19ky-41
澤野 聖悠(誉高校3年)遊撃 183/84 右/左 | |
甲子園では無安打に終わりながらも、才能の片鱗をのぞかせた 澤野 聖悠 。大型でも、スピード感のあるプレーが自慢の大型遊撃手だった。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムは、左打席から4.0秒前後という脚力を持っている。ただしこれは、セーフティバント時のタイムなので正確なものではない。夏の愛知大会では、8試合で1盗塁。チームの三番打者を担っていたが、それほど足でかきまわして来るほどではない。そのためプロレベルに混ぜると、平均的な脚力程度なのかもしれない。残念ながら、正確な走力は掴めなかった。 遊撃手としては、フットワークが身軽でスピード感を感じる。それほど細かい動きができるわけではないが、ダイナミックな守備にはスケールがある。ただし大型ゆえに細やかさに欠け、二塁もしくは下級生の時に守っていた三塁の方が適任かもしれない。地肩は強肩だということだが、甲子園での八戸学院光星戦では打球がほとんど飛んで来なく、送球は緊張のためか弱々しかった。 守備・走塁に関してもよく掴めなかった部分はあるのだが、プロに混ぜると平均的なのでは?といった感じ。ただし180センチ台の大型の割には動ける身体能力があるということで、一定の評価ができるということではないのだろうか。 (打撃内容) 甲子園では、3打数0安打に終わり力を発揮できずに終わる。夏の愛知大会では、1本塁打を含む打率.364厘 という内容だった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引き、グリップの高さは平均的。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはまずまずといった感じだった。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視する、アベレージヒッターに多く見られる始動である。そのため本質的には、ボールを飛ばすというよりも確実性を重視した打者なのではないかと。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、真っ直ぐから若干ベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。軽くベース側に踏み出すように、内外角さばきたいという思いがありながらも、若干外の球を叩くことに意識が強いのではないのだろうか。 踏み出した前の足も、インパクトの際にはしっかり止まっている。そのため逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができている。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは早く、速い球には立ち遅れ難い。振り出しはインサイド・アウトに振り下ろして来るので、インパクトまで最短距離でボールを捉えてくる。気になるのは、インステップばぶん内角が窮屈の割にスイング軌道は外角の球をさばくのにはバットのしなりを活かせないスイングだということ。そのためさばけるコースは、どうしても真ん中近辺と狭くなりがちだということ。今のスイングだと、木製バットだと外角の球が飛ばないように見える。 ボールを捉えてからは、非常に大きな弧を描き振りきって来る。そのため打球はオーバー・フェンスなどはし難いものの、二塁打や三塁打などが多いタイプではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。身体の開きは我慢できているが、足元で窮屈なのが気になる。内角寄りの球を、うまくさばける確率は低そうだ。 (打撃のまとめ) 打てるコースが狭いので、どうしても確実性という意味では物足りない。それでいてめっぽうスイングが鋭いとか当て勘が良いといった感じはして来ない。打撃はプロレベルの球に対応するのは、かなり時間がかかるのではないのだろうか。しかし幅が狭いということを除けば、技術的には低くない。この辺をうまく活かし課題を改善されて行ければ、面白いのではないのだろうか。 (最後に) 確かに守備でも走塁でも、大型の割には動けるといった感じはする。その一方で、全体で観ると走力も守備も平均的ではないかと。まして打撃もドラフト指名された選手としては低いレベルであり、ここからどうやって技量を引き上げて行けるかだろう。個人的には、走攻守全ての部分で特別なものは感じられず、指名リストに名前を残そうとは思わなかった。あくまでも大型の割に動けるという、ポテンシャルの高さに期待しての指名だったのではないのだろうか。 (2019年夏 甲子園) |