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上間 永遠(18歳・徳島ID)投手 180/79 右/右 (柳ヶ浦出身) | |
大分の柳ヶ浦高校から入団して1年目の 上間 永遠 は、高卒ルーキーながら四国アイランドリーグの最優秀防御率に輝いた。ストレートでガンガン押すというよりは、多彩な変化球を織り混ぜて来るコンビネーション投手だった。 (投球内容) 4/7 のシーズン開幕直後の投球を確認しましたが、非常に正統派の好投手といった感じがします。 ストレート 常時135~140キロぐらい ☆☆★ 2.5 MAX148キロという話でしたが、先発だとそれほどビックリするような球を投げ込むわけではありません。むしろ球威・勢いという意味では、まだまだ高卒一年目で物足りないものを感じます。このへんは、身体ができたときに、どのぐらいのボールが投げられるのか?といった化けるかどうかが、今後の大きなポイントになりそう。ストレート自体は、結構バラついてあまり細かいコントロールは無さそうです。 変化球 スライダー・チェンジアップ・フォーク・カーブ・カットボールなど ☆☆☆ 3.0 スライダーやカットボールでカウントを整えつつ、結構チェンジアップを使って的を絞らせません。余裕があると緩いカーブを使ったり、追い込むとフォークのような縦の変化も使ってきます。まだ絶対的な球種はありませんが、変化球でカウントが取れるので、制球に苦しんでピッチングが組み立てられないということは無さそうです。 その他 クィックは、1.15~1.25秒 ぐらいと若干遅い印象はあります。フィールディングも、ボールを捕りに行く意欲は感じましたが、送球ミス。まだまだこの辺は、プロで鍛えられることになるのではないのでしょうか。 特に間を使って相手を焦らすとか、微妙な出し入れができるとか、そういった繊細さはありません。あくまでもボール1つ1つの変化・球速差で芯をズラすはずそうとする投球です。 (投球のまとめ) まだ肉体的にも発展途上の投手だと思うので、これからストレートが化けるかに懸かっているのかと。それでも現段階で、アイランドリーグの最優秀防御率に輝くぐらいのピッチングはできるので、素材としては面白いと思います。体つきがビシッとして来てボールが来るようになれば、普通にNPBでも先発を任される投手になるのではないのでしょうか。 (成績から考える) 今シーズン残した成績から、その可能性を模索したいと思います。アイランドリーグでの成績は 15試合 4勝4敗 70回2/3 48安 26四死 64奪 防 1.40 1,被安打は投球回数の80%以下 ◎ 被安打率は、61.1%と、充分に合格点です。多彩な変化球を駆使して、相手に的を絞らせない投球ができています。 2,四死球は、投球回数の1/3以下 △ 四死球率は、36.8% と、基準である33.3%を若干上回っている。細かいコントロールないが、30%台ならば許容範囲ではある。この投手、肘痛などもあって調子を崩していた可能性もあり、そういった時期に数字を悪化させたのかもしれない。この日の投球を観ている限り、制球で苦しむようには見えなかった。 3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎ 1イニングあたりの奪三振は、0.91個。先発投手の場合0.8個以上なのでクリアしているだけでなく、リリーフの基準である0.9個も超えてきている。追い込むとフォークが落ちるので、今後この球を全面に出したピッチングスタイルに変わってくるかもしれない。 4、防御率は 1点台以内 ◯ 防御率は1.40と、充分基準を満たしている。まだ0点台で圧倒するような数字ではないが、高卒ルーキーながらピッチングができることを証明した。 (成績からわかること) 過去のアイランドリーグからNPB入りした選手たちと比べても、成績は上位です。正直まだ発展途上の投手であり、ここまで数字を残せているとは思いませんでした。ただし観ていると、迫力や素材で魅了するというよりも、コントロールと多彩な球種で的を絞らせないタイプ。それが、功を奏している感じがします。 (最後に) 一年目から一軍の戦力というほど絶対的なものは感じられませんが、西武はある程度基礎ができている選手を、1,2年ぐらいかけて一軍の戦力に育てるということが得意な球団です。そういった意味では、良い球団に入ったのではないのでしょうか。 個人的にはまだ「旬」だとは思わないものの、すでにアイランドリーグで学ぶことは少ないでしょうから、野球に集中でる環境に進んだことは良かったと思います。指名リストには名前は入れませんが、数年後にどうなっているのか楽しみな選手ではあると思います。身体がビシッとしてボールがしっかりしてくれば、一軍の先発も期待できるようになるかもしれませんね。 (2019年 前記リーグ戦) |