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韮沢 雄也(広島)内野手のルーキー回顧へ







韮沢 雄也(花咲徳栄3年)遊撃 177/80 右/左 
 




 「打撃はいい」





 花咲徳栄伝統の、対応力の高い打撃が自慢の 韮沢 雄也 。この夏の甲子園では緒戦で破れてしまったが、バットコントロールの巧みさは健在だった。∪18ワールドカップの代表にも選ばれ、8試合で.345厘と活躍した。


走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間は、左打席から4.3秒台ぐらいと遅め。ドラフト指名されるような左打者ならば、4.1秒ぐらいでは駆け抜けたい。この夏の甲子園・∪18の8試合・夏の埼玉大会の7試合を含む16試合で、盗塁は僅かに1個。走塁で、アピールするタイプではないことがわかる。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 甲子園では慎重になって打球を下がって捕るなど、良く言えば丁寧・悪く言えば思いっきりの悪いプレーが気になった。一歩目の反応・鋭さが鈍く、自分の届く範囲のボールを無難にさばく。プロのショートとしては厳しいが、二塁・三塁あたりをこなせればといった感じだろうか。ただし地肩はかなり強い部類なので、深いところからでもアウトにはできる。

 ∪18のワールドカップでは、一塁手として起用される。ショートの人材だと考えなければ、守備も悪くはないだろう。


(打撃内容)

 二塁打・三塁打なども少なく、ボールに合わせるのがうまいアベレージヒッター。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢はまずまずで、全体のバランスも取れている。構えに力みがなく、柔らかく立てているところも良いところ。

<仕掛け> 平均的

 一度引き上げた足をベース側につま先立ちさせるが、再び動き出すのが「平均的な仕掛け」ぐらい。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多くみられます。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽くステップさせて、真っ直ぐから少しベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ~アウトステップ気味であり、真ん中~内角寄りへの意識が強いタイプかと思います。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まっているので、アウトステップ気味でも低めや逃げてゆく球にも膝を柔らかく使って対応できます。その一方で少し腰が早く逃げる傾向があり、外の球を強く叩けないのではないかと心配にもなります。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなく呼び込めているところは良いところ。ただしグリップが奥まで入り過ぎでバットの出が少し悪いのが気になります。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではないのですが、外の球をさばくにも大きなロスは感じません。内角の球には対しては、肘をたたんで上手くさばけます。

 特に外角低めの球に対しては、バットのヘッドを残して上手くレフト方向に流せます。スイングスピードが凄く速いとかいうことはないのですが、ボールに合わせるのがうまく無駄のないスイングに特徴があります。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は静か。腰が早く開くのは気になるものの、足元は止まっているのである程度のところで我慢できます。軸足の形を崩してでもボールを捉えることができる特殊技能の持ち主で、軸足には非常に粘りが感じられます。


(最後に)

 将来的にショートの人材と考えなければ、球際では安定していますし守備は悪く有りません。またこの手のアベレージタイプにしては、走力がないのは気になります。しかし膝の使い方・内角のさばき・タイミングの合わせ方・無駄のないスイング軌道など、優れた打撃の資質を持っています。

 ドラフトでは5位前後ぐらいの選手だとは思いますが、活かし方次第ではプロでも高いアベレージを残してくれそう。彼をうまく活かせるチーム事情のチームに、ぜひ入って欲しいものです。打撃は、今年のニ遊間候補の中でも上位の力量だと思います。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2019年夏 甲子園)









韮沢 雄也(花咲徳栄2年)遊撃 176/80 右/左 
 




                    「バッティングはいい」





 好守好打の遊撃手のイメージの強い 韮沢 雄也 。個人的には、ショートとしてよりも打者として興味深い選手との印象を持った。


(守備・走塁面)

 中学時代から、ジャイアンツカップにシュートして出場していた。動き自体はシャープで、けしてフットワークなどが悪い選手ではない。ただし少々、バウンドの合わせ方が下手なのかなといった印象を受ける。そのため見ていると、結構キャンチングミスをする場面が多い。動きや守備範囲等は悪くないけれど、球際での守備が課題ではないのだろうか。

 深いところからの逆シングルからでもアウトにできるように、肩はかなり強い部類。このへんは、上のレベルでもプロで充分通用する部分ではないのだろうか。こと守備に関しては、見た目から受ける印象ほどは安定感がないように感じる。夏までに、何処まで安定感を増してくるだろうか?

 それ以上に気になるのが、この手のタイプにしては走力がない点である。セーフティバントのようにいち早く駆け出しても、一塁まで4.15秒前後と基準レベル程度。普通に走ったら、4.3秒台ぐらいであり走力が物足りない。甲子園の2試合と予選の6試合の8試合で僅か1盗塁と、足でアピールして来ることも少ない。

 いっけんすると俊足・好守の選手に見えるのだが、捕球と走力には課題を残し、けして走力や守備力を売りにするほどのレベルには達していないことがわかる。





(打撃内容)

 この選手の売りは、対応力の高い打撃にあると考えられる。旧チームから、三番打者を任されていた。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的な左打者。腰の据わり具合・全体のバランスはそこそこで、両眼で前を見据える姿勢は好い。球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができている。

<仕掛け> 平均

 ベース側に足を一度持って来るが、本格的に動き出すのは「平均的な仕掛け」に属するタイミング。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られるタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。アウトステップするように、内角を意識したスタイルとなっている。

 踏み出した前の足は、インパクトの際にもブレずに我慢。そのため外角でも高めの球や甘めの外角球ならば充分にさばけるはず。内角にはスペースができるので、バットが振り抜きやすくなっている。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である、「トップ」を作るまでは自然体で力みは感じられない。けしてインサイド・アウトといったスイング軌道ではないが、内角の球に対しては肘をたたんで上手くさばけている。また外の球に対しても、ロスなくバットが出てきてスイングに悪い癖がない。

 それほどスイングの弧が大きいとか、フォロースルーが効かせるというタイプではない。あくまでも素直に打ち返すといった選手で、打球が上がるタイプではなさそうだ。スイング自体は鋭く、上のレベルでの順応性も高そう。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは大きくはなく、目線の上下動は少なめ。体の開きは我慢できており、軸足の粘りも良く安定している。

(打撃のまとめ)

 それほど長打で魅了するタイプではないが、技術的にも実際見ていても対応力は高いように見える。バッティング自体が柔らかいし、それでいて鋭さも持っている。特に悪い癖がなく、上のレベルでも素直に順応して行ける技術とセンスを持っているのではないのだろうか。


(最後に)

 夏までに、何処まで守備の安定感を増して来るのか注目したい。打撃に関しては、夏までにかなりのレベルまでゆくのではないのかと見ている。打つことに関しては、小園 海斗(報徳学園-広島1位)ぐらいまで行っても不思議ではないだろう。

 ただし守備と走力などでは、その領域にゆくのは厳しいとみている。世代を代表するショートにはなると思うが、上位指名されるとかそういった選手ではないのではないのだろうか。上のレベルでは、むしろ打撃で存在感を示すタイプになるのではないかとみている。将来的に、プロでもショートを任されるほどの人材が見極めてゆきたい。


(2018年夏 甲子園)