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菊田 拡和(巨人)内野手のルーキー回顧へ






菊田 拡和(常総学院)左翼&一塁手 182/94 右/右 
 




 「外を強く叩けない」





 今年の高校球界でも指折りの飛ばし屋である 菊田 拡和 。しかしそのスイングを観ていると、外の球をあまり強く叩けていないのが気になる。そのため打球も、芯で捉えている割にオーバー・フェンスしてゆかないのだ。それでも打球を飛ばせるところを非凡とみるか、木製バットだとより苦しくなるのか? そのへんの見極めは、意見が別れるところではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 残念ながら一塁までの到達タイムは計測できなかったが、けして足が速い方ではないだろう。全く動けないようには見えないが、プロで盗塁をバシバシして来るような走力は無さそう。

 元々内野手だったが、この夏は左翼の守備に。打球への反応や打球勘は正直うまく見えなかったが、不慣れな割には無難に守れていたという見方もできなくはない。プロで鍛えられれば、左翼ならばなんとか我慢できるレベルまでにはゆくかもしれない。

 いずれにしても走力・守備力共に 中の下~下の上 ぐらいの素材といった感じがした。肩もそれほど強いわけではないので、やはり左翼か一塁の人材なのだろう。





(打撃内容)

 昨秋の関東大会も観たが、あまりピンと来るものはありませんでした。力任せに打つというタイプではなく、打席ではリラックスして構え、合わせるのが意外に上手いのかなといった印象はあります。


<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰が据わりつつも、背筋の強さを活かし背筋の強さを感じます。気になるのは、スクエアに両足を置いているのに、クロスの形になってしまうこと。そのため、両眼で前を見据えるという意味では、錯覚が起きやすい形になっています。打席では、リラックスして立てているところには好感が持てます。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。飛ばし屋の割に、あまり脆さが感じられないのはそのせいでしょうか?

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプだと考えられます。

 踏み込んだ前の足も、ブレずに止まることが多いです。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、ある程度食らいついて行けるものと考えられます。気になるのは、踏み込むステップが狭いのか? バットが窮屈に出てくる点です。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。ただしバットを引くのが遅れるときがあるので、そのへんは注意したいところ。

 肘が脇に付くように出てくるので、引っ張ったスイングしたときは強くボールは叩けます。しかしながら外角の球にはけして遠回りにボールを捉えているわけではないのですが、腕がしっかり伸びずに合わせるようなスイングで力をボールに伝えきれていないように見えます。

 けしてスイングの弧も小さくないですし、フォロースルーも高く引きあがってゆくので、打球は遠くには飛んでゆきます。しかし外の球を強く叩け無いぶん、フェンスの前で失速することが少なくありません。センターから右方向にも飛ばせる器用さはあると思うのですが、外角に強い球を投げていれば現状は痛手は喰らい難いのではないかと感じます。ましてこれが、プロの投手の球威・球速で木製バットだと、その傾向は顕著に出るのではないかと。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動少なめ。身体の「開き」も我慢できているのですが、やはり足元とても窮屈に煮見えます。ここのスペースに余裕ができないと、どうしても押し出すようなスイングになってしまいます。

(打撃のまとめ)

 元来は引っ張るスイングが好きなのでしょうが、足元が窮屈なので内角もある程度スペースを確保できないと上手く引っ張れないように見えます。それでいて肘を伸ばして強く振れないので、外の球にも力が伝わり難い。非凡なパワーも、活かしきれていないのが現状です。このスイングを、根本的にプロで作り直さないと厳しいとみています。それが、果たしてプロの指導・本人の努力で何処までプロ入り後改善できるかではないのでしょうか。タイミングの合わせ方は下手な選手だけに、技術的な問題かと。


(最後に)

 強打者の割には、打席に入る時にラインを踏まないなどきめ細やかさがある繊細なタイプなのかもしれないと思いました。しっかり足場を馴らし、軸足のポジションニングもある程度決めて打席に入ります。高校生としては、こだわり意識共に悪くはないと思います。しかし逆に、考えて過ぎてしまうきらいもありそうなので、そのへんは強打者としては気になる部分。

 しかし打ってナンボの選手なので、打てないときは厳しいです。その辺を周りも辛抱強く我慢し育てることが求められます。個人的にはちょっと厳しいかなと思える部分もあるのですが、非凡なパワー・タイミングのとり方は下手ではない点を評価して、指名リストには名前を残してみたいと思います。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2019年 茨城大会)