19ky-4
井上 広大(履正社3年)右翼 187/94 右/右 | |
今年のドラフト戦線では、高校~社会人に至るまで長距離打者は不足している。中でも、右打ちの外野手は最も手薄なポジション。そんななか、燦然と輝くのが、この 井上 広大 の存在である。井上は、夏の大阪大会で4本・甲子園で3本と量産し、最後の夏に本格化してきた印象を受けた。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの塁間は、右打席から4.4秒前後。これを左打者に換算すると4.15秒前後に相当する。これはドラフトに指名される右打者としては、平均をやや下回るタイム。この選手、下級生の時から右膝を痛めており、そのためなかなか満足のゆくプレーができなかったのだという。その影響は今もあるようで、走塁に関しては全力で走らないことも多い。 守備面:☆☆★ 2.5 けして打球勘が好くないし、頭を超えてゆくような打球にも諦めが早く追うのが遅い。足の問題もあるのだろうが、正直ライトの守備は頂けない。プロで売りになるような強肩の持ち主ではあるが、動きだけ見ているとプロではレフトかファーストあたりじゃないと厳しいのではないかとさえ思えてくる。ちょっとヤクルトにいた 広澤 克実 を思い出す。 (打撃内容) 膝の影響なのか? 春は腰が入らないスイングで物足りなかった。しかしこの夏は、かなりそのへんも改善されつつある。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を軽く引いて、グリップはあらかじめ捕手方向に添えます。重心を後ろ足(右足)にかけて立ち、腰の据わり具合・全体のバランスとしてはもう一つ。両眼で前を見据える姿勢は悪くないのだが、やや癖のある構えではあります。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。彼の場合本質的に中距離タイプだったのを、元々持っている恵まれた肉体のポテンシャルや技術の後押しで、ボールを飛ばせるようになっています。現在は、広角に打ち返す中長距離打者といった感じで、巨人の 岡本 和真 に近いタイプなのではないのでしょうか。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引きあ上げて、ベース側に踏み込んで来るインステップ。始動~着地までの「真」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。踏み込んで来ることからも、外角を強く意識したスタイルだとわかります。 春まで踏み込んだ時に、前の足が止まらずブレていました。しかしこの夏は、しっかり前の足が止まるようになり、外角に逃げてゆく球や低めの球にも対応できるようになったことが大きな成長。踏み込むぶん、どうしても内角は窮屈になりがちです。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめグリップはトップに近い位置にあり、速い球にも立ち遅れないで対応できています。バットの振り出しが少し遠くから回ってくるので、内角の球にバットが出難い。また外角の球に対しても、少しロスが感じられる。それでもインパクトの際にはバットの先端であるヘッドは下がっておらず、フェアゾーンにボールを飛ばしやすい。さらにフォロースルーの段階ではグリップは高い位置にあり、ボールを遠くに運ぶ後押しできている。特にこの選手が素晴らしいのは、インパクトの際にしっかりボールを押し込めるところ。このへんが、ボールにしっかり伝えられる原動力になっているのではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 目線の上下動は平均的で、身体の開きも我慢できるようになり、軸足は地面から真っ直ぐ伸びている。こういった選手は、調子の波が少ない選手が多い。この夏の大阪大会では、打率.407厘。甲子園でも6試合で、打率.429厘と安定した成績を残した。大型でも、けして脆さがないのが、この選手の大いなる魅力だろう。 (打撃のまとめ) 踏み込んだ前の足がしっかり止まるようになり、下半身が安定してきたところが春から大きく成長した部分。インパクトの際にしっかり押し込めるインパクトは魅力で、右にも左へも飛ばせる幅広さがある。何より強打者にしては、脆さというものがないところは高く買える。 (最後に) 心配なのは、足の状態。プロの長いシーズン・試合数・人工芝の中、今の足の状況でプロ入り後影響しないのかといったところは、各球団ギリギリまで調査するのではないのだろうか? この体格で、これだけ器用にそれでいて打球を飛ばせるといった選手は、今年のドラフト戦線でもほとんどいない。そういった意味では、3位以内では指名されるのではないのだろうか。貴重な、将来の中軸候補だと評価したい。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2019年夏 甲子園) |
