19ky-28
石塚 綜一郎(黒沢尻工3年)捕手&投手 181/83 右/右 | |
強打の捕手だと訊いていたが、この夏はほとんど投手だった 石塚 綜一郎 。破れた花巻東戦でマメを潰し降板する前は、全て投手としてのプレーを魅せられた。旧チームは三塁手ということで、バリバリの捕手という感じの選手ではないことは、捕手としてのプレーをみてすぐにわかった。 (ディフェンス面) ミットを投手に示したあとに、一度地面に降ろしてしまう癖があります。そのためワンバウンドするような球に対し、一瞬遅れてしまい捕球ミスをしてしまうことがあります。それでも反応できた時は、下からミットは出せていますし身体で止めようとはするのですが。ボールの押し込み等含めて、キャッチング全般に物足りません。ランナーがいれば、一球一球立って返球するなど、雑な選手ではありませんが。フットワークも、けして素軽い選手ではありません。 投手としては、小さめのテイクバックながら常時135~140キロぐらいのボールを投げ込むなど地肩の強さは確かです。送球も1.9秒前後と、ドラフト候補としては平均的。上のレベルでは、捕手としては厳しいのではないかとみています。 (打撃内容) 高校通算39本塁打の長打力を秘め、広角に打ち返す強打者です。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりはよく、両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしてもまずまず。下半身にどっしり感があり、好い構えだと評価します。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、アベレージヒッターによく見られる仕掛けであり、対応力を重視していることがわかります。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、軽くベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。軽く踏み込んで来るので外角への意識が強いのかなと思いきや、実は引っ張る方が好きな打者のように感じます。外角への意識があるのは、苦手な外角球でも対応しようとする意識の現れなのではないかと。 というのは、腰が早く開いて逃げがちなところを、クロスに踏み込んで足元が止まることで抑え込んでいるところがあります。元来は、引っ張る打撃の方が好きなのだと思います。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、余計な力みがないところは好いところ。バットの振り出しが思いのほか癖がなく、インパクトまでロスなく振り下ろせています。インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドも下がらないので、フェアゾーンにボールを落とす確率も高まります。スイングは力強く振り切るタイプで、けしてボールに角度を付けて飛ばすタイプではありません。これだけのホームランが出たのは、金属バットの恩恵と身体の強さによるところが大きく、木製バットではホームラン打者ということは無さそうです。パワフルな、ポイントゲッター・中距離打者を目指すことになるのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は並ぐらい。それも追い込まれると、ノーステップ打法に切り替えてきます。腰が早く逃げるのは気になるものの、ある程度のところで開きを抑えることはできています。外角に逃げる球や低めの球には苦労しそうですが、真ん中~高めの甘い外角球ならば、充分対応できるものと考えられます。軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しているので、調子の波は少ないタイプではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) もっと技術的に粗いのかなと思ったのですが、フォーム分析をする限り想像以上に癖のないスイングをしていることがわかりました。レベルの高い野球への慣れてゆけば、プロの世界でも順応して行けるのかなという感じと、鍛えがえのある素材ではあると思います。あとは、外角に逃げるスライダーなどを、しっかり見極められるかどうかではないのでしょうか。 (最後に) この選手は、捕手というよりは完全に内野手。それも、サードあたりの素材だと思います。ただし、一塁までの塁間は4.45秒前後(左打者換算で4.2秒前後に相当)と平均以下であり、よほど打たないと厳しいだろうということ。けして長距離砲という感じではないですし、外角への見極め含めて高校からプロとなると怖いかなというのが個人的な意見です。こういった選手を鍛えたいと思う球団もあるかもしれないので、育成あたりで指名があるかも?という気もしますが、個人的には指名リストからは外したいと思います。 (2019年夏 岩手大会) |