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持丸 泰輝(広島)捕手のルーキー回顧へ







持丸 泰輝(旭川大高3年)捕手 178/76 右/左 





 「甲子園一番のサプライズ」





 この夏の甲子園出場選手の中で、全くノーマークのながら素晴らしいプレーを魅せてくれたのが、持丸 泰輝 。対戦した 奥川 恭伸(星稜)に対しても4打数1安打ながら、初回の見逃し三振以外はしっかりボールを捉えることができていた。


(守備面)

 昨年まではレフトを守っていましたが、新チームからは捕手としてチームをまとめます。非常に細かく周りに指示の出せる選手であり、能登 嵩都(3年)投手の好投を導くなどボールになる変化球を振らせるのもうまいインサイドワークも光りました。ミットを投手に示し、そのまま下げないで捕球。少々自分からボールを掴みにいったり上から被せたがるキャッチングは気になったものの、ワンバウンドするような球には素早く下からミットを出して反応できていました。

 送球は、捕ってから無駄なく一塁に投げる場面があって素早かったです。ただし別の試合のイニング間送球などが見られたのですが、それほど強肩には見えなかったり送球の精度もやや不安定には見えました。また普段は捕ってからでも座ったまま返球するなどテンポの良いリードを心がけますが、ランナーがいるときはしっかり立って投手に返すなど、強打者でもけして雑なプレーヤーではありません。捕手としてはまだまだ鍛えないと行けないところはあると思いますが、上のレベルでも捕手としてやって行ける適正はあるのではないかとみています。






(打撃内容)

 2年夏の時点で、チームの不動の4番打者として甲子園に出場。北北海道大会では、6試合で 1本塁打6打点・打率.429厘 という成績で甲子園にやってきました。奥川恭伸(星稜)からも、第2打席目にセンター前に鋭くヒットを放ちます。また最終打席では、逆風で押し戻されましたが、あわやを感じさせる大きなライトフライを放ちました。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばして立ち、全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。打席では、それほど強打者という匂いは漂わせません。この夏は、2番打者として出場し「2番最強打者」を実践してました。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から足を引き上げる、「早すぎる仕掛け」を採用。ここまで早いと、まだ投手が意図的にフォームのタイミングを変えることができる段階なので、タイミングを合わせるのが難しくなることがあります。ただこの選手、早めに足を引き上げることで、ボールを線で捉えたいタイプであり、そのための序章として早くから動き出すのかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を長く引き上げてままキープし、ベース側に踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分で、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすいはず。またベース側に踏み込むように、外角を強く意識したスタイルです。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にしっかり止まっています。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことはできています。踏み込むぶん、内角の捌きは窮屈になりがちにはなると思いますが。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。試合では、奥川のストレートをセンターにきっちりはじき返していたので、スピードへの対応には不安がありません。バットの振り出しも、インパクトまでロスなくボールを捉えていますし、インパクトの際にもヘッドが下がらないまま振り抜けており、スイング軌道としては理想的です。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 ボールを自分から追っかけてしまうところがあるので、目線はそれなりには動きます。それでも「開き」は我慢できていますし、軸足の内モモにも適度な強さが感じられます。スイングの際に前さばきなのもあるのでしょうが、少し前に身体がツッコミがちなのが気になる部分ではありましたが。

(打撃のまとめ)

 奥川レベルの速球でもチェンジアップ系の球でも、惑わされるなく自分のスイングができていた打力は本物だと思います。速い球にも対応できますし、抜いた球にも順応できます。そういった対応力の高さは、道内でも屈指の打者と言われていただけに確かなものを感じました。甘く入ればスタンドインできるパンチ力はありますが、スイングを見ている限りは長距離打者といった感じはしませんでした。


(最後に)

 打力に関しては、全国でも上位級の捕手だと思います。そのため、プロでも全く打てないということはないでしょう。またディフェンスも、思った以上にきめ細やかさやあり捕手らしい一面があったのは収穫でした。送球の部分はよくわからない部分もあるのですが、やや不安が残りました。しかし捕ってからの素早さ・形は悪くなかったのですが、その辺をプロ側がどう見るか?一塁までの塁間は4.25秒前後と走力は並以下で、野手というよりも「打てる捕手」として評価するかどうかだと思います。志望届を提出した場合 下位指名~育成ドラフトあたりの指名 は意識できるとは見ていますが、送球の部分が引っかかって指名漏れする可能性も否定はできません。しかし個人的には、指名リストに名前を残してみたいと思わせてくれる選手だと評価します。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2019年夏 甲子園)