井上 広大(履正社3年)右翼 187/92 右/右 | |
ドラフトの目玉・奥川 恭伸(星稜)が、この男の時だけは一球一球投げるタイミングを変えたり、力の入れて投げていた。選抜初戦の履正社戦において、唯一奥川を本気にさせた男、それがこの 井上 広大 だったのだ。 しかし結果は、4打数0安打。それも2つの三振を含む最後の打席はピッチャーゴロ。井上は完全に、この奥川に抑え込まれたのだった。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの塁間は、右打席から4.4秒前後。これを左打者に換算すると4.15秒前後に相当。これはドラフトに指名される右打者としては、平均をやや下回る。実際試合を見ていても、盗塁を仕掛ける場面を見たことがない。走塁への意欲は、けして高い選手だとは言えないだろう。 守備面:☆☆★ 2.5 右翼手としての打球勘は良くなく、守備範囲は広いとは言えない。球際でのキャッチングも、無難といった印象。しかし星稜戦では、ライト前の当たりから三塁へ向かう走者を刺したように、肩の強さ・コントロールはなかなか素晴らしいものを持っている。そういった意味では、送球に関しては充分プロ級だと評価できそうだ。 守備・走力は ドラフト候補としては 中の下 ぐらい。肩に関しては、プロでも強い部類として評価できそうだ。ちなみに三塁も練習していると選抜前から訊いており、無難に守れるレベルであるならば守備もアピールポイントになりそうなものだが。 (打撃内容) 昨秋みた時は、好い当たりでも外野フェンスの手前で失速し、あとひと押しが足りなかった。それは、腰の入りが悪いスイングに原因があるのではないかと指摘した。そのへんが変わってきていたのか、考えてみたい。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとまずまず。昨年よりは、構えにどっしり感が出てきて、好い構えにはなってきている。 <仕掛け> 遅すぎ 奥川が投げるタイミングを1球1球変えてくるのタイミングが取れず、リリース直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」を行っておりました。少しでも余分の動作を減らし速い球に対応しようという意図だったと思うのですが、ここまで遅い始動だとむしろ速い球に対応しきれません。また昨年までは、「平均的な仕掛け」をおこなっていました。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 リリース直後に小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が取れないので、狙い球を絞ってその球を逃さない「鋭さ」が求められます。さらに真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプかと。 気になるのは、踏み出した足元がインパクトの際にブレてしまっていて、「開き」を充分我慢できていなかった点。秋はしっかり止まっていたので、その辺は意識できれば止まるとは思うのですが・・・。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、特に速い球に立ち遅れている感じはしなかった。しかしバットの振り出しは少し遠回りに出てくるので、内角の球にはバットが出てきにくそう。それでもバットの先端であるヘッドは下がっておらず、大きな弧を描き振り切れている。フォロースルーも使え、ヘッドスピードも中々鋭い。上半身音使い方は、昨秋からほとんど変わっていないのでは? <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」が我慢できていないのは気になりましたが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて軸を起点に回転できていました。また軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。昨秋は、ボールに自分から追いかけてしまうところがありました。しかしこの選抜では、そういったところは我慢できていました。しかし今度は、「開き」が充分我慢できていないのが惜しい気がします。 (打撃のまとめ) 足元の盤石さや始動のタイミングは、昨秋まで出来ていた部分でもあるので、元に戻すことはそれほど苦にならないはず。問題は、内からバットが出てこないスイング軌道の修正でしょうか。身体が前にツッコミやすいフォームは改善されてきていたので、このへんは成長の証ではないかと思います。腰が入らないという違和感は、選抜では薄れてきた印象はあります。まだグッと入ってゆくほどではないのですが、この辺が夏に向けて変わってくると面白いと思います。 (最後に) 緒戦にあたった相手が、奥川だったというのもアンラッキーでした。そして彼の徹底マークにあい、バッティングをさせてもらえないまま甲子園を去りました。確かに技術的に未熟で対応しきれなかったのですが、ボール自体はしっかり見えていた感じで、その辺は彼の今後の可能性を考えると明るい材料かと。 守備・走塁とアピールに欠けるのですが、肩があるところを披露。素材としての面白味は、感じさせてくれました。問題は現時点だと、右のスラッガー候補としても中位~下位ぐらいが好いところで、そのぐらいの順位でプロ入りする意志があるのか?といった部分。なかなか下の順位ではプロ入りしない学校とのイメージが強いだけに、よほど本人のプロ志向が高くないと、進学なり就職を選択してしまうのでは?といった気がします。個人的な評価は、夏まで追いかけて最終的な判断を下したいと思います。 蔵の評価:追跡級! (2019年 選抜) |
井上 広大(履正社2年)右翼 187/92 右/右 |
「右のスラッガー候補」 19年度のドラフト戦線においては、なかなか長打力を売りにする選手が乏しい。そんななか選抜大会でブレイクすれば、一躍脚光を浴びそうなのが、この 井上 広大 。なかなか、興味深い長距離候補だった。 (守備・走塁面) まだ秋の福知山成美戦の模様しか、しっかり見られていない。特にこの試合では、走塁でも守備でも見せ場がほとんどなかった。打球も、ライトに飛んだ平凡な打球を処理したのみ。そのほかセカンドが追いすぎて、ライト前に落ちるポテンヒットぐらい。この2つの打球の動きを見る限り、守備範囲は狭そうで、それでもライトをやっているということは地肩はそれなりには強いのだろう。球際でのキャッチングは、無難といった印象だった。 三塁をやることもあり、そちらも無難に守れるレベルにあるという。選抜でも右打ちの三塁手としてアピールできれば、多いに希少価がは高まると思われる。いずれにしても守備・走塁に関しては、選抜でしっかりチェックしたいポイントだ。 (打撃内容) なんと言ってもこの選手は、パワフルなバッティングが売り。しかしまだ腰の入りが悪いので、打球がなかなかオーバー・フェンスしてゆかない。ここまでの高校通算本塁打は23本で、秋の近畿大会の南部戦でどでかいホームランをレフトスタンドに叩き込んだ。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わりが浅く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも並ぐらい。もう少し構えに、どっしり感みたいのが出てくると良いのだが。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる仕掛け。そういった意味では、天性のスラッガーではないのかもしれない。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げてまわしこみ、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込むように、外角を意識したスイングです。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに止まります。そのため逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことはできますが、もう少し腰がグッと入らないとボールにしっかり力が伝わり難いのではないのでしょうか。股関節の柔軟性と下半身を強化して、もう少しステップを広くとって踏み込んでボールを飛ばせるスイングを意識した方が良いと思います。今のままでは、高めに浮いた力のない球しか、ボールを遠くに飛ばせないかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である、「トップ」の形を作るまでは自然体。力みなく、ボールを呼び込めて行けています。バットの振り出しは、少し遠回り出てきて、内角の球にはバットが出難いのでは? 外の球に対しては、バットのヘッドもそれほど下がらないで振り切れています。 スイングの後ろも大きいですし、ある程度フォロースルーも使えてボールを運べます。ヘッドスピードも鋭く、振り出しの良さは感じます。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げはそれなりにあり、目線の上下動の動きも並。少し自分からボールに向かってしまう傾向があるので、体がツッコまないように注意したいところ。体の「開き」は我慢できており、軸足の安定感は並ぐらい。 (打撃のまとめ) けして当て感が悪いとは思わないのですが、下がうまく伝えきれていないのでオーバー・フェンスにできる球でも外野フライで終わってしまう残念な打球が多いのは気になります。このへんが、一冬の間に変わって来ると面白いと思います。 (最後に) 選抜ではアピールも含めて、三塁手で出場して来る可能性があります。そこで無難な守備力を示し、選抜初戦あたりで本塁打などを放つようだと一気にドラフト候補としてクローズアップされそうです。貴重な右の大型サードになりえる素材だけに、一気にドラフト戦線を駆け上がっていって欲しいものです。 (2018年秋 近畿大会) |