフォームです。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻は一塁側に落とせており、身体を捻り出すスペースを確保。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に大きく落ちるような球を投げても無理はありません。

 前に大きくステップさせることで、「着地」までの粘りも作れています。したがって身体を捻り出す時間は確保できているので、キレや曲がりの大きな変化球を習得できる可能性があります。プロで磨かれば、フォークなどが大きな武器になってくるかもしれません。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に抑えられています。横のブレが小さくなるはずなのですが、力み過ぎなのか? 左右のコントロールも安定していません。

 足の甲の地面の押しつけはできているようには見えるのですが、その時間が短いように見えます。もしそうだとすると、浮き上がろうとする力を充分に抑え込めず、ボールを上吊る要因を作っています。けしてまだ、球持ちも良いというほどではないので押し込めていない可能性もあります。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になることは少ないかと。そのため肘への負担は、あまり気にしなくても良さそうです。しかし今後フォークの精度が上がって依存度が高くなった時には、身体のケアには充分注意して欲しいところです。

 腕の送り出しに関しては、多少ボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がって無理があるようには見えます。しかし悲観するほどではないので、肩はへの負担もナーバスにならなくてもと思います。ただし力投派なので、疲れが溜まりやすくそこからフォームを乱してしまう恐れが。そういった歪みが、故障へ繋がることは少なくはありません。いずれにしても、負担のためにフォームを変える必要はないと思いますが、身体のケアには充分留意して欲しいところです。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までも粘りを作れている上に、ボールの出どころも隠せているのに被安打が多いのは気になります。恐らくこれはストレートの割合が多く狙いが定めやすい配球と、甘いゾーンへのボールが多いからでしょう。

 腕は強く振れており、勢いがあるので変化球などでも空振りが誘いやすいはず。ボールにも体重を乗せてからリリースできているように見え、地面を強く蹴り上げて躍動感のあるフォームを演出します。そういった意味では、下半身のエネルギー伝達は素晴らしいです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」にもう少し粘っこさや押し込みが欲しいと思える部分はあります。制球を司る動作は思ったより良いですし、故障のリスク、将来的に武器になる変化球を習得できる可能性など考えると、土台となるフォームには魅力が感じます。


(最後に)

 実際の投球内容はまだまだに見えましたが、土台となるフォームには可能性を感じます。素直に筋力や柔軟性を伸ばしつつ、フォームの欠点取り組めれば面白いのではないのでしょうか。本格化するまでに球団が我慢できるのか心配ですが、結果が出なくても3年ぐらいは見守って欲しい選手でした。ひょっとすると、大化けするかもしれません。


(2019年 リーグ戦